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写真のアイデア

 お昼時に行くとめっちゃ混んでるだろうと思って少し遅めにしようってなったんだけど、舞花はやっぱりお腹が空いてしまったようだ。


 というわけであれから少し遊んだのち、舞花と僕はプールからあがった。


 プールあがりの舞花についてだけど、濡れた髪をゆるく束ねていて、ちょっといつもより魅惑的な女の子の雰囲気を出している。


「アイス美味しい。学校にもアイスの自販機があれば水泳の授業のモチベが少し上がるのに」


 舞花と僕はアイスを食べながらレストランへと向かっていた。


 全部で三つくらいレストランがあった気がするけど、特にこだわりはないので、一番近いところを目指している。


「ちょうど今一番気温も高い時だしやっぱアイスいいな」


「ほんと」


 冷たいのはそんなに普段は食べない僕でも、かなり食べたい欲が出て舞花につられて買ってしまったので、今日はやはり相当蒸し暑い。


 


 レストランはレジャー施設にありそうな普通のレストランだった。


 またここでも冷やし中華につられて二人ともそれを注文してしまう。


「はー。アイスも食べたし、冷やし中華も食べれば流石にもうしばらくお腹は鳴らないかな」


「勢いよく食べ過ぎるとお腹痛くなるよ」


「そんな勢いよく食べてないって。それに控えめにして大盛りにもしてないし」


「はいはい」


「あ、で真面目な話するんだけど、写真のアイデア、なんか思いついた?」


「うーん。なんかあるかなあ」


 とりあえず今日撮った写真を見返してみる。


 観覧車からの景色はもちろん、そこら辺を飛んでいた鳥から、ボウリングではしゃぐ舞花とかアイスを食べる舞花とかまで。


 色々と撮ったけど結局楽しんでしまっていて、あんまり深いこと考えて撮ったわけではない。


「観覧車は景色が滑らかにつながってたなあっていうのと、あとは写真撮ってないけど、プールの水滴はよかった」


「あー、なるほど」


「舞花はなんか浮かんだ?」


「そうねえ、なんか観覧車からの景色はインパクトがあっだけど、普通に撮っちゃうと無難かなあって思って。だからと言って面白いのがあるかって言われると……うーん。楽しかった思い出ばっかで……」


「わかる」


 まあそんなもんだよね。少し日を置いて写真を見直したら何か考えがふってくると信じよう。


 


 お昼ご飯を食べたあとは特に何も考えてなかった。


 今すぐ帰っても家に着くのは夕方だし、それでもいいけど。


 せっかく日が長い時期で天気もいいので、もう少し何かしたいと思う舞花と僕だった。


「お、錯視アートがあるじゃん」


 ぶらぶら歩いていて気がついたら、目の前に面白そうな場所が現れた。


 飛び出てないのに飛び出てるように見えるやつ。地面に動物がたくさん描かれていて、そこで写真を撮っている人々がいる。


「秀映、これ使おう!」


「え?」


「この要素をとり入れるの。ペアの写真に」


「なるほどすぎる」


「で、とりあえず……」


「うん」


「動物さんが可愛いので一緒に写真撮りましょう」


「そうね」


「あっ、なんかすごいアイデアを言うと思ってたのにただ動物さんと写真撮りたいってだけだったから拍子抜けしてるね?」


「してないしてない。むしろ錯視を取り入れるという案をどう進めていくか感心しながら考えてる」


「たしかに……秀映、真剣に考えてる顔っぽい。こういう時はまあかっこいい」


「あそう、ありがと」


 可愛いとは今日何回も言われたけど、かっこいいは一回目な気がする。


 ま、実際かっこいいでも可愛いでも舞花が言ってくれると大体嬉しいんだけどね。


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