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バトルフロンティア  作者: ぞえ
覚醒編
25/35

第六話 歩み

ありがとうございます





「・・・・・・・・・・」


 目線の先には知らない天井が見えた。


「・・・生きて・・・いるのか?」


 俺は見知らぬベットの上で目が覚めた。


「いやー、目が覚めた?」


 丁度部屋に入って来た女性が声を掛けて来た。


「えっと、あなたは?」


 長い赤髪を揺らし、如何にもお姉さんという雰囲気の女性は言った。


「私?私はアリア・フラジール。元勇者よ」

「・・・ゆ、勇者?」

「そ!元ね。元」


 ・・・全然勇者に見えない。


「それで、俺は何でこんなとこに?」

「あー、何か川から流れて来て、まだ息があったから私が治療してたの」


 見れば体の傷は大したことがない。


「けど、そっちの方は抑え込んでいるから」


 左腕はグルグルと何重にも包帯と鎖が巻かれていた。


「俺は本当に息があったんですか?」

「ええ、それは確かよ」


 ・・・殺しそこなったていうのか?

 いや、あの攻撃は的確だったはずだ。

 確かにあの心臓が貫かれ、体が冷たくなっていく感覚を俺は知っている。死を俺は知っているはずなんだ。

 だから、俺は死んだ・・・・。


「ふふ、おもしろい反応」

「?」

「治療する時に見たよ、心臓の怪我。それは、君の体内にある全く異なる血が君を助けたんだよ」

「は?」

「君の体の中には左腕を中心とした魔物の魔力を持った血液がまわっている。それが、君の心臓を修復したんだよ」

「・・・・こいつが俺を助けたのか?」


 俺は左腕を見る。


「ありえない、だって・・・こいつは俺の体をのっとって・・・・・」


 そこまで考えて頭を撫でられた。


「まぁまぁ、今は眠った方がいいわ。私がいるから、安心して」

「・・・そう言えば、まだ言ってませんでしたね」


 冷静になった頭でアリアさんに言った。


「ありがとう、ございます」


 そうして深い眠りについた。










 アリアさんが住んでいるのは森の中にあるひっそりとした村であった。村自体はそんなに大きくないが、喉かで平和な時間が流れていた。

 もし、魔物が襲ってきてもアリアさんが撃退しているらしい。

 その村の畑でリハビリを兼ねて畑仕事をしていた。

 体は結構使えるようになった。

 後は・・・。

 左腕を見る。


「こいつをどうするか・・・」


 休憩中、俺はそんなこと考えていた。

 三日経ったけど、どうしたもんか。出来るなら、俺が生きていることを速く皆に知らせたいんだが、この状態で行ってもまた、魔物化するか分からない。

 この力が何なのか、はっきりとさせておかないと・・・。


「言い忘れてたけど、次のその鎖を取ったら、本当に人間に戻れなくなるから、気をつけてね」


 って言われたしなぁ。

 けど、いつまで経ってもここにはいられないし。

 

「お兄ちゃん、悩んでいるの?」


 と、目の前に小さな女の子だいた。

 俺は膝立ちになって、女の子と目線を合わせる。


「うん、まぁね」


 女の子は言った。


「逃げればいいのに」

「はは、そうなればいいんだけどね」


 女の子は更に続けた。


「お兄ちゃん、ずっと戦って来たんでしょ?」

「うん」

「辛いんでしょ?」

「・・・うん」

「だったら、泣けばいいじゃん?」

「泣くか・・・」


 いつからか涙を出していない。

 目の前で多くの仲間が死んでいるというのに、目先のことばかりに目を向けすぎて、涙を流す暇すらなかった。

 すると、女の子が俺を抱き寄せ、抱きしめてくれた。


「泣きたい時に泣いて、笑いたい時に笑って、それでいいじゃん?」

「・・・そう、だな・・・その通りだよ」


 暖かい。

 心を溶かされていくようだ・・・・。

 すると、自然と涙が出て来た。頬を伝ってぽたぽたと地面に落ちていく。

 

「・・・ありがとう。何か、元気出て来たよ」


 忘れていた。

 俺は止まることを許されない。

 ケイジさんやサクヤと一緒に元の世界に帰るまで。この世界でやるべきことやらなければならないのだ。

 それまでは、決して止まることは出来ない。

 そう心に誓ったんだ。


「ふふ、可愛い」


 ・・・ん?


「な、んでアリアさんが・・・」


 いつの間にか女の子とアリアさんが入れ替わっていた。

 

「・・・幻影魔法?」

「ぐはっ!」


 恥ずかしい・・・女の子に抱き着いて泣いただなんて、恥ずかしい。

 しかもよりによってアリアさんとは。

 元勇者、侮れん!


「まぁ、色々悩むよりかはいいよ。進め!少年!」


 アリアさんは空に向かって拳を突き出した。


主人公死んでませんでした。

この手の奴ではあるあるですね

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