交換
「あー、秀映が若干キモく見えるわ」
「なんでだよ」
本屋で舞花は数冊の小説、僕は参考書を買った後、今度は本屋のちょうど真上にあるアニメショップに行った。
そこに飾られていた好きなキャラのタペストリーを嬉しさ全開で眺めていたら言われてしまったのである。
「ていうか、秀映ってなんか、小さくてもじもじおとなしくて可愛い系のキャラ好きじゃない?」
「まあ、それはそうかもな」
「私だって、小さめだし、可愛く頑張ってるつもりだもん」
「タペストリーの中のキャラをライバル認定しつつあるじゃんか」
心配しなくても、舞花のことがすごく好きなんだけどなあ。
アニメショップはどっちかっていうと、女性向けのアニメが前面に出されている傾向がある。
舞花はまあ結構幅広く見ている感じだから分かるみたいだけど、僕はイケメンが楽しそうにダンスしている映像が流れていても、あんまり何のことだかわかんない。
周りを見ても、お客さんも女性の方が多い。
といっても、新刊コーナーには、お目当ての漫画もラノベも全て置いてあるので、何も問題がなく、素晴らしい場所であった。
買いたいもの全部が思ったよりも早く買えてしまったので、また本屋さんに戻って、写真関連の本などを見たりした。
それでもまだ、午後三時くらいだったので、おやつを食べることにした。
「というかおやつは時間なくても必須でしょ」
「はいそうですね」
「そうなんです」
「まあわかるけど、でもそれにしてもそんなでかいアイスはすごい」
「えー、もういっこ頼んじゃダメかな」
「おなか壊す気がする」
「そんな壊さないよ。実際だいぶ前ケーキバイキング行った時以来壊してない気がする」
「マジかよあの時以来壊してないのは強すぎる」
丈夫だなあ。
僕は自分が頼んだプリンを口に入れた。
歯が染みるほどの冷たいものは、最近、欲しなくなってきてしまった。
「秀映、一口アイスあげるからお口開けて」
はい前言撤回。めっちゃ舞花に食べさせてもらいたいんでもらいます。
そしてその代わりプリンをプレゼントとしないとな。
僕は、プリンのまだきれいな形が残っている部分を切ってスプーンに乗せた。
もう何を僕がするつもりなのかわかっている舞花は、ワクワクした女の子になって、プリンを見つめていた。




