108・クルス先生の奇行と、アルジのハーブティ。
処置の際には、感染予防として前後のうがい手洗いと、マスクの着用を義務付けている。
うがい用の水は清凉感を与えるハーブを漬け込んだ水が用意してあるため、それを使ってうがいをした後、各自専用の布マスク(布マスクを全員で使いまわすのは、なんとなく下着と一緒で、衛生的にも気持ち的にも嫌だから、マスクの左端に個人特定用の刺繍をモリーにしてもらって識別している。ちなみに私のマークは三日月。)をつける。
その後、最近、鍛冶屋の親方と一緒に考え新設したばかりの洗面所……と言っても、外から引き込んだ水が絶えず流れて水盆に流れ落ちる、時代劇でもお手洗いの前にある小さな手水鉢の流水で、石鹸も使用して、しっかりと手を洗って、用意してある乾布で拭うのだ。
決められた通りの手順で洗面を終えた私は、クルス先生の処方した少々強めの経口用鎮痛剤の影響で、終始うとうととまどろんでいるが、声を掛ければ開眼し、反応もする、しかし刺激がなくなれば再びうとうと眠りに落ちる、いわゆる『傾眠』状態の患者の体の前に立った。
「まずは傷の洗浄をしましょう。」
「はい。」
彼の胸を包み込んでいる処置用に加工した布「腹帯」を広げると、全面に貼りついた淡い桃色の『壊死組織侵食治療用スライム』が現れる。
頭部冷却シートやシップの様に簡単にそれを取り除くと、彼の鎖骨下から胸部、そして腹部の半分にかけて、炎魔法を至近距離から直撃したために炭化、もしくは壊死していた表皮部分はすっかりなくなり、むき出しになった真っ赤な皮下組織が見えた。
(……う~ん、気持ち悪い! 解剖生理学の筋組織解剖図のようだわ……。)
医療の現場にいたことがない人が見れば、悲鳴をあげてしまう状態だが、そこは私たちは医療班。アルジもシルバーもすっかり慣れているのか、次々に必要な資材の用意を始める。
ちなみに私は、正直、外科系から逃げ回っていたためここまでむき出しの傷は久しぶりで、つい眉間に皺が寄ってしまった。
(駄目よ、ちゃんと観察。)
気を取り直して創部を観察する。
以前は壊死した皮膚で赤黒く焼けていたそこは、真っ赤でむき出し。浸出液はスライムが吸収しているが、じわっと傷口が潤み始めたのを見ると多いのかもしれない。
しかし、色の濁った膿状のものはなく、火傷周囲の部分もしっかりと張りがある状態の良い皮膚組織になっていて、炎症兆候も感染兆候もないようだ。
ほっとした私は、仰臥位(しっかり上を向いた状態)の彼の両脇と首元、腹もとに厚めに巻いた綺麗な布を置いて堤防代わりにし、わずかに皮膚に張り付いたままのスライムの残滓や粘液を、事前に泡立てた石鹸を使用し創部を優しく撫でるように洗った後、同様に創部を擦らないように気を付けながら泡を拭い取り、鍛冶屋の親方にお願いして作ってもらった手のひらサイズのシャワー口のついた『創部洗浄用のポット』を使い、石鹸成分を残さないよう綺麗に洗い流す。
ちなみに、ポットの中に入っているのは煮沸水ではなく、こちらも親方に作ってもらった『蒸留器』で作った『蒸留水』だ。
(ふふふ、理科の実験でやった蒸留水作り、覚えておいてよかったわ。それに、蒸留器があれば、イースト菌もあるし、野菜から『消毒用エタノール』も作れるのよね。)
そんなことを考えながら創部の洗浄を終えると、こちらも鍛冶屋の親方に作ってもらった『ガーゼカスト』から取り出した滅菌布を『攝子』で取り出し、洗う時同様決して創部を擦ったりなどしないよう、丁寧に布を当て、乾拭きして水分を取る。
(ガーゼカストに攝子に攝子立て! 昔取った杵柄? 一世代前の看護知っていてよかったー!)
そう。前世の私の看護人生の後半、簡素で単純な造りの医療器材――例えば処置用にあらかじめ必要資材がすべて入って個包装された中に入っている攝子等はプラ素材で使い捨て、ガーゼや綿球などの消耗品も全てコストの無駄がない少数個包装が主流だった。
勿論、手術室で使用する特殊医療器材や、普段様々なことに使用する金属製の攝子、クーパー(鋏)、鉗子(カンシ・見た目は鋏みたいだけど切れないようになっている固定用の機材)などは使い捨てというわけにはいかない。
そのような医療機材は、使用後、中央材料室と言われる、大きな病院では大体手術室の隣にある専門の場所に運ばれると、そこのスタッフにより一個一個をしっかり洗浄(攝子なんか洗濯機で洗うところもあるわ)、乾燥・パッケージ資材で梱包した上で、オートクレーブと言われる高圧蒸気滅菌器(高温度・高圧力で121℃もしくは124℃で15分以上だったはず?)滅菌消毒し、蒸気をしっかり乾燥させてから、各部署へ運ばれて再び処置に使われていた。
しかしそんな便利な物はこの世界にはない。
お湯を沸かせば100℃!
それ以上でもそれ以下でもない!
正直、魔法があるのだから、火魔法で一気に焼却滅菌! と思ったが、私は火魔法が使えないし、誰かに頼もうにも説明も難しく、火力加減もわからない。もし失敗してせっかく親方が何度も試行錯誤して作ってくれた医療器材が全滅されたら私が泣いてしまう。
と言うわけで、少々面倒くさいが、機材の消毒は古典的方法を選択した。
使用の有無に関わらず、一日一回、試行錯誤で洗浄力がアップした石鹸で洗浄し、大きな寸胴でぐらぐら15分煮沸消毒をし、乾燥させたらカバーをかけて保管、使用するという方法だ。
(正直、それでは死滅しない菌もいるけどね! 芽胞とか、熱を加えると目が覚めるとか強すぎない!? 納豆菌もそうだけど……あ、納豆食べたい。秋には米も取れるし、早く大豆育たないかしら。)
うふふ、と、前世に食べていた食品を食べる日が来るのを楽しみにしながら、アルジがガーゼカストから攝子で取り出した布を、同じく手に持った攝子で受け取りながら、彼女の機械操作を確認する。
攝子立てから攝子を抜き取る作業も、ガーゼカストからガーゼを抜き取る方法も完璧だ。
(うん、アルジもシルバーも、清潔操作は完璧ね!)
今、アルジの手元にあるガーゼカストには、前世の処置用ガーゼの標準サイズである、一辺が30㎝にカットした布を八つに折り、輪になった部分を上にして入れ、親方に頼んで作ってもらった、良く台所で見るあの『蒸し器』で同じく15分、みっちり蒸気で蒸しあげてから、風魔法をつかい、温風乾燥をしているため、内部に湿気は残っていない……はずである。
完全に滅菌済みの清潔資材か? と問われれば正直疑問は残る……いや、正直、黒(不潔)に近いグレー(準清潔)かもしれない……。
(いいの! 今できる最大限は頑張ってるんだから!)
そう、すべてやらないよりはまし、焼け石に水程度の滅菌方法でも、やらないよりはまし、なのである。
と、話はそれたが、患者の創部の洗浄が終わり、診察ブースで出番を待つクルス先生を呼ぶと、うきうきした顔でやって来た彼は、シルバーから受け取った攝子で患者の創部を少しつつき、なにやら確認し頷いてから、おもむろに取り出した先ほどの瓶詰めスライムを、ててて~と流し落とした。
患部に墜とされたスライムは、てろり~ん、と広がると、自ら、ジェル状の体をそろそろと伸ばし、むき出しになった筋組織の上に広がると、ほどほどの薄さに身を縮め、創部にぺったりと隙間なく密着した。
その様子を観察し、ツンツンとスライムを攝子でつついたクルス先生は、満足そうに頷いた。
「うん、いいね。処置完了。」
その言葉を合図に、アルジとシルバーがガーゼカストから布を出し、捌いて広げると、丁寧にスライムの上に広げてから、腹帯でしっかりと固定を確認して、処置は終了した。
「想像以上に綺麗な創部だったのでびっくりしましたわ。」
あんなに完全に壊死した部分が取り除かれたとは思っていなかったため、感心したように言うと、先に手洗いを始めたクルス先生は頷いた。
「そうだろう? 元がスライムだからね。もう少し雑な仕事になるかと思ったけれど、期待以上だった。」
左の隅に黒い鳥の絵柄が刺繍してあるマスクを外し洗濯籠に放り込んだクルス先生は、そのままナースステーションの席に着くと、先ほどまでスライムの入っていた空の瓶を目元まで持ち上げて笑ってから、私の方を見た。
「次は、もっと期待以上の成果が出るはずだ、僕は天才だからね。」
「期待しておりますわ。」
にっこり笑ってそう答えると、もちろん、とクルス先生は口元を歪めて笑った。
「新型スラティブ……いや、今回の水色のスライムは『アスラノール』と名前を付けよう。あぁ、明日が楽しみだなぁ。どんな風になっているかなぁ~。」
(言ってることとやっていることは普通なのに、先生がマッドサイエンティストに見えるわ……。)
ニヤニヤとしながら空になった瓶を置き、テーブルの上にあったカルテを開くと日付と、現在の傷の状況と、今日から始まった治療の手順を書き込み始めたクルス先生を見てそんなことを思いつつ、それでもとても楽しそうで、ちゃんと効果が出ればいいなと、私は空になった瓶を手に持ってから、ふと思い出す。
(そうだわ、前々からに気になっていたことを聞いてみようかしら?)
「先生、前から気になっていたのですが。」
「うん? なんだい?」
視線を、ペンを走らせるカルテから動かさないまま答えたクルス先生に、私は問うた。
「騎士団内の全ての御不浄の浄化槽に騎士団薬草園と野菜園の堆肥製造機、それから治療用と研究用。こちらに来られてから、先生はかなりの数のスライムを使っていらっしゃると思うのですが、これだけの数のスライム、先生はどうやって捕まえていらっしゃるのですか? 確かに、この近くにはスライムの発生率が高くなる鉱山もありますが、近くと言っても砦から鉱山までは馬車で半日以上かかると聞いております。」
「あぁ、そのこと?」
ゆっくりとカルテから視線を上げ、私の方を振り向き、ペンを持った手で頬杖をつくと、意味ありげににやりと口元を歪めて笑ったクルス先生に、一瞬、私が後ろに身を引いた時だった。
「クルス先生はいらっしゃいますかっ!」
「っ!?」
そんな声とともに、治療院の扉の開く音と扉につけられた鈴の音、次いでガシャガシャと金属が重なり合った何人分かの重厚な足音がこちらに近づいてくるのが聞こえた。
(まさか、重症患者!?)
次の行動のため身を硬くした私と、のんびり頬杖をついたままクルス先生。二人でそちらを見た。
カーテンが開けられる音と人の気配。
(怪我かしら、病気かしら?)
入ってきた、簡素な鎧をつけた人影に、椅子から立ち上がろうとした時だった。
「クルス先生、お疲れ様です! 調査中にスライム生け捕ってきたんですけど、また買い取ってもらえますか? 」
「へ?」
「お、いいよいいよ~。イキが良いのは前回と同じく一匹5,000マキエ、弱っている物や死骸は500マキエだよ~。」
と、大きめの瓶にキラキラと光る核が入ったスライムを抱え、満面の笑みで入って来る若い隊員が数名と、それに向かってにこやかに手を振るクルス先生に、私は目をまん丸くして何度も見返した。
「え? スライムの……買い取り?」
「……っ! ネオン隊長様……殿っ! おいでになられたのですか!?」
へらりと笑って彼らを見るクルス先生と、真っ青な顔になって棒立ちする騎士。
「え……えぇと……?」
状況が呑み込めず、クルス先生と騎士を見返すと、正気に戻った騎士たちが一斉に私に向かって頭を下げた。
「「「申し訳ありません、ネオン隊長殿っ!」」」
二度目の謝罪に、私は状況を飲み込めないまま、静かにお願いをした。
「あの、声はもう少し小さく……ここは医療院で、患者がいるのだから。」
「「「はいっ! 申し訳ありませんっ!」」」
「ですから、声を小さくお願いしますね。」
「「「はいっ! ……はっ、も、申し訳ありません……っ!」」」
(もうっ! ぜんっぜん解ってないし……。)
溜息をついて、私は椅子に座り直す。
「もう結構ですよ、皆、頭をあげて頂戴。 しかし、まぁ、それにしても。」
ただひたすらに、膝と額がくっつくのではないかしら? と思うくらい頭を下げて謝る6名の一般隊員を前に困惑する私の隣で、気の抜けた声で「まぁまぁ、怒んないで~」とにこにこと笑うクルス先生は、ことのあらましを説明してくれた。
つまり、だ。
「領地の見回りに行く一番下の階級の隊員から、スライムを買い取っていたという事ですか……?」
「うん、そう。彼らは仕事をしながら小遣い稼ぎが出来て、僕は鮮度のいいスライムが手に入る。効率いいだろう?」
にこにこと笑いながら椅子から立ち上がり、大きな体を縮こまらせている隊員たちのところに近づいたクルス先生は、彼らの足元にあるスライムのたくさん入った大きな瓶をひょいっと持ち上げた。
(ん!? 若い子が両手で持っていたスライム瓶を、クルス先生、片手!?)
その細い体でどんな筋力してるのよ、とさすがに突っ込むことも出来ず、ただただ驚きのまま状況確認をしている私をよそに、クルス先生はぽん、と瓶を閉じていた蓋を開けると、じっと中を見つめ、再びしっかり蓋をして、瓶を床に置いた。
「いきがいいのが14体と、死骸が5体。ただし、死骸の中に珍しいのがいたからね、その分上乗せして払おう! いつもありがとう!」
「こ、こんなにいただけるのですか!? あ、ありがとうございます!」
クルス先生が白衣のポケットから取りだした大銀貨を受け取って、ものすごいいい笑顔を浮かべて喜ぶ隊員だが、そんな様子を私は見守りながら内心驚きの連続だった。
(先ほど言っていた値段だと、本来なら72,500マキエ……なのに80,000マキエも払っているわ? そんなに珍しいものが混じっていたのかしら? いえ、其れより値段の決め方がおおざっぱというか……先生らしいけれど……。しかし騎士団のお仕事で領地の見回りに行ったついでにスライム捕まえて80,000マキエ……市井での私のお給料をたった一日で稼ぐとかすごいわ……。確かに魔物相手だけれど、相手は最弱の名を欲しいままにするスライム……。しかも値段はかなり違うけれど、生死不問。確かにこれは見回りに出る若手騎士様には、いいお小遣い稼ぎだわ。しかしこのアルバイト、騎士団の中で許されるのかしら?)
シノ隊長辺りにばれたらめんどうくさいのではないだろうかと、考えながらそのやり取りを見ていると、先程金を受け取った若い騎士の横から、他の隊員がスライムを詰め込んだ瓶を差し出した。
「自分はこれです、クルス先生。 結構いいと思うんです!」
「割り込むなよ、次は俺だぞ。」
そんな彼を押しのけるように、隣にいた隊員が、足元に置いていた自分の瓶を持ち上げてクルス先生に差し出す。
「まぁまぁ、落ち着いて。」
そんな彼らを見ていたクルス先生は、にこやかな笑顔で彼らを窘める。
「ちゃんと順番に見ていくから落ち着いて。大丈夫、買い取らないってことはない、ちゃんと全部買い取るよ。」
「「「はいっ! ありがとうございます!」」」
クルス先生の言葉に、きちっと順番に並んで、次々とスライムの瓶を差し出し、代金を受け取っていく若い隊員は、全員がお金を受け取り終わると、全員で私に挨拶をし、受付の裏に置いてあった、大きな空き瓶を一つずつ抱え、医療院を出て行った。
(まって? 普通に見ていたけど、替えの瓶までああして置いてあるの? いったいいつからこのバイト関係が成り立っているの?)
と首を傾げながらそのやり取りを見ていると、後片付けの終わったアルジとシルバーが笑いながら帰って来た。
「あ、また来てますよ。皆さん頑張ってますね。」
「そりゃそうさ。一番下っ端の騎士の給料なんて高が知れてるからな。僕だって他の隊で働いていたら、見かけ次第捕まえて売るよ。」
「ちょ、ちょっと待って頂戴、2人とも。」
ごく普通な日常会話として彼らの話題になっていることに疑問と驚きを感じ、慌てて二人に声をかけた。
「どうかしましたか? 隊長」
首を傾げる二人に、私は自分がおかしいのかと首を傾げてしまうが、とりあえず聞かなければならないことを聞く。
「クルス先生は一体いつから、スライムの買取りをしているの?」
「ここに来られてすぐですよ? 本格的に買い取りを始められたのは、鈴蘭祭の後くらいだったと思いますが……。」
その言葉に、私はがっくりと肩を落とした。
「そ、そんな前からこんなやり取りをしていたのね……。」
「え? 隊長、もしかしてご存じなかったのですか?」
私の言葉に、シルバーは目を真ん丸にし、アルジはそっか、と手を打つ。
「隊長、ずっと体調を崩されたり、視察が入ったりとお忙しくしていらっしゃいましたものね。クルス先生、お給料の安い、一番下の階級の騎士限定で買い取りをされているんですよ。若い隊員たちへの慈善事業も兼ねているから、隊長もきっと許してくれるはずって言っておられて……まさか、今日の今日まで未報告だとは思いませんでしたが……。」
そう言いながらアルジがちらりとクルス先生の方を見たため、私もそちらを見ると、スライムの入った瓶を、嬉しそうに自室へ運ぶため、カートに乗せていた。
「いや~。大量だ。これで少しの間研究に没頭できるなぁ。」
ニコニコしている先生に、私は一つ、咳払いをしてから告げた。
「先生、何かするときには、事前に相談と報告いただけるとありがたいですわ。」
それにきょとん、と間の抜けた顔をした先生は、少し視線を宙に彷徨わせた後、あぁ、そうか、と先程のアルジのように手を打った。
「隊長、年若い生活に困っている騎士を対象に、医療院でスライムの買取りをしていいかな? 実験用と治療用なんだ。」
「いいも悪いもありませんわ……今更そんな言い方をなさっても、すでに事後報告です。」
少し低めの声で言うと、さらに笑みを深めたクルス先生は、スラティブの報告書を指さしてにっこりと笑った。
「スラティブですでに功績は上げているし、懐の広いネオン隊長なら許してくれると解っていたからね。」
「……次からは事前に報告してくださいましね……。絶対ですよ?」
「あはは、解ったよ。次からは必ず、約束は守るよ。じゃあ、僕は上に戻るけど、何かあったら呼んでくれたまえ。さぁ、バリバリ実験するぞ!」
少し強めの忠告を物ともせず、満面の笑みでスライムを持って二階へ上がっていったクルス先生の行動に額を押さえてため息をついた私の前に、少し顔色を悪くしたアルジが静かに、蜂蜜たっぷりのリラックス作用のあるハーブティーを出してくれたのはそのすぐ後のことだった。
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気候の変動が激しいので、皆様、ご自愛の上お過ごしくださいませ。




