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魂胆見え見えなんだよ in教室


濃い1日から一転して、彼女とは何の関わりも接点もない日々が続いた。


礼を渡してから家族の日までの出来事を説明し、「諦めるのを諦めた」と言った俺に、政木と斎藤の二人はもうどうでもいいわと言う顔をした。

諦めきれないからそうするだけで、実際諦めないからと言って何も出来はしない。そのまま学校は夏休みに突入しようとしていた。


「 魂胆見え見えなんだよ。お前ストーカー化すんなよ」

「 すごいね。彼女のためなら課外を頑張れるんだね。ちゃんと勉強しなよ」

夏休みの課外授業を受けると二人にばれた日、呆れた様にそう言われた。

勿論親にも、あんたが水泳より勉強だなんて。死ぬんじゃないでしょうね。 と言われたが、気にしないことにした。

俺は極めて不純な動機から、夏休みに勉強をすることになった。


うちの学校では夏休み中、希望者は盆と土日と台風の日以外は課外授業が受けられることになっている。

それを希望するつもりなど微塵も無かったが、彼女の事を考えて悶々としているうちに気付いてしまった。

課外授業は選択制のため席が自由になる。

1時限目の授業を選択すれば、朝彼女と会えるのではないか。

遠目に顔をあわせて目配せするくらいのことを会うと言えるのかは怪しいが、一切接点なく過ごすよりどれ程ましだろう。

実際その事に気付いた瞬間は、嬉しくてベッドの上を転げまわった。

言葉の裏を読めない宮本から何気なく授業の行われる教室を聞き出し、園の駐車場が見える、俺のクラスと隣のクラスで行われる1時限目の2科目を選択した。

丁度隔日で週2日ずつ、計4日。俺の為にあるような時間割と教室割だった。

彼女を見ることだけは出来る。

落ち着いてみると、わずかな接点を取り戻したことに対する喜びは勿論あったが、見てどうするんだろうなという虚しさも相変わらずだった。




教室に1番乗りして席を取っていたにもかかわらず、初日は彼女が気付いてくれずもどかしい思いをした。

4回目の授業の日、ついに彼女の顔がこっちを向いたので慌てて小さく手を振った。

彼女が一度通り過ぎた視線を戻し、驚いた顔をした後、嬉しそうに笑ってくれた。嬉しかった。太朗が大声で俺を呼ぼうとするのを止めている様子も面白かった。

隣クラスでの授業の日にはやはり気付いてはもらえなかったが、俺を探しているのか一度学校の方を見上げる姿がすごく嬉しかった。

俺がいない日も、そうやって俺を探してくれているのかもしれないと思うと何故か切なくもなった。








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