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薄着の舞花

 観覧車にはすでに人が並んでいた。


 そういえば観覧車って人が空いていてもいっぱいでも稼働してる限りはずっと回ってるよな。


 まるでエスカレーターみたいだ。


 とよくわかんないことを考えてしまうくらい、早く列が進まないかなあというのが本音だった。


「観覧車の直径は100メートル越え。すごい」


「だな」


 ふつうの展望台と違うのは、そのゴンドラだけ浮いているように思えるくらい、周りをぐるっと見渡せること。


 もしふつうの展望台で全部の景色を堪能しようとしたら、歩き回らなきゃいけない。


 とか下で語っているのは本当に虚しいので、やはり早く乗りたい。


 しかしながら前で並んでいる小学生が異常なまでに冷静なので、僕がそわそわしたら負けだと思う。


 なんでそんなに冷静なのかと思ったら、ただゲームをしているだけだった。




 やがて順番が来て、ゆっくりと動くゴンドラに舞花、僕の順に乗り込んだ。


 舞花と僕は向かいになって座った。


「なんか中暑い」


 舞花が一枚服を脱ぐ……と、露出度が思ったよりも高くてびっくりした。


 もしこのゴンドラに壁がなければ絶対落ちていた。


 いや壁ないわけないけど。


「秀映……? あ、これ新しい服」


「うん……」


「今日はね、計画性のあるデートってことでおしゃれ頑張ってしてるから、感想欲しいな〜 景色がすごくなる前に」


「あ、そうね。……可愛い!!!!!」


 ファッションに詳しくない僕は可愛いをめっちゃでかく言うしかない。


 実際ゴンドラの中なので人目があるところよりは言いやすいし。


 でなんて名前なんだろうね、この肩が出ていて胸元も結構露わなタイプのトップス。


 もう名前はいいや。


 とにかく目線に困りそうなところだったんだけど、幸いゴンドラの高さも高くなってきた。


 そしたら写真を撮りまくらないと。


 何か、感じるかもしれない。


 段々と小さくなるアトラクションやボウリング場。


 見上げると、観覧車の骨組みと、自分よりも高い位置のゴンドラ、そして空。


 前を見ると、薄着の舞花。


 いや今は薄着の舞花は目に焼きつけておいて写真は撮りません。


 なんか近すぎるし、なんとなく写真撮りにくい。


 意外と遠くの景色意外にも、自分と他のゴンドラの位置関係だとか、観覧車のすぐ下の建物のスケール感の変化だとか、近い位置にも興味深いものがある。


 もちろん遠くの景色もよく見えて、ちょうど片側が海、片側が山といった景色になっていた。


 山側には山々の上から塀の上から覗く猫のように富士山が見えていて、海側にはよく見ると、船が数隻沖にとまっているのがわかった。


 地形がなめらかな凹凸に見えるので、船が頑張れば上陸して山まで行ってしまいそうだ。


 いい感じな感想が浮かんできた。


 舞花はどうだろうか。


 と、舞花を見れば、思わず舞花の身体の圧倒的凹凸に注目してしまう。


 いやー。ギリ見えないけどこんだけ膨らんでるって……でかくて良さげな形で色々と最高なんじゃない?


 さっきまでの景色に関する感想に記憶が消えそうになっていく。


 計画を立てたデートの時だって相変わらず、脳細胞は情けないまんまだった。


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