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 ☆    ○    ☆



「あ、私その先わかった」


 女の子が言った。


「ほんと? じゃあ続き、話してもらってもいい?」


「うん」


 女の子は少し考え込んだ後、


「リスさんは実はすごく可愛くてね。けんかしてた相手も主人公の女の子もね、リスさんが可愛すぎて怒ってるのがおさまっちゃうの。そしたらもうけんかも解決してね、みんなで楽しく遊んでおしまい」


「いいね! そのお話」


「ほんと?」


「うん。とても好きな話だなあ」


 私たちは笑った。


 星の位置が少し変わったような気もしなくもない。


 気のせいかも。


 でも、女の子も、


「少し星が動いた……?」


 とつぶやいた。


 私と女の子はまた星を見て、のんびりと黙っていた。


 そんな中、女の子は言った。


「そろそろ、テントに戻る」


「うん」


「なんかすごく心が落ち着いたよ。ありがと」


「私もだよ」


 だから自然とか、物語って不思議だなって思う。


 なんでだろうね。

 

 色々と悩んだり、ムカついたり、悲しくなったりしても、それでもまた、隠れていた葉っぱの裏から飛び立ちたいと思う時が来るもんなんだよね。


 


 女の子と私はテントのところまでやってきた。


 まるでご近所さんのように、バイバイと言って別れる。


 テントに入ると、秀映はすごくにやにやして寝ていた。


 楽しそうな夢。


 私も今から寝たら、見れるかな、そんな夢。


 私は秀映のすぐ隣に寝ころがった。


 顔も少し当たるほど近いし、起こしちゃいそう。


 ちょっと抱き合ってるみたいになっちゃってるよ。


 私からこの近さで寝るのをまた再開しちゃったんだけどね。


 だけど、ここまで秀映から伝わってくるものがあったら、楽しい夢が見れそうだ。


 今までもそうだったな、と振り返る。


 だから私は秀映が、


「すごく、大好き」


 小さく、秀映の耳元でそうつぶやいた。


 そして、どんどん眠りが深くなっていった。


 そうしてみた夢はどんな夢か覚えてない。

 

 ただ朝、私は、なんだか快く目が覚めた。


 そしたらちょうど秀映も目が開いたところで、


「あ、おはよう」


「うん、おはよう」


 この上なく近くで、この上なく何気ない挨拶を、私たちは交わすのだった。


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