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どの蝶でもない君に、僕は恋に落ちた  作者: つちのこうや
7章(時間がたって)
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九回裏の、続きへ

 野球の試合は賑やかだった。


 すごいなあ、そんなに張り切って応援したら体力もたないんじゃない?


 って思うのに、みんなすごい応援している。


 攻撃と守りの入れ替わりの時に、ペンギンのキャラクターが出てきた。


「可愛い」


「お、早速舞花も可愛さを体感してしまったか。ちなみにもしかしたら勘違いしてるかもだから言っておくと、あれはペンギンじゃなくてつばめね」


「あ、そうなんだね。まあ確かにそうか」


 うーんでも、普通にペンギンだと思うでしょ。


 あ、だけどよく見たらしっぽが二つあるからつばめかな。




 それからも試合は続き、八回が終わった時点で、スコアは5対5。


 そして九回表は点が入らず、九回裏。つばめ側にワンアウト2塁のチャンスがやってきて、球場は盛り上がりまくっていた。


 代打がコールされる。


 だんだん野球のルールの基礎はわかってきた。


「すごい歓声だね」


「そりゃ、もうチャンスだし、代打で出るのが、伝説を何度も作ってるベテランだからな。トリプルスリーを五回も達成してるし。うん、やばい」


「あれ、それってもしかして……秀映が構えを真似してた人?」


 私は秀映に訊きつつ考えた。トリプルスリーってなんだろう? まあなんかすごいことだっていうのはわかったけど。


「ま、まあそうだな。ほんと、昔は憧れてた」


「そっか」


 私はグラウンドを眺めた。


 秀映は、ここに立ちたかったんだよね。


 こんなこっち側というか、観客側から見るのは、どんな気持ちなんだろう。


 少し、悔しいのかな。


 それとももうそんなの昔の話だし、秀映はきっと今の仕事が好きなはずだから、悔しくはないのかな。


 なんとなく、私は後者であるような気がした。


 昔、まだ私と秀映が付き合い出したばかりの頃。


 秀映は言ってくれたよね。


「……舞花。あの、いつか、舞花も僕もさ、悔しくなくなったらさ……」


 あの続きって、なんだろう。




 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!


 と急にうるさくなった。


 サヨナラタイムリーヒット?


 であってるのかな?


 を打ったっぽい。


 打った人は、なんかかけられている。


 結構いい試合だったのかな。


 すごい参考になった。


 秀映もこれは興奮してるよね……と、思って隣を見ると。


 秀映は確かに興奮してたけど。


 なんか、少し緊張していた。


 なんだろう。


 秀映が緊張する理由って。


 わからないけど、なぜか私も、つられて緊張してきた。


お読みいただきありがとございます。

次話が最終話です。

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