後日談 腰巻き
短いです。物足りなかったらごめんなさい
プールの後、待合でペットボトルの炭酸飲料を飲みながら太朗の着替えが終わるのを待っていた。
女子更衣室の入り口から太朗が飛び出して来た。しばらくして彼女もその後を小走りで出てきた。
「 太朗。濡れてて滑るから走るなっていつも言ってるだろ」
太朗を捕まえ持ち上げながら注意すると、余所を向いたまま太朗が答えた。
「はーい」
返事は素直なんだよなあ。行動が伴わんけど。
「はー、追いかけててあたしが滑っちゃったー」
追いついて来た彼女が、情けない顔と声で俺を見あげた。可愛い。それで太朗より少し出てくるのが遅かったのか。
「まじで?大丈夫?」
彼女が身体を少し捻って俺の方に尻を向けた。
「大丈夫だけど、濡れちゃったよ」
ベージュのパンツが濡れて、でかくて濃い染みが出来ていた。
思わず笑うと彼女に可愛く睨まれた。
「ごめん。それ恥ずかしいね。えーと、俺なんか持ってるっけ。あー制服じゃあんまりか。これ巻く?」
羽織っていたジャージの上を引っ張り尋ねると、彼女がすぐに頷いた。
脱ぐために太朗を一度下におろすと、早速走って離れて行こうとして彼女に捕まった。
「お兄ちゃん。早く早く。恥ずかしいんだって」
もがく太朗の様子を眺めていた俺に、彼女が催促した。お願いに遠慮がなくなっているのを感じて嬉しい。
「ああ、はい」
さっさと脱いで手渡すと、彼女が太朗から手を離し、俺のジャージを腰に巻いた。
なんか恋人って感じだな。彼女から返事をもらったわけじゃないけど、周りにはそう見えてるかな。
なんてどきどきしている場合ではない。太朗が随分先まで走っていってしまっている。彼女も走り始めた。俺も行こう。




