ラーメンおいしい
「ラーメン、おいしい。実はラーメン、一桁回くらいしか食べたことがなくて」
すごいすすり方? というかたくさん一口でラーメンを食べて、飲み込み終わった舞花が、隣でそう言う。
「まじか。お嬢様な雰囲気なのか舞花の家はやはり」
今の食べ方はお嬢様な雰囲気全くなしだったけど。でも、舞花なら問題なし。はい、とてもよろしい。
「それもあるのかな……あと、お姉ちゃん、結構健康面意識してるから」
「ああ……」
「私は一人でカップ麺とか食べてたけどね、引きこもりの時は。でもカップ麺はうどんばっか食べてた。きつねうどんが好き」
「カップ麺は食べてたんかいな。僕もきつねうどん好きだけどね。お腹に優しく食べられる」
「うん」
僕たちは、市民ホールと駅の間くらいにある、人気ラーメン屋にやってきていた。
人気なだけあって並んだし、まず六人一緒に座れてない。
けどそれでも、ここ美味しいから! だから並んでるってこと! と佳波さんがめっちゃ勧めて、ここじゃないとおごりたくないよ~とまで言った。
そしたらやっぱりおいしかった。
とんこつ醤油のラーメンなんだけど、なんというかね、いや僕ラーメンについて詳しくないんだけど、スープがすごいなあと味わっているところだ。
量は、舞花は知らないけど、僕は十分に足りた。
「はい、とっても美味しかったでしょー!」
「おいしかったです」
みんな食べ終わって、ラーメン屋の前で、テンションが高い佳波さん。
「もしかしてお酒……?」
「いや飲んでない。まあこんな感じのときがたまにある」
佳波さんの彼氏さんが言う。
「元気でいいですね」
「いやいつも元気ってわけじゃないんだよな」
「そうなんですか?」
僕は彼氏さんがそう言ったのに驚いた。
「結構おとなしいよいつもは。まあなんていうか、波があるのな。今日は写真をいろんな人に見てもらえて満足なんでしょう」
「なるほど」
好きなことに浸った時間が長いと、ハイテンションになる人なのかな。とても魅力があると思う。
それに、今の会話からも感じるけど、彼氏さんも佳波さんのことすごい色々わかってるなって。
僕は舞花のことをどのくらいわかってるのかな。
そう思って、なにやら女子同士でさらに盛り上がり始めた三人をながめていた。




