エピソード1 JKっぽいとは
ここから番外編の、舞花と秀映が高校生の時のエピソードです。だいたい日常エピソードです。
飛ばし飛ばしでも、もちろん全部でも構いません。是非、舞花と秀映の高校生活を覗いていってください。
「JKっぽいとは、なんだと思う?」
放課後の写真部の部室で、舞花は言った。
今日は活動日ではなく、花記も部長もいない。
舞花と二人きりの部室だ。
「今日、クラスの子が写真を見せてくれたんだけど、なんかね、いちいちJK感があるの。それが私にはない気がして」
「ふーん」
「いや、なんか反応薄い」
「まあJK感っていうのがあんまりわからないもんで」
「私も言語化するのは難しい」
「小説家志望しっかり」
「うう……そういうタイプの攻撃はずるい」
舞花は僕を世界一優しくにらんだ。
まあ、実際のところ、舞花は、僕の世界一大好きなJKなのだ。
たとえJK感があろうがなかろうが、SNS映えする所にいようが、質素な部室の中だろうが。
だから僕は満足してしまっていて、JK感を出すための助言に関しては、モチベがなんもないんだよなあ。
「ちょっと、スカート短くしようかな。こんくらい?」
「え?」
舞花がスカートを上にあげた。太ももの付け根付近まで見えそうで、そして舞花の太もも+JKの制服は、なんというか、女の子らしすぎる。よくない。むちむちじゃん。
「ここは端の方とはいえ東京でしょ。東京のJKはスカート短めなわけじゃん」
「あ、そうなんだ」
「とぼけなくていいよ。よくみてるし今も見てるでしょ、太ももとか」
「いやそれは見てるけど、他の地域との違いは知らなかったって話」
「あ、やっぱり見てるんだ」
「あ、言っちゃった」
くっ。まあいいよ。こうして僕のことは舞花にどんどんとバレていくんだ。
「ふっふっ。秀映は思いっきり単純な男子高校生感出てるねーというか実際そうなのか……なるほど、わかった」
舞花はひらめいた探偵のように、部屋の中央に得意げに行った。
そして、
「最大の問題は、私自身ににJKらしさが足りないこと」
「あんまりそれ考え進んでなくない? 同じこと言ってるよ」
「たしかに……今日小テスト二つあったからもう頭疲れてんのかな」
舞花はよいしょと椅子に戻って座った。
「どう? こんな感じに座ればJKっぽい?」
足を揃えて斜めにして座る舞花。
いやそれだと……
「お嬢様っぽい」
「あ、それならいいや」
「いいのかよ」
「うん。ていうかぶっちゃけ、私秀映にさえ可愛いと思ってもらえてたら、あとはなんでもいいや」
「……それなら可愛いよ、大体いつも」
「……じゃあ解決だね」
舞花はなんだかうれしそうに笑って、立ち上がった。
「どっか行くの?」
「アイス買いたい。秀映も行こう」
「いいよ。売り切れてないかな」
「何かしらは残ってるでしょ」
「だといいな」
僕は部室の鍵をポケットから出し、舞花と部室を出てから施錠した。




