表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/110

自由な星空を、二人で

 外は実際少し寒かったけど、舞花にあっためてもらう必要があるほどではなかった。


 というかそれよりも、本当に星が綺麗だった。


「先輩、ここに大の字になりましょう!」


 ちょっとしたテラスみたいなところに舞花と僕はいる。


 あんまり汚れなさそうだし、そうするのが一番星をよく見られそうだ。


 だから二人並んで寝そべった。


 結局大の字にはなってない。


 そのかわり、とても舞花との距離が近かった。


「先輩、なんか星座とかわかりますか?」


「あんまりわかんないなあ」


「そうですか、じゃあ私の出番です」


「星座わかるの?」


「はい、お勉強しました。小惑星を探すアニメを見てから星に興味が湧いたので」


「ああ、なるほど」


 舞花はまず空全体を見渡して、そして指をさした。


「まず、月があります」


 舞花がちょっと得意げに言うので、僕はとても大きくうなずいてしまった。


「そうだな、なんかまばゆいな」


「はい」


 南西に見える上弦の月を眺めながら、舞花と僕はそんな会話をした。


「それで今度はそのまま上を見て……ほぼ真上に、たぶんおおぐま座があるはずです」


「ええと、どこの星を結ぶとできるの?」


「はい、たぶんあそことあそこと……あれ?」


 舞花もわかんなくなってしまったようだ。


「すみません、にわかでした、お勉強不足でした……」


「いやいや、なんか見つけたら教えてくれれば、それでありがたいから」


「はい」


 僕は宇宙一大きな半球を、ざっと眺めてみた。


 南東の方に明るい星を発見。


 そして舞花も同じ方向を見ていた。


「あれはわかります。うしかい座のアークトゥルスです」


「おお、めっちゃかっこいい名前だな」


「たしかにです」


「他には……たくさんあるからよくわかんないな」


「ほんと、たくさんです」


「でも、その代わりなんでもありな世界ではあるな」


「え?」


 僕はそこらの星を頭の中でてきとうに結ぶ。


 ゴールも特に決めてない、迷路のように。


 それをしたから何かが起こるわけではないけど。


 とにかくそれだけ星々を自由に結べるってこと。


 今感じているのは、舞花と僕は、圧倒的に自由な空間に接しているということだ。


 てきとうに寝そべっても、星を勝手に結んでも。


 そんな特に目的意識がないことをしたって、隣で笑ってくれている人がいる。


 それが、とても、素敵だと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ