『僕』と『僕の記憶』の勝負。
もう10年くらい前に、なる。
やけになりたくなるくらい、
僕は落ち込んでいた。
かろうじで、
警察沙汰に、なるようなことは、
起こしてはいけない!!という理性は、
保っていた。
だが、
貯蓄が本当に無かった僕は、
己が出来る選択肢は、
限られていた。
だから、
自宅、最寄りの図書館に、
歩いて行った。
図書館に着いたら、
読みたい書物を読みふけった。
それが、
数日、続いた。
昭和の終わり頃に出版された、
『古今東西 世界 名言集』を読んだ。
僕が読んだ項目は、
《恋愛、結婚》について。
とかく、男の偉人が、
それらについて、
良くは言わない。
令和の今でも、
ネットを検索すると出てくるが、
《人は忍耐力の欠如により、離婚し、
忘却力により、また結婚する…。》も、
掲載されていた。
【君は、陽が昇るのを見たか…?】
当時の僕は、
長く長きに書かれた本を、
根気づよく読み続ける事が、出来なかった…。
それでも、
名著に触れてみよう!と、
僕は、
創作小説の文庫本棚に、
手を伸ばした。
短編集が、良い!と、
僕は本を手に取った。
《1つの物語。
古に王国が、あった。
王と妃の間に、
1人の男の子が生まれた。
彼は、
それは美しい容姿で、あった。
幼少の時から、
彼は、それを己自身でも理解し、
幼少の彼は、
彼自身が、醜いと思ったり、感じた人たちを、
それは、虐めた。
彼は虐めた…。
それを魔女が見ていた。
魔女は、
王子を、
王子自身が、最も醜いと思う容姿へと、
変えてしまう。
美しかった王子は、容姿を変えられ、
今まで従順だった下部から、
ひどい仕打ちを受けた…。
行くあての無くなった王子は、
自国を哀れに、さまよった…。
そんな王子に優しくしてくれたのは、
過去に、
王子が醜いと虐めていた人たちであった…。
王子は、涙を流し、
それも見ていた魔女は、
王子に、かけていた呪いを解く…。
そうして、美しい容姿に戻った王子は、
また王室に迎えられ、
王子は優しく気高く育ち、
そして、
父から王位を授かる…。
王子は、王に、なった。
そして、
王国の民の為に、
尽力を尽くす日々…。
が、ほどなく、
亡くなった…。
数年で、あった。
王子は、王になり、
ほんの数年で世を去った…。【終】》
僕は、その短編集を棚に、戻した。
僕は、思う。
(王国は、それは広大で、
色んな様々な人たちが、いたのであろう…。
そんな人たち皆を、幸せに、しよう!!と、
遮二無二に、なれば、
1つしかない王の身体は、あっという間に、
壊れたので、あろう…。)
あれから、時が過ぎて、
僕は、中年に、なった。
どこから見ても、中年…。
《ザ・中年》で、あることは疑いの余地なし…。
昨今、僕は思うのだ。
眠らないで、
食べないでも、
生きれる人が、いたら、
それは、もう人間じゃない…と。
でも、
実際、
そんな人は、いない。
いないのだ…
何処を、どう探しても、
いないものは、いない…。
【おわり】




