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お疲れ様会しよー

 閉場してから会場の片づけが始まるまでに少しあるので、その間に、舞花と写真を見て回ることにした。


 いろんな写真があった。


 やっぱり最近撮った写真が多いからか、初夏の写真が多い。


 緑一面の景色の中を走る、真っ赤な特急列車。


 水滴をきれいにはじいている、傘と、その傘に触れる大きな葉。


 髪がなびくほど風が強いのに懸命にシャトルを追う、バドミントンをしている子供たち。


 空にかかる虹と、水に映って、少し見えにくい虹。


「はろー、秀映、舞花ちゃん」


 いつの間にか花記たちのところまで来ていたようだ。


「すご、猫の写真ばっかり」


「そう、テーマは、両想いの猫。ずっと追ってたの。自然番組の取材班みたいに」


「なるほど……」


 まるで、猫のラブコメが凝縮されたような十枚だ。


 黒い猫と茶色の猫の二匹を、別々に四枚づつ撮っている。


 そして、最後の二枚で、二匹は結ばれているのだ。


 これでペアが五組か……なるほど、応募作品数上限までも意識した、なかなかすごい作品群だ。


「かわいいし、なんか、この写真にはない猫の動きも、勝手にいい感じに補われていくな」


 いややっぱり花記も部長も写真を撮るのうまいんだなあ、と思っていると、


「感動しました……」


 舞花は相当感動していた。


「そんなに褒められるとは。ありがとう」


 部長が穏やかに笑って、改めて自分たちの写真を眺めていた。


 舞花は何かインスピレーションを受けたみたい。まるで、素早く動く前の猫のように、じっとしているけど真剣だ。




 そして、それから少したち、会場の片づけの時間。


 パネルや机や椅子を、元の配置にする。


 それが済んだら、主催者の市の人が、審査結果と投票の開票結果を後日発表するということと、入賞者は表彰と都のさらに大きな写真展への出品が決まるということを話していた。


 話が終われば解散。


「はー。膝が……」


「立ってたしね、ずっと」


「うん」


 僕と舞花はそんな感じで結構疲れていたが、


「秀映―! お疲れ様会開催決定! どっか食べに行こ!」


 花記はめっちゃ元気だった。


 しかもそんな花記の声を聞いた、近くにいた佳波さんが、


「お、若い人たちは元気でいいね。私も一緒に食べに行っていい? お姉さんおごる!」


 とノリよく手を振って反対の手は彼氏さんとつないでいた。


 そして彼氏さんが、


「ま、こいつバイトの給料が入った直後だけこんな感じで太っ腹だから、よかったらおごられて行ってな」


「は? なんか私のこと、計画性なく金使う人みたいに言ってないですか? 今日遅刻したあなたよりだいぶ計画性あるけど? ていうか、あんたもおごるのよ」


「ええ……」


 やっぱり仲がいい。付き合って何年くらいなんだろうなあ。


 そして僕たちは、ありがたく夜ご飯に連れて行ってもらうことにした。


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