表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/110

エピソード7 音痴すぎる件

 学校中に歌声が響く時期。


 というのは合唱祭の少し前だ。


 合唱祭っていうのは、クラスごとに歌を歌ってそのうまさを競う大会である。


 だからモチベ高い人は、クラス全員毎日練習参加! というノリでいる。


 一方、大会もそこそこ近い部活や、日々忙しい部活の人は、部活優先、というノリでいる。


 これによって争いが生まれるのは、とても悲しいなあ。


 と、第三者みたいな立場でいられるのが、写真部の特権……であると実感した。


 なぜそんな特権が生まれるかといえば、写真部は、写真係になれるからである。


 合唱祭の写真係は、普段の練習の様子の写真や、本番の写真を撮る係だ。


 合唱祭にそこそこ貢献している感じを出しながらも、実際は写真を撮っているだけ。


 もちろん合唱と関係ない自分が撮りたい写真を撮っても、練習場所から大脱走しない限りはまあ許される。


 いやいいねこの立場。


 というわけで、今日は写真の整理、という名目で合唱祭の練習をサボっていたら、部室に舞花がやってきた。


「昨日忘れ物したから取りに来た〜って……秀映、もしかしてサボり?」


「ち、違うこれは写真の整理」


「パソコンもカメラも出してなくてどうしてできるの? 天才?」


「いやあまあ天才ですねえ」


「秀映、音痴なんだから、練習行かないとクラスに迷惑かけちゃうよ」


「そ、それはそうなんだが……そもそもあんまり歌うのが好きじゃないんだもん」


「ふーん。ま、私たちのクラスは順調だから、まさかの二年生にも勝っちゃうかも? もし秀映のクラスに私たちのクラスが勝ったら……それは、練習をサボった人が戦犯ということに」


「うわあ……それはやだわ」


「でしょ? じゃ行こうね。私が頑張れの頭なでなでしてあげるから」


 舞花が座っている僕の頭に手を乗せた。


 なでなで、いいねえ〜。


「秀映幸せそう。うん、秀映は割と甘えたい系だもんね」


「まあ……そうかも」


 舞花のお膝で寝てみたいと思うこともよくあるし、なんか食べさせて欲しくなる時もあるし。


 間違っても頼れる男らしい彼氏ではない。


 気づいてしまったが、そんな頼りがいのない彼氏が学校行事の練習をサボってだらだらしてたら、彼女は失望してしまうのでは?


「よし、練習行ってくるぞ!」


「やる気になった! えらい秀映」


「そう、えらくなった」


「あ、でも……秀映、ほんとにやばいくらい音痴だから、迷惑かけないようにね」


 はい、心配してくれてありがとう。


 実際そうなんだろうけど、なんか結構悲しい気持ちです……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ