のんびりとした昼
日が昇り切ってからは、二人で並んで海沿いの石段に座った。
「早速投稿してるの?」
スマホを操作する僕を見て舞花が言った。
「ううん。アカウント名を変えてるだけ。夕暮れのそら、から朝方のそらにした」
「あんま変わってない……真逆ではあるけど」
舞花はそう言って、等間隔で止まっている仲がいいのか悪いのか分からないカモメたちを眺めた。
ちょっとその目はぼんやりしている。
「舞花眠そう」
「眠い」
「僕も眠いわ」
「お互い寄りかかり合って寝ようよ」
コンクリートに寝そべるのは寝心地が不安すぎるし、それが一番いいのかも。
僕と舞花は肩を触れさせた。
そしてだんだんと二人とも体を預け合っていく。
きっとすぐに眠りに落ち、日差しは強くなり、時は太陽の高度が高くなるとともに過ぎて行った。
「それで、二人で目を覚ましたら、なんとなんともう12時だったわけか……」
舞花と僕は、海浜公園の近くの、パンケーキ屋さんに来ていた。
なんか冒険したがりな小学生みたいなことをした後に、女子大生がゆっくりしてそうな場所に来てしまった。
どちらにしても舞花は生き生きとしていて、だから舞花は小学生にも大学生にも見える。
「ほんと、今日学校休みでよかった」
「うん」
おかげで本当にいくらでもマイペースに帰れる。
だから舞花は何段にも重なったパンケーキが来たら瞬時に、食べるモードに切り替えたりしていた。
「あ、そういえば舞花」
「なあに?」
「市の写真発表会があるんだ。参加してみない?」
「そんなのあるの? いつ?」
「一か月後かな」
「いいね。参加してみたい」
舞花ははりきってそう言うとすぐに、パンケーキを大きめに切って口に入れた。
うん、舞花が参加したいって言ってくれてよかった。ちなみに僕はすごい参加したいと思っている。
写真をSNSにあげて沢山の人へ届けるのもいいけど、リアルな人に直接目の前で見てもらうのは、また違った感覚になるはずだ。
僕自身もあまり経験がないから、それがどんな感じなのか確かめたいと思っている。
「お待たせしました」
と、ここでウエイトレスさんがお皿を持ってきてやってきた。
「んん?」
「あ、これは私が頼んだ追加のパンケーキ」
「よく食べるなあやっぱり舞花は」
「まあ、たくさん歩いたので。あ、秀映、一緒にパンケーキと写真撮らない?」
「あ、うんいいよ」
確かにパンケーキはきれいに積み重なってて、すごく写真を撮りたくなるのは分かる。
だけど僕がそんなパンケーキと一緒に写真なんて。舞花とパンケーキだけの方が可愛い写真になりそうだ。
まあでもせっかくなので僕は舞花側の方に席を移動した。
「はい行くよ……かしゃ、撮れた」
「ありがと」
「で、あとはこれに写ってる秀映を女の子に加工して……」
「しないで。しなくていいよほんと」
「結構かわいくなる気がする」
「いいって」
「冗談だよ。必死に止めるねえ」
舞花にのんびりと笑われてしまった。




