エピソード3 舞花の質問
散歩しながら写真を撮るというのんびりとした放課後。
もちろん写真部の活動の一環だ。
「秀映ってさ」
さっき気になる蝶がいて追いかけたせいで、ちょっと疲れ気味の舞花が話しかけてくる。
「うん」
「胸、小さい女の子の方が好きなの?」
「え? なんでなんでなんで?」
今散歩中ね。
前方にはお散歩の保育園児と保育士さん。
なんでいきなりそんな話になったの?
ていうかその質問に真面目に答えるなら、そこそこ大きい方が好みだし。
その証拠に、保育士さん結構巨乳だなって思ったし。
「朝方のそらさんのアカウントをふと眺めたら」
「おお」
「胸が小さい女の子のイラストをいいねしてるのが見つかった」
「え?」
ま、まじか。よくたしかにお気に入りの絵師様のイラストはチェックしているけど、朝方のそらのアカウントでいいねはしてないはず。
いやでも間違って押すことあり得るな。
うん。実際今日見てたしな、胸が小さい女の子の神イラスト。
「ふつうに可愛いなって思っただけで別に変な意味があるとかとかそういうわけじゃないよ」
「あ、そうなのね」
舞花は納得した感じを見せ、そして続けた。
「じゃあもう一つ質問」
「うん」
な、なんだ次は。大丈夫なんもやましいことないはず。
「秀映は、どこら辺にえっち系のものとかしまってるの?」
「はあ?」
なに、どうしたの? そういう話ほんとは好きなの舞花?
「いやあのね、アニメとか小説とかだとベッドの下みたいなのが多いじゃん。でも実際どうなのかなーって。私が小説書くときはそこら辺リアルにしたいし」
「あ、そうなのか……で、それで僕が教えると思うの?」
「思う。だって私彼女だし。別にそういうのあっても普通だと思うし。どうせ今度秀映の家に行ったときに探すだけだし」
「いや最後のはやめて」
「冗談だから大丈夫」
「質問自体も冗談でしてると信じたい」
「それは〜半々くらいかな」
「そうか」
「で、教えてくれないのね」
「教えません」
「あっそ」
舞花は笑った。何その余裕感。弟の全てを知ってるお姉ちゃんみたいな雰囲気なんだけど。
舞花、僕の家に遊びにきたこと数回くらいしかないよね。
申し訳ないことに、舞花の家にお邪魔した回数の方がだいぶ多い。
「で、話変えるとさ」
「うん」
よかった。話変わったのね。
「秀映の家でまたゲームしたいな」
「それはいいよ。明日とかやるか」
「うん」
「一応だけど、話変わってるんだよね?」
「もちろん。勝手に探したりしないって。そこは信用して」
「はい、信用する」
僕は舞花の目を見た。
いやだから可愛すぎて目を見ても信用できるかどうかわかんないんだよな。
まあ信用するけど。
ていうか最悪別に見つかってもいいし。
そんなやばいタイプのものはない、はずだから。




