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バトルフロンティア  作者: ぞえ
激動編
33/35

第六話 私の役目

ありがとうございますww





 俺が戻って来た時には全てが終わっていた。

 見ればアリアさんが体から血を流して倒れていた。


「・・・・・・・」


 そんな・・・・。

 負けた・・・あの勇者が負けた?


「所詮は過去の遺物。新魔王に勝てると思っていたのか?」

「・・・・・・」

「ペッ!」


 グレイスは口の中から血の塊を吐いた。


「お前も・・・・」


 次の瞬間、目にも止まらぬ速さで、黒い斬撃が俺の右腕を斬り飛ばした。

 

「っ!」


 更に魔力の弾が襲って来る。何とか氷の壁を作り防御するが、直ぐに破壊されて攻撃を受けて行く。

 もはや体の感覚はない。

 痛すぎて何が何だか分からない。

 精も魂も尽き果て、俺には何もなくなった。全てが嫌になった。

 寒い・・・冷たくなっていく。ああ・・・死の感覚。このまま何もかも無くなり、俺と言う存在もいずれ消えて行く。

 さよなら、俺。

 そう目を瞑ろうとした時だった。

 終わったはずだった。

 意味はないと思っていた。

 

「まだ・・・終わらせない」


 ぼやけた視界に誰かが映る。


「アリア・・・さん」

「『リザレクション』」


 体の激痛が引いて行く。軽くなり、楽になる。


「どうして・・・」

「負けてほしくない。こんな所で終わりなんて・・・絶対に嫌っ!もう、後悔だけはしたくないの・・・」


 アリアさんの魔法は他人の回復は出来ても、自分は出来ないようで、アリアさんの傷口は塞がっていない。


「アリアさんっ!」


 倒れ行く彼女を支える。


「ここが・・・ここまでが私の役目」


 その手を握る。

 冷たくなっていく体を俺は抱きしめた。


「またね・・・ユウト君。運が良かったら、また何処かで」


 そう言ってアリアさんの体が光り始めた。

 光の粒子となったアリアさんは何処かに消え、後には何も残っていなかった。


「はは・・・バカみたい。シャドさん死なせた時と一緒じゃねぇか・・・誰も守れないのか?」


 震えた手を握り締め、俺は立ち上がった。

 もう迷いなどはありはしない。

 殺す。


「・・素晴らしい。感動の別れだ・・・これが何かの物語なら、俺はこの後殺されるんだろう・・・」

「ああ、その通りだ。お前を殺して、何もかも終わらせてやる」


 もう、全てを・・・終わらせる。















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