第三話 氷雷
遅くなりましたww
廊下の突き当りの扉を開いた。
順番的にはギリアが来るだろう。
そんな予感は的中し、目の前にはギリアが立っていた。
「なるほど、シンを倒したなら、それ相当の実力の持ち主なんだな」
「チートをくれる神様なんていない・・・と、思っていたよ。若干、詐欺っぽくなってきたが、俺は負ける訳にはいかないんだ」
ギリアは数発の魔力弾を撃って来たが、全て槍で防ぐ。
「へぇ・・・下手な小細工は無意味ってか?いいだろう・・・見せてやるよ。俺の本当の姿を!」
ギリアの体は徐々に雷を帯び、体が発光し始めた。
体全体が黄色へと変化した。
「ふぅ・・・・・」
「あんたは、闇魔法しかないかと思っていたが、本当の姿を隠す、カモフラージュだった訳か・・・」
雷か・・・。
「この姿になるのも久々だ・・・精々、生きてくれよ」
次の瞬間、奴の姿が消え、腹に一撃膝蹴りを食らっていた。飛んだ先に一瞬で移動し、背中にタックル。空中に投げだれた瞬間、真上からの踵落とし。
「がはっ!」
流れるような連続技に翻弄される。
「消し炭になれ!『ヴォルト・スパイラル』」
放たれた莫大な雷の渦が俺に向かって放たれた。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!『氷花』」
氷の花の盾。
「くだらん!」
一瞬で粉砕され、俺を雷が覆った。
「ふん・・・・・やはり、俺の全力攻撃に耐えうることは出来なかったようだな」
ギリアが一歩戻ろうとした時だった。
体の、周辺の環境の変化に気づく。
体が上手く動かないのだ。
いつも通りであることは間違いないが、何故か前に進みにくい。
「どうなって・・・・・」
辺りを見渡す。
「氷?」
見れば、足元には氷が床を侵食していた。
天井も、壁も。
「まさか・・・まさか・・・・・」
奴は恐る恐る後ろを振り向いた。
「よお?ビビって腰でも抜かしたか?」
「なっ、何だそれは!」
「ラスボスにでも残しておきたかったんだがな・・・いわゆる卍解って奴だな」
氷の床をコツコツと歩く。
氷で形成された巨大な翼を広げる。
「『氷燐・蒼羽歳月』」
氷槍を構え、一気に距離を詰める。
ギリアはそれを両手で受け止め、弾き返す。
「そんなものかっ!『雷龍撃』」
全身から吹き出した雷が龍になり、襲って来た。
落ち着け、一点だ。一点に集中しろ。一撃だ。一撃で十分だ。
腰を低くして槍を構える。
「『氷結・零氷槍』!」
射程距離約四百メートル、貫通力最大の一撃。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
一閃。
蒼い一閃が雷とギリアを貫いた。
ギリアは床に倒れ、天を仰ぐように手を伸ばす。
「何故・・・何故邪魔をする」
「何故だろうな・・・俺によく分からん。ここに来て、色々なことがあった。流されるまま生きて来た。だけど、これだけは分かる。あいつを・・・・サクヤを守る。戻れなくてもいい。俺が生きている間は、絶対・・・絶対だ!」
どれだけの対価を払おうと、俺は守って見せる。
もう守られるだけの関係じゃ嫌なんだ。
そうして、俺は次の最後の扉を開けた。
もう直ぐ、終わりそうです・




