第一話 第一独立小隊
ありがとうございます!
俺は王国の中に設立された連合軍第一独立小隊になった。
何をするのか分からないが、取り合えず世話になる宿舎に入る。
「ん、こんな所に客人とは珍しいな」
入るなり居間のイスに腰をかけ、メガネを掛けた金髪の男性が喋りかけて来た。
「えっと、新しくこの隊に入ることになりました。ユウト・サカキと言います」
「ああ、君が元帥が言っていた新入りか。俺は連合軍第一独立小隊隊長、ゼス・リメアだ。よろしく頼む」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
ゼス隊長はニッコリ笑って、
「ユウトの部屋は二階に上がって左の二番の部屋だ。荷物も届いているから、少し休んだらどうだ?」
「そうですね。取り合えず部屋で荷物を整理して来ます」
「ああ、皆への挨拶はその後でいい」
俺は礼をして二階へ上がる。
「おぉ」
中は一人部屋にしては意外にも広く、ベットもフカフカであった。
部屋の隅には俺の荷物が置かれており、服や必需品を整理する。終わると、挨拶しないといけないと思い、一階へ降りていく。
「ふぅ・・・いいお湯だった。貴族でもないのに、宿舎にお湯なんて贅沢だなぁ」
と、布一枚に身を包んだ女性が現れた。綺麗な黒髪は肩より少し長く。身長は俺と同じぐらいか、少し低いぐらい。胸は大きくないが、出るとこは出ている。十分魅力的な体だと言えるだろう。
顔もかなり可愛いと思う。肌も色白で、俺の学校に入れば間違いなく美少女ランキング上位に滑りこむような人物だった。
その頬が徐々に赤くなり、高い叫び声と共に俺の頬が何か強烈な衝撃を受けた。
「うう・・・はっ!ここは・・・」
「入隊初日から悲惨だった」
視界の奥にはゼス隊長がいた。
「何があったんですか?」
「覚えてないのか?」
「えっと、そうですねぇ・・・・誰かにビンタされたような記憶があるんですが・・・・どうして、こんなことに・・・う~ん」
すると、透き通った美しい声が聞こえて来た。
「ゼス隊長、新入り起きましたか?」
「ああ、丁度」
奥から黒髪の女性が現れた。
「あっ!」
「変態」
「いや、違うから!たまたまだから!」
「隊長、私この人の入隊には反対です」
「えぇ!」
「まぁまぁ二人とも落ち着け。取り合えず自己紹介からだ」
女性が黙ってから言った。
「私は第一独立小隊所属、サクヤ・アオシマ」
え?アオシマって、青島?
「どうしたの?」
「い、いや。なんでもない。俺の名はユウト・サカキだ。なぁ、あんたってもしかして・・・・」
「・・・・多分、そのもしかしてであってるかも」
彼女も異世界人だった。
俺と同じ。日本の何処かで死んで、ここに来たのだ。
「なぁ、どうしてここに来たんだ?」
「友達と一緒にハイキングに行ったんだけど、足を滑らしてね」
「俺も同じようなもんだ。トラックに跳ねられて、気付いたらここにいた」
「そう、何でだろうね」
「二人は顔見知りなのか?」
それに対してサクヤは、
「違います!私はこんな変態とは顔見知りでもありません!」
「おい!だから俺は変態じゃない!」
「ほら、喧嘩するな!取り合えず、部隊の親睦を深める為にお互い下の名前で呼び合うように!」
「えー・・・・」
「・・・・・・」
あれ?
「隊長、他にいないんですか?」
「何が?」
「この部隊の隊員です」
ゼス隊長は窓を見ながら、
「ユウト。知ってるか?この部隊は少数精鋭だということを」
「いえ、初めて知りました」
「つまりそういうことだ」
「はい、バッチリ理解しました」
「兎に角、隊長。私はこのユウトのことは認めません」
「硬いこと言うなよ」
「私は嫌です!だって、裸見られたんですよ!」
「タオル一枚じゃん」
「あんたは黙ってて!」
ひっ!めっちゃ睨まれた。
こわっ!
「そう言われてもなぁ・・・・あっ、そうだ!じゃぁ、ユウトが一つ任務をこなせばいいだろう?」
サクヤは一度考え込んでから、
「まぁ、それならいいですけど」
「よし!決まり。任務はユウトにあったものを取って来てやる」
「もしかして、俺一人ですか?」
「何言ってるの?そうじゃないと意味がないじゃない」
「・・・・・・」
ゼス隊長は肩を叩く。
その後、ゼス隊長が一枚の紙を持って来た。
そこに書かれていた内容は、
『コカトリス討伐』
「隊長、あの」
ゼス隊長は体を前に向けながら、顔を横に逸らしている。その顔には汗がダラダラと流している。
「隊長!」
「すまん。大臣がさぁ、無理でもこの任務を押し通せって言うもんだから。まぁ、独立部隊はこういう危険な任務が多いんだけどな」
そう言って手を振りながら行ってしまう。
「ゼス隊長!」
「ん?」
「その任務、俺が一人でこなしてみせます」
「・・・・・」
ゼス隊長は一度首を捻ってから、
「死なない程度にな。周辺には俺とサクヤがいる。俺達が危険だと判断し、手助けをすればサクヤは認めない。それでいいか?」
「問題ないです」
俺は早速演習場へ向かうと思ったのだ。
「あっ、槍がない・・・・」
キメラに刺したまま。俺はあの槍を置いて来てしまっていた。
やっとヒロイン登場ですね。
そのうちもう一人出てきますww




