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花記② 野球観戦で出会った女の子

ここから2話は花記視点(回想含む)です。

水色の蝶の話につながってくる予定です。


 小学生の頃、秀映は野球をしていた。


 その野球の試合の応援に私はよく行っていた。


 場所は市民グラウンド。


 観客席とかもなく、ただグラウンドにおいたベンチやパイプ椅子に、私は座っていた。


 秀映は、大体いつもベンチスタートだった。


 だから、チームっていうより秀映を応援するのが目的だった私は、結構暇な時間も多くて、応援にいつも顔を出す、一人の女の子、愛実とよく話していた。


 愛実は野球を見るのが好きで、市民グラウンドの近くに住んでるのでよく見に来ているらしかった。


 愛実はある日私に言った。


「花記ちゃん、いつもすごい真剣にカメラ構えてるね」


「うん。だって、秀映が出る機会って少ないから。活躍する瞬間はもっと少ないし。だから、シャッターチャンスを逃さないようにしないとね」


「すごい~本物のプロのカメラマンみたい」


 愛実は感心したように言った。


「でも、秀映もあきらめが悪いんだよね~」


「あきらめ? っていうのは何のあきらめ?」


「秀映、野球選手になりたいんだってさ」


「すごいじゃん」


「いや、心構えはすごいんだけど……」


 私は秀映を見やった。


 ちょうど、せっかく代打で出たのに、三振したところだった。


 でも、私はバカにしないし、尊敬している。


 だって、秀映、すごい練習しているんだよ。


 だから私は、いつか秀映が野球選手になれると思ったし、そんな秀映のかっこいい姿を、カメラに収められたらなって思っていた。


「なんか、何かを一生懸命するって、いいね」


 愛実は、ふとそんなことをつぶやいた。


「ま、それはそうだね」


「花記ちゃんもだよ」


「え、私もなの?」


「うん、だって、すごい一生懸命、写真撮ってるでしょ」


「うん……ありがと」


 私は愛実にお礼を言った。だって、私のこと一生懸命って言ってくれたの、愛実が最初だし。


「ねえ、花記ちゃん。私も、一生懸命やってみたいことがあるんだけど」


「え、なになに」


「絶対無理って言われそうだけど……」


「いわない」


「じゃあ、言っちゃうよ。あのね、私、女優さんになりたいの」


「すごい! めっちゃいい夢! かっこいい!」


 私は興奮した。だって、女優さんて会えないどこかの世界にいるイメージで、それを目指す人って、初めて見つけたから。


「え、ほんと……? 私ね、今度初めてオーディション行くんだ!」


「え、もうそんな行動してるの? 頑張って!」


「うん」


 愛実はたくましくうなずいた。



 でもやっぱりそんなにあまくなかったみたいで、次会った時、愛実は「だめだった~」と言ってきた。


 そしてその後に、愛実は嬉しそうに続けた。


「でもね、私、すっごい友達ができたの。とっても頑張り屋さんで、ものすごく本気で女優を目指している女の子」


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