第三話 テスト
ありがとうございますww
「いいか?今回は新人ユウトの入隊テストを行う。そして、以後このテストは行わない」
「えっ!」
「サクヤ。ずっと言いたかったことだ。お前が何を思うおうと構わない。だが、ここから先の戦いは二人じゃ無理だ。それに、ここには王国の推薦で来ているんだ。毎度毎度、手続きが面倒だ!ので、ユウトだけテストを行います」
「・・・・はぁ」
「何だ?不満そうだな?ユウト」
「何でもありません!」
俺は叫ぶ。
「よし、コカトリスはこの先だ。死ぬなよ」
「了解!」
槍を握り締めて走り出す。すると、サクヤが言った。
「私はユウトが勝てるとは思ってない。けど、死なないで」
「・・・・大丈夫。俺は勝つから」
「・・・・・・」
それだけ言うと、俺は林の向こうに消えた。
コカトリスは全長六メートル程の鶏が黒くなったような鳥だった。
「でか・・・・・・・」
想像していた以上にコカトリスの威圧感は尋常ではなかった。
「行くぞぉ!」
七十七式突撃槍を構え、突撃する。
それに反応してコカトリスも向かって来た。俺はその大雑把な正面からの突進を回避、脚を横に斬った。が、思わず弾かれる。
何か硬い物を叩いた時に手にジ~ンと来る痛いやつだ。
「うおっ!」
反動で後ろに仰け反る。それを絶交のチャンスと見たのか、コカトリスはその鋭い口ばしで攻撃して来た。
直ぐに槍でガードするが、衝撃がビリビリと来る。
バックステップで間を取る。
「ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・」
強い。
普通なら、この辺で神様とかにチート的な能力をもらえる予定なんだけどな・・・・。
「はぁっ!」
今度は正面から奴の口ばしを受け弾き返す。隙を見て胸のあたりから上に向かって斬り上げる。
「キァァァァァァァァァァァッ!」
コカトリスは悲鳴を上げながら後退する。
「よし、このままっ!」
そのまま間合いを詰めて追撃しようとするが、コカトリスは強烈な一撃を俺の直ぐ目の前に食らわせる。俺は一旦後ろに下がるが、今度はコカトリスが追撃を仕掛けて来た。
「くっ!」
攻撃の数が多過ぎで防御し切れない!
コカトリスは一瞬飛び上がって前脚で攻撃をして来た。
「せいっ!」
槍を横にしてガードする。
コカトリスは全体重を上から俺に向かって押し付けて来た。
「重っ!」
体がギシギシと悲鳴を上げ、地面に少しばかりめり込む。
痛・・・こんなの耐えられん。
ダメだ!ここで負けられない!
俺は生きる。生きて帰る!だから、こんな所で死ねないっ!
俺は渾身の力を振り絞ってコカトリスの下から退いた。
「鳥野郎がぁっ!」
次にコカトリスが口ばしで攻撃して来た瞬間口ばしを斬った。
コカトリスは大きく後ろに仰け反った。
次は追撃を行わず、こちらも体制を整える。
「ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・」
焦るな。慌てるな。目を開け。相手の動きを見ろ。
精神を統一し、無駄な力を抜く。
そして、ゆっくりと槍を構えた。
「隊長・・・」
数十メートル離れた木の上からサクヤとゼスは待機していた。
二人はユウトの戦闘を監視していた。
「ああ、流石元帥が押してただけある。今はそう強くないとしても、かなりの逸材に違いない。まるで、お前みたいだな」
「隊長!まぁ・・・これで、認めてやってもいいけど」
サクヤはそう呟いた。
俺はスッと目を閉じる。
この一撃に全てをかける。
「我、幻想を打ち砕き、刹那の刃と成らん」
コカトリスが突撃して来た。
俺は焦ることなく、槍を構える。
目を見開いた。
「らぁぁぁぁっ!」
体が加速し口ばし攻撃を回避する。そのままコカトリスの体を横から薙ぎ払った。鋭い刃が分厚い肉を斬り裂いた。
真っ赤な血が地面に付着し、コカトリスはその場に倒れた。
俺は首を槍で貫いてトドメを刺した。
「どうだ・・・・この野郎」
今の技は加速魔法。一瞬だけだが自身のスピードを上げる魔法である。俺の唯一の必殺技とも言っていいかもしれない。
槍を地面に突き刺し、俺はその場に倒れ込んだ。
上を向けば青い空が広がっている。それに黒髪の少女が映りこんだ。
「やったぞ?」
「明日から忙しいよ」
ありがとうございましたww




