白ぶどう
すーっと暗くなって映画が始まった。
予想以上にしょっぱなから恋愛していた。いやどう考えてもテーマが恋愛なんだけど。
なんていうか……早々とイチャイチャしますねえみたいな。
まあこのまま思うように二人の関係が深まるとは思えないけどね。
原作は確か小説だったか。
読んだことはないけど、読んでみたらまた面白いのかな、と思うくらいには、映像に細かいしぐさや描写が取り入れられていた。
でもその分、なんか、まあ……舞花の隣で見てるっていうのが恥ずかしくなってきた。
あれだな、気軽にうひょーって見れるもんではないな。
うひょーって楽しみながら見るなら、幅広い年代が楽しめる、小学生になってしまった探偵の話が良かったのかもしれない。相変わらずの人気っぽくて、売店にグッズとかがすごい並んでた。
でも、別に後悔とかはしてなくて、普通に先が気になるっていう気持ちが持続していた。
そしてしばらくすると、菜々が出てきた。
主人公の女の子の、大学の友達の役だった。というとそんな重要そうじゃないけど、実際はかなり出てきて主人公の恋愛相談に乗っていた。
やっぱり演技はうまくて、しかも、主人公を押しのけずに絶妙な存在感を出すという、雰囲気作りも抜群だった。
映画は全部で二時間弱くらい。もうすぐ終わる。
やっぱり予想通り途中からポップコーンを食べる手が止まっていた。
まあエンドロールの時にでも食べればいいでしょう。
というわけで告白シーンだし、僕は映画に集中。
なんとなく、舞花から告白された時のことを思い出して、ちょっとだけ気持ちが物語から現実に抜け出してきたような気がした、
それでも、最後二人が結ばれてハッピーエンドとなって、結局僕はがっつり感動していた。
☆ 〇 ☆
「全画面が、感動の愛だった。右上から左下まで」
「わかる」
映画の後はご飯を食べながらおしゃべりがいいよねってことで、舞花と僕は、レストラン街の一角を占めるファミレスにやってきていた。
席にもすぐ案内されて、映画館よりも座り心地のいい、ソファ席をゲット。
「ていうか、お姉ちゃんやっぱりすごいなあ。いい感じだったね」
「そうだな」
僕はミートソースハンバーグスパゲティを食べながら、舞花の様子をうかがった。
本心から言っている気がした。
お姉ちゃんのこと、認めてるんだな、心から。
そんな風に、あくまで僕視点では見えた。
「でもお姉ちゃんとは全然関係なく、意外だったのは、告白したときの返事の台詞」
「ああ……そんなに意外だったっけ?」
「なんか戸惑って答えた感じがしたじゃない」
「まあ、そうかも」
「でも、あの時点では、もうなんて返すか考えに考えた時だと思うんだよね」
「言われてみるとそうだな。もうちょいしっかり答えるか、待ってました感が思わず出ちゃうかにすればよかったのかもな」
「そうそう」
舞花はそう言って、白ぶどうジュースを飲み始めた。
そういえば、映画館のドリンクも白ぶどうジュースだったな。
白ぶどうジュースづくしだね。




