第二章12:鍛冶屋に届け物 ②
アルトリアとゼノが知り合いの店から出たら、フィーリアと遭遇する。
様子がおかしいと見たアルトリアはフィーリアに警戒する、しかし途中に彼女が助けを求めた瞬間、アルトリアは素早い動きで倒れそうになったフィーリアを支えた。
彼女は何かあったのかを心配して聞こうとしたら、フィーリアは干からびせた唇で話す。
「み……水が、ほ……しい……」
っと、それを聞いたアルトリアとゼノと周りの空気が一気に気まづい雰囲気になった。
「…………」
「え? どこへ行く気?」
アルトリア何も言わずフィーリアに肩を貸し、彼女を商店街の奥へ進む。 ゼノもアルトリアを追いかけて奥に入る。
歩いてる無言のアルトリアは急に方向を変え、二軒の家の間にある小道に入る。 少し暗くて歩き難い小道を進んでいく間、後ろに彼女たちをゼノは再びアルトリアに聞く。
「ねぇアルトリア、いったいどこに行く気? 教えてよぉ」
「見れば分かる」
「ええー」
そのまま約二分歩いたら、彼女たちはある少し広い空間に着く。
太陽の光りがほぼ照らされない暗くて少し冷える場所。 周りの壁は窓の一窓すら見当たらない、あるのは更に奥へ進む一つの道のみ。
そして――、
「ここは?」
「先週私が偶然見つけたとっておきの場所だ」
その空間の真ん中には大きな木があった。 しかし普段街や森で見かける木と何か違ってた、とゼノが思った。 枝の葉っぱは少しですが、光ってる。 灯火のように周りに明かりを照らしていた。
そしたら、彼女は見たんだ、木の枝にある葉っぱの先から、一滴の液体が現れた瞬間を。 そのままその一滴は地面に落ちた。
「これは?」
ゼノはアルトリアのとなりまで近づいて、指で木を指す。
「ん……図書館の本によれば、これは大昔の世界樹『ユグドラシル(Yggdrasill)』が枯れる直前に、世界中に種をまき散らした。 そしてこれはあのユグドラシルの種で生まれた木、だと思う」
自分でも確信していないアルトリアは苦笑いする。
「へぇー、でもそんな凄い木はどうしてこんなところに置いたまま、回収しないの?」
不思議に思うゼノは聞く。
「あ、これも本に書いていたことだけど……この木はどんなところでも成長出来る、たとえそれは山のてっぺんでも、水の中でも、地上に接触したら、そこから大地の生命力を吸い取る。 おまけに、この木は絶対に外部からの魔法や物理的な攻撃が通用しないんだ。 周りを掘っても出来ない、木の根は防壁みたいなモノを張ってて、どうすることも出来ないらしい」
丁寧に自分が覚えてる範囲で説明するアルトリアと頷いて真剣に聞くゼノ。
「へぇー、アルトリアって物知りなんだなぁ。 それで、フィーリアをここに連れてどうする?」
「こうするんだ」
アルトリアはフィーリアを木の下まで連れて、彼女は片手でフィーリアの顎を掴んで無理矢理に口を開けて、もう片方は木の枝を掴んで、葉っぱから出ている一滴の液体をフィーリアの舌に落す。
すると――、
「!!」
フィーリアの干からびれていた顔は暖かい微光に包まれ、そこからよく見えた。 彼女の肌は徐々につやつやになっていくこと。
光が消えた直後、フィーリアはゆっくりと目を開けて、即座に立ち直った彼女は元気に体を動かしていた。 そんな光景を見たゼノは不思議な目でアルトリアを見詰める。
ゼノのことに気付いたアルトリアはウィンク一つとグッドサインで返す。
「アルトリア、これはいったいなんだ? 体の疲労と喉が乾く感じが嘘みたいに消えた……」
動いた後、フィーリアは自覚する、自分の状態に。
「このちっちゃいユグドラシルが出している液体は疲労回復、異常状態回復、魔力回復、等々と言う効果が持っているんだ。 もし私たちがいつか町の外の世界に旅に出かける機会があったら、これは旅にすごく役に立つ。 言わば、lugar de descanso、(リラックススポット)ってやつだ」
アルトリアは小さなユグドラシルの周辺に歩きながら今、フィーリアに起きた不思議な現象を説明した。
フィーリアとゼノはアルトリアの話を理解したみたいに頷く。
「すっげーなぁ……これと同じ木、世界にいったい何本いるんだろ……? しかも……結構でかいな」
フィーリアは改めて小さなユグドラシルに近づけば、ますます大きくに見えた。 彼女は驚きながら木を見上げる。
「わからない、現在見つけた数は約四十七。 主に私たち精霊族と荒獸族の領地、確か……ファーブラは二十一、レジェンドは十八だった、その他は別の場所に偶然見つけたらしい」
「博識だな、アルトリア……ちょっと見直した」
「それってどう言う意味?」
ゼノが褒めたことに裏を感じるアルトリアは彼女を睨む。
その頃、フィーリアは目を瞑って考え事していた。
すると――、
「あああぁぁあ!!!」
「な、なに?!」
フィーリアがいきなり大声で叫ぶ。
「思い出したっ!」
「何を思い出した?」
「イファスティ先生からの伝言!!」
「先生の伝言?」
ゼノは気になってアルトリアより先に聞く。
「ああ、ことはお前たちがアルファーニたちを追った後だった……」
そしてフィーリアは語り始める――。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「そう言えば……依頼を達成したら、どこの誰に報告すればいいんだ?」
「その質問はあたしが答えてやろう」
「?!」
突如! フィーリアの後ろから誰かが話し掛けた。 びっくりされた彼女は勢いにのせて頭を振り返る。
すると――、
「あなたは……!」
「ふん……よっ!」
彼女が振り返ったら、そこにはニヤリと笑うイファスティだった。
「イファスティ先生! どうしてここに? 家に帰ったじゃなかったのか? あと、いつから私の後ろに?!」
戸惑うフィーリアはいくつの質問をする。
「落ち着け落ち着け。 冷静になれ、あたしはただみんなに伝え忘れたことがあって、戻ってきたんだ」
「伝え忘れたことって?」
「さっきリヘルが独り言で喋っていた「依頼達成後の報告」のことだ」
イファスティは指でくるくると回って、フィーリアが言ったことを思い出す。
「あれか……どう言う意味です?」
「その前に」
フィーリアの質問に答える前に、イファスティは手を前に突き出す。
「はい?」
「他のメンバーがどこにいるんだ? さっきから姿が見えないんだけど……」
エレオノーラたちの姿を探しているイファスティは周りを見る。
「あ……エレオノーラたちは先に商店街へ行っちゃった……」
「¿¡ Qué !?(なに?!)あいつら、先に行っちゃったって……あいつら、チームワークってなんなのかわかってるのか? ハァ……どうしよう?」
エレオノーラたちが勝手に行ってしまったことを知ったイファスティは呆れた顔でため息をつく。
「先生? どうかしましたか?」
「あ、いや……そうだ! リヘル! お前がみんなに伝えたいことがあるんだ! すごく大事なことだ!」
「ハイ!」
イファスティの様子に気になるフィーリアは彼女に近づいたら、イファスティは何か思い付いた顔して、フィーリアの両肩を掴む。
「リヘル、依頼を達成したら、職員室に報告せよと、みんなに伝えてくれる?」
「ハイ! 分かりました!」
「うん、頼んだぞ!」
気合い十分で返事するフィーリアは何故か敬礼のポーズを取った。
と彼女の肩を軽く叩いたイファスティは笑いながらその場所から離れようとしたら、急に動きを止め、再びフィーリアの前に立つ。
「そうそう……聞き忘れたことがあった。 オーフィスターニャたちはまだ教室にいるのか?」
「えっと……たぶん、と思います。 私たちは先に出かけたので、まだ学園にいるかと……」
「そう、じゃあたしは彼女たちを探しに行くので! 届け物の依頼、頑張れよ!」
イファスティはフィーリアと別れた直後、瞬き一つでイファスティの姿はフィーリアの目の前から居なくなった…。 音を立てず、まるで最初からいなかったみたいに消えた。
「先生の唯一魔法凄っ! といけない、早くみんなに伝えなきゃ……!」
イファスティの魔法に感心するフィーリアは思わずボケーとして、一瞬だけ自分がやるべきことを忘れた。 そしたら彼女はアルファーニたちを追うため、全力疾走で突っ走る。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
そして、フィーリアが何故急いでアルファーニたちに追っていたことを話した。
「と、そんなこんだでお前たちを追ったのさ」
「それでお前は全力で走ってきて、商店街に着いて、そのままばてたっというわけだな」
アルトリアはフィーリアが語った出来事のあらすじを聞いたら、彼女はフィーリアが商店街に着いた時のことを思い返す。
「そう」
その上、フィーリアは肯定する。
「そして炎天下での加減できず、全力で走った結界、体力が先に尽きた……というわけだな」
「そう!」
「なるほどなるほど……それってお前がただ体力不足で倒れたじゃねーか! てか気づけっ! お前が体力がないことに! 普通は疲れを感じたらすぐにスピードを落とすだろっ!」
ついに耐えできず、アルトリアは連発のツッコミをツッコンだ。
「お、おお……」
「フフフ……(アルトリアがツッコムところも可愛い)」
アルトリアがいきなり怒鳴って少し引いたフィーリアは驚きの表情でアルトリアの顔を見る。 そして少し離れているゼノは何故かニヤニヤと笑う。
「そ、それより! アルファーニとエレオノーラはどうした?」
「商店街の少し奥にいるらしい」
「奥って……あいつら、どんだけ走ったんだ?」
呆れたフィーリアは苦笑いする。
「お前も見たんだろ? エレオノーラとアルファーニが突っ走ったあの勢い……あれは絶対止まった直後、息もできず。 今頃ある喫茶店で休んでるはず」
「なるほど……で? エレオノーラたちを探しに行く?」
「いや、私たちはこのまま情報集めに集中する。 エレオノーラたちは奥にいるので、情報を集めながら奥へ進んで行こう」
ゼノにも説明したより効率のいい方法をフィーリアに話す。
「へぇー、いいねそれ! じゃあ早く商店街に戻ろう」
「だな。 ゼノ、早く戻ろう」
「あ、うん……!」
アルトリアとフィーリアは一緒に歩き出し、ゼノは彼女たちの後を追う。
こうして、無事アルトリアたちと合流したフィーリアは小さなユグドラシルにいる空間から離れる。 彼女たちはそこから出る直前まで、フィーリアとゼノはずっとあの小さなユグドラシルを見つめていた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
商店街に戻ったアルトリアたちが最初に感じたのは眩い日光と暑い風。 そして商店街の騒がしくて元気な音。
「で? どの店やエルフに情報を聞く? 言っておくが、闇雲に聞いて埒が明かないと思うぜ」
「分かってる。 が、今はそうするしかない、私たちが持ってる情報はあの街の名前だけだ」
「アルトリア……私、話したいことがある」
アルトリアが悩んでる時、ゼノは彼女を呼びながら服の袖を軽く引っ張る。
「ん? どうしたゼノ、何かいいこと思い付いた?」
「うん」
ゼノは頷く。
「聞かせろ、お前が思い付いたこと」
真剣な顔でゼノを見詰めるアルトリアは彼女の肩を掴む。
「う、うん……手っ取り早く、図書館にある地図を探し出し、街の名前を探すのはどう? 一番早くあの街を見つかると思う」
ゼノが提案したアイデアは他のふたりを一瞬にして凍らせた。
そして少し戸惑ってるゼノが慌て始める。
「私……言っちゃいけないことを言ってしまったので――」
「「それだーーーー!!!!!」」
まだゼノが話してる途中に、いきなりふたり同時に大声を出す。
「はい?」
「図書館! どうして思いつかなかったんだろ?」
アルトリアは悔しそうに頭を抱え込む。
「でもどの図書館へ行く? 学園の図書館? それとも教会の近くにある図書館?」
フィーリアは右と左を指で指して、ちょうど二つの方向は学園と教会を指し示している。
「ん……教会にしよう、まだアルファーニたちを探す必要あるからな……」
「そうだな」
「じゃあ決まりね」
「ああ、目的地! 図書館!」
「おおお!!!!」
こうして掛け声した直後、アルトリアは先に前へ走り出して、ゼノとフィーリアは彼女を追い掛けた。
そしてまだ三秒走ってないうち、フィーリアがアルトリアに声を掛ける。
「なんか……アルトリアの方はチームリーダーっぽいよね」
「そのセリフ、絶対にエレオノーラの前で話すなよ」
「なんで?」
彼女たちの会話にちょっと興味を持ったゼノは聞く。
「なんか……絶対にすねるから、あいつ……」
「「あっ……確かにそうかも……」」
アルトリアが話した一言でふたりを納得した。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
その頃、エレオノーラとアルファーニがようやく鼻水で汚したテーブルを綺麗にした後、突如! エレオノーラがいきなり大きくて汚らわしいくしゃみで再びテーブルを汚した。
そしてそれを見た、特にエレオノーラは絶望して跪く。
「Why always me ?(どうしていつも私なんだ?)」




