川の中
それからもどんどんと焼きまくっていって。
お肉はなくなり、そしてそのあと焼いた海鮮たちもあと少しになった。
普段はあまり食べないホタテとかは、特に後まで味が残っている。ほんとおいしかった。
それはそれとして、ふと見れば、部長が川の写真を撮りに行っていた。
片足はめっちゃ水の中に入れた状態だ。
撮りたい角度は譲らないという姿勢がわかる。
「写真に対する姿勢が尊敬に値しますねー」
舞花がまだまだ残ったものを食べ尽くしますよって感じで色々頬張りながらそれを眺める。
まあちゃんと持ってきた分は残さず食べる舞花も尊敬に値するし、片付けも今できる分は進めている花記も尊敬に値する。
さて、僕は今日やってみたいことがあったので、舞花と一緒に残ってるものを食べながら、花記と片付けもぼちぼち進めて……。
「よし! 始めるぞ」
「それ何?」
舞花が、僕が手に持っているものを謎なもの扱いしている。
「これはね、水の中を撮影するためのグッズ」
「おおー。なるほど、そのビニールのケースみたいなのにデジカメをいれるの?」
「そう。で、このビニールのケースには糸がついてるから、これで釣りみたいにして水の中を撮影できるってわけ」
「すごい。魚うつるかな」
「うつるといいなあ」
そう言いながら、録画をスタートしたデジカメを入れ、そしてビニールのケースをしっかりと閉じる。
あとは糸を釣竿につけて……。
さて、川に沈めてみましょう。
ちょうど深くなっているところがあるので、自分が落ちないようにしながら、糸を下に垂らしていった。
十分ほど待って、引き上げてみる。
そして映像確認。
「お、魚がいる」
「え? え、どんくらい食べごたえありそう?」
「いやそういうサイズではない。なんかの稚魚だと思う」
でもかなりの数群れでいて、水の泡もあって、なかなか良い、清流感のある映像だ。
「うわあ、すごいね。こういう映像集作って文化祭で流したいなあ」
「いいなそれ。……別のところでも撮ってみよう」
「うん」
僕たちは少し移動したところに、またカメラを沈めてみた。
引きあげて映像確認。
「うーん。いないなあ。魚は」
「そうかあ。え、これは?」
一緒に映像を眺めていた舞花が画面に指を添える。
「これ……は、わからん。でも、人工のものだな」
「……工作? なんかほら小学校の時に作る工作みたいなのにも見えるよ」
「あー、なんか自由な材料を使って動物を作りましょう的な感じか」
「それ」
僕は映像を通してではなく、直接川を見てみた。
あ、なんとか見える。
たしかに、小学生が作った工作のようなものが沈んでいるのだ。




