第八話 こういう日
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また同じ夢を見ていた。
暗い闇の中だ。
そこに、立っていた。
「誰・・・・?」
そこには真っ黒な人影がいた。
人影は俺に向かって指を指した。
「俺は、お前。お前は俺だ」
「・・・どういうことだ?」
人影はニヤッと笑い、
「いずれ分かる・・・」
そう言って深淵の闇へ消えて行った。
「また、この夢か・・・」
ここ数日こんな夢ばかり見ていた。
いい加減に違うものを見てみたいものだ。
「おーす」
「よっ、ユウト。今日から復帰だっけ?」
「ああ」
ジストが布で剣を拭きながら診療所の隣にいた。
「体の調子はどうだ?」
「んー、それなりに動くことは出来るんだが・・・やっぱり違和感があるな」
俺は何となく左腕を見る。
ぐるぐると包帯を巻かれ、その上から魔封じの腕輪が装着してある。
対象違和感があると言っても、今までとまったく違う動きが出来ない訳ではない。
「ユウト」
「ん?」
「死ぬなよ・・・・」
「そう簡単に死ねないよ。そうだ、一戦付き合ってくれよ。ベットで寝てばかりで体が鈍ってるんだ」
「おっ、いいぜ」
ジストは自分の大剣を持って来た。
槍を構え、模擬戦を開始した。
一時間後。
「はぁ・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・・やるじゃねぇか・・・」
「そっちこそ。ジストって、こんな強かったっけ?いや、俺が少し弱くなったのか」
地面に膝を着く。
「バカ言え、俺が強くなったんだ・・・・」
「はは、そうかい」
訓練を終え、夕食を食べる。
胃が寂しく、次々スープとパンを口に詰め込む。
「そんなに急いで食べたら詰まるよ」
「うぐっ!」
「ほら、言ったじゃん」
サクヤは俺の背中を撫で、水を差しだした。一気に喉の奥に流し込む。
「っぱぁ・・・サンキュ」
「まったく、ゆっくり食べないからこうなるんだよ」
「ん、すまん」
そんな二人の様子を見ていたジストは、
「なぁ、お前らって恋人なの?」
「ぶっ!」
「っ!」
俺とサクヤは同じような反応をする。
「ちょっ!ジスト!いい加減にしなさいよね!わ、私がユウトとだなんて!ありえない!」
「・・・・・・・」
「だよなぁ」
ジストは笑いながら水を飲む。
「まったく・・・」
俺は一人こう思った。
いや、そこまで否定しなくてもよくない?
と。
食堂から自室に戻り、ベットに転がる。
不意に見た左腕は包帯がぐるぐるしてある。その隙間から見える黒く染まった肌はいつものように気味の悪い何かを感じる。
「俺、どうなるんだろうな・・・・」
そう呟き、俺は深い眠りの中に落ちた。
次から色々と話が進んでいきますww




