星を見て思うこと
さて、普段寝る時間になっても、まだ花記と部長は帰ってこない。
まあ僕たちもせっかくなので夜の自然の雰囲気は楽しもうと思っていたから、別にいつでもいいんだけど。
ちなみに寝る時は女子テントと男子テントに分かれてお隣さんのテントな関係になるつもりなんだけど、まだ隣のテントは空で、僕と舞花が小さなテントに二人でいる状態だ。
って思ってるだけでさ、隣のテントにもう二人でいちゃいちゃしてたりしてな。
そう思って僕はテントを出て、隣のテントを覗いてみた。
大当たりでしたね。
二人で、もう最も接触面積がでかいんじゃないかってくらいくっついて寝てますよ。二人とも寝相が崩れてなくて静かな寝方。
というわけで、
舞花と僕がこっちのテントで過ごすことになってしまった。
ま、まあ付き合ってるんだし、狭いテントで一晩くらい、まあまあ緊張はしないよね。
って強がってると実際緊張はしないけど、ただ舞花がこちらを見てきた。
「二人、隣のテントにいたの?」
「うん、寝てたよもう」
「そっか、なんだ、なら私はこっちで秀映と過ごすね」
そう言って舞花は、デジカメと小さなノートパソコンを閉じた。
「ねえ秀映」
「どうした?」
「テントからちょっと頭出して、星みたいな。今更でごめんね」
「ううん。でもマジで虫が激突してくるかも」
「がまんする」
「おっけー」
僕も舞花と一緒に星を見るために、入り口方向に頭を向けて寝たまま移動した。
舞花もおんなじ感じで移動してくる。
「入り口狭いね」
「そうだね」
舞花と顔も身体もくっついて、そしてとても広い空間である夜空を見た。
もうこんな夜空なんだったら、僕と舞花がいるところは完全に同一点なんだろう。
いつか二人で蝶を探しに旅行に行った時。
あの時見た星は自由を感じた。
あの時と同じ気持ちもあるけど、でも、なんか、舞花とは離れたくなくて、今、舞花とぎゅうってなって、自由に動けないのに、とても気持ちが良かった。
二人でどの星の光だって、真っ直ぐに受け取れる。
「はあー、綺麗だね。見てよかった」
「そうだね」
そこまで暑くもないから、舞花の体温を感じたままがいいと思えるし、星の光も、何にも妨げられてない。
夜中の一時とか、もっと遅くなってる気もするけど、そのまま僕と舞花は、時間を過ごしていった。




