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北京動乱編- 大沽砲台

 作品再編を決定。2023年9月5日を本作品最終投稿にします。

 再編作品は同一作品名、再編で公表する予定です

 1900年6月16日 大沽

 大沽は北京にとって海の玄関口である。北京を犯さんと欲す敵軍は兵站の確保の必要性も相まって大沽の占領が必須の行為である。ゆえにここには防衛用の砲台が置かれた。逐次増強されつつもここ最近ではおよそ40年前英仏米ロと戦ったアロー戦争により1860年8月21に陥落。10月13日には北京も陥落している。

 この砲台は付近に天津・北京方面に向かう河川がある。鉄道線の破壊を恐れた連合軍にとってこの河川は北京方面の進軍にとって唯一の希望でもあった。鉄道がダメでも河川水運での兵站確保の道があったのだ。しかし、この砲台にはおよそ3500の清国兵士、軍用艦5、大砲177門〈うち近代砲19門〉。さらにこの砲台の兵たちはその川の河口に機雷や陸上魚雷発射管の敷設を行っていた。これでは河川輸送が使えない。排除しようにも砲撃を受ける危険が大きい。

 北京において包囲されている人々を救うにはこの砲台の無力化が必須だった。

 ゆえに6月16日連合軍はこの砲台を引き渡すように通牒を出した。期限は翌17日AM2:00

 むろん、これは最後通牒に近いもので、この時点で連合軍の兵士は3000名。兵数は少ないものの多数の停泊艦による艦砲射撃が期待できた。

 清国側のほうがほとんどが旧式砲であったことを考えるといくら水上艦艇からの砲撃が陸上要塞に不利であることを鑑みても連合側有利である。


 そして史実日本はこの場に砲艦赤城、駆逐艦陽炎、あらかじめいた水兵を含めて230名を動員していた。

 この世界でははるかに上回る数がいた。上に上げた艦を含めて入港していた砲艦3隻、防護巡洋艦3隻。ここに残存している海兵だけでも1000名を超えた。

 ほかに駆逐艦4隻。1隻あたり50名。ゆえにこの世界における最後通牒時点の連合軍兵士はおよそ4000名だった。


 駆逐艦 霓 

 そのうちの1隻駆逐艦霓も史実ではこの場にいなかった船の1隻である。彼らは入港して時は経っていなかった。駆逐艦は巡洋艦よりも外洋航行能力が劣る関係で到着が遅れたのだ。

 ただし霓の場合は欧州から回航されて実戦配備直後のタイミングであったことが遅れの原因だった

 艦長は霓を欧州から回航する回航委員長だった財部 彪少佐〈回航委員長時は大尉〉

 秋山真之や広瀬武夫と同時期に海外留学に抜擢された経験を持つ。さらには海軍大臣山本権兵衛の娘婿でもある。

 17日AM00:50それは起きた

「大沽砲台砲撃を開始しました!!」

「期限の70分前だぞ!!」

 艦長室に飛び込んできた水兵に悪態をつく。直後、艦全体に大きな衝撃が走る

「命中弾か!!応急処置を」

「魚雷発射管に被弾!!」

 その報告は艦に致命的損害を受ける可能性を示唆していた霓は艦尾に単装旋回式水上魚雷発射管2基集中している。その真下は機関室。誘爆した場合、おそらく機関室まで大きな損害を被ることになる。いやもう遅い。すでに艦が傾斜している。

「誘爆は!!」

「1番誘爆済み2番までの移動が困難。2番の誘爆は時間の問題です!!」

「船を捨てよ。対艦命令!!」

「・・・了解・・・」


 防護巡洋艦 須磨 

「島村大佐・・・霓が炎上しています。」

 島村は呼び戻されていた。大きな兵力動員の可能性が高い大沽砲台奪取戦の指揮をする必要性があったことはもちろん、列国の影響もあった。抜け駆けは許さぬぞというのである。

「わかっている。箇所は1番魚雷発射管・・・炎上中。これでは2番発射管の延焼防止もできん・・・誘爆を待つだけだ・・・」

「霓 軍艦旗を降ろします・・・」

「誘爆前に船を捨てるんだ・・・そうでなければ乗員が死んでしまう・・・財部・・・死ぬなよ・・・」


 防護巡洋艦 千代田

「霓の仇を執る全砲門開け」

 艦長の成川大佐〈清国入港で艦長交代が遅れている〉はこの砲撃に際して応戦に出ようとする

「艦長!!今、砲撃すれば次の標的はわれらになります!!」

 砲撃は光を出す。その光に照準を合わせられれば船が危険になると恐れる副長が叫ぶ。

「本艦の防護装甲は入港している日本艦の中で最も充実している。他艦への被害を局限するために本艦が囮になる」

 艦長は各艦の性能をよく把握している。千代田は日本が現状保有するほとんどの巡洋艦が舷側装甲を持たない防護巡洋艦であるのに対して薄いながら舷側装甲を備えている。海外では日本初の装甲巡洋艦と評されることもある船だ。

「艦長・・・」

「清国との戦は緒戦。ここで兵を減らしたくはない。他艦に砲撃をしないよう要請してくれ。敵弾は千代田が引き受ける!!」

「了解!!」

 

 防護巡洋艦 千歳

「救助用にカッターを下ろせ!!ほかに被弾はあるか!!」

 横で副長が叫ぶ。この程度の指示は艦長に指揮を一任された。そもそも陸戦隊に兵を出した以上、砲撃しながら救助用の手漕ぎボートを出す余力はないといってもよい。

「艦長はいります」

 人間常に働けるわけではない。ゆえに艦長級も3隻いるうちの2隻は艦橋に。1隻は仮眠していた。よって千歳艦長は艦長室で仮眠をとっていた。砲撃音で目を覚まし、艦橋に来たのだ。

「成川艦長…」

 艦長は状況判断環境に上がる前タッカーを出す水兵を見ている。ゆえに心配事は今後犠牲が大きくなるであろう千代田に注がれる。直後、千代田から砲撃するなとの発光信号を見て艦長は地団太を踏む。

「救助用カッターを下ろします。」

「うん。救助は駆逐艦3隻と本艦が担当すると発光信号。このまま駆逐艦は我が指揮を執る。砲台所属の清国駆逐艦に行動に注意しろ。機関には火を入れているよな!!」

「むろんです。」

 

 財部 彪少佐 

「負傷者を優先。カッターに乗せろ。浮力のあるものを海に投げろ!!」

「機関室全員退避完了。水密扉も封鎖済み。誘爆しても被害は広がらないかと」

「水線下の区画からの人員退避を急がせてくれ。他艦のカッターが間に合わずとも甲板上ならば生き残る可能性が高い。誘爆の被害が少ない艦首に兵を集めてくれ。」

「了解。」

 史実で霓は事故で沈没していますね。

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