99.Vリーグ(その6)
新人戦、男女とも相手はシード校で勝ち目は薄い。だからと言って有効な奇策もない。なんやかんや言ってやれることしかやれないのだ。こちらに分があるとするとこの微妙な開催時期だ。
相手は年明けに春高があるわけだから、当然3年生を含めたレギュラー陣を中心とした練習をメインで行っているはずだ。だってこの新人戦は全国につながっていない。都で優勝してもそこでおしまい。
せいぜいの御褒美は、ベスト16に入れば、来年のインターハイ予選でシードされることだけど、新人戦でシードされている時点で既にベスト8確定だから、勝ちあがったら普通に嬉しいのと、まあより上のシードに入れることぐらい?
だから例えば群星だと新人戦はずっとセカンドチームが出ていた。レギュラーは会場にもいかず、学校でいつもの練習をする。私が新人戦に出たことがないというのはそういうことだ。湾松も幸徳も去年までと同じであればセカンドチームが出て来る。だが、春高前になにか試しておきたいことが合ったりすると、3年生以外はばりばりのレギュラーメンバーが出てきたりすることもあるようなので、それによって難易度が変わってくる。まあ東京でベスト4に入るような私学はセカンドチームでも、1~2回戦から勝ち上がって来るチームには普通に勝つことがほとんどだけどね。
試合中に観覧席にいる彼らを見る限りではどちらが出てくるのかはわからなかった。
というわけで女子の準々決勝、相手はシード校の湾岸松原だけど、やはりセカンドチームが出てきました。9月に相手のレギュラーと試合した時は 20-25、18-25 で負けている。相手がツーセッターとか試していたせいもあるけど、そこそこいい勝負だった。
あれから3ヵ月、こちらは戦力が純粋に上積みできたと思う。一方相手はセカンドチームがでてきたから戦力的にはダウンしているはずだ。当然3年生もいない。だが、逆にいうと相手は絶対に油断したり手を抜いたりはしてこない。少しでもいいプレーをして、今からでも春高のメンバーに割って入ろうと考えているだろうから、必死さは格上のあちらの方がむしろ上かもしれない。いろんな意味でいい勝負ができるんじゃないかと期待している。
第一セット、サーブはこちらから。指示通り相手の誰が取るか悩ましいところに入った。予測通り複数の選手が取ろうとして、その結果がお見合い。相手が戦意過剰でチームワークに影響しているところをうまくつけた、サービスエースで先取点。いいよいいよ。でも相手はすぐ修正してくるからね。
2本目も普通に取りづらいところにサーブが入るが簡単に上げられて、速攻に繋げられる。相手のAクイックをうちのリベロがうまく拾った。先読みがいい方に転がったわけだけど、実力もなければ拾えない速攻だった。こちらも速攻でお返しをする。こちらは上手く決まって 2-0。よし流れもこちらに来ている。みんな着実に強くなっている。1セット目は最初の4連続ポイントが利いて、25-22 で逃げ切り成功。
さて、2セット目、この試合でも私はメンバーを入れ替えるが、入れ替え方は毎回変えている。例えば今回は1セット目調子のよかったファーストリベロをわざと下げた。ちょっと動きすぎで、最後には疲れが見えてきてたからだ。まあリベロだから入れようと思えばいつでも入れられるしね。それが吉と出るか凶とでるかはわからない。2セット目はあちらのサーブからだけど、ちゃんと一発で切る。でもこちらのサーブも切られるという、いつもの展開になった。10-9 の時点で明らかに決まったかのように見えた相手のCクイックを、こちらのセカンドリベロが綺麗に拾って、その後もうまく繋げてブレイク。うん。相手にも、チーム内でも、負けてられないよね。
その頃から相手チームのギスギス感がまた出てきたので、連続でブレイク成功し、最後は 25-21 で2セット目ももぎ取る。これで東京都ベスト4。すげー、としか言えない。いくら相手がセカンドチームとは言っても、インターハイ全国ベスト8の学校が相手だよ。素直にスゴいと言うしかない。
こうなれば男子も、と行きたいところだけど。幸徳学園は3年以外はレギュラーメンバーが出てきたので、10-25、13-25 で惨敗した。相手は国体で全国優勝したチームだから仕方がない。でもこんな感じで男子が先に負けるパターン多いな。いや実力を考えると、ベスト8でもできすぎなんだけどさ。
なお今までのパターンだと、この次で女子も負けるのがお約束だったのだけれど、その次の週の大会3日目に行われた準決勝もフルセットをものにし、決勝も準決勝で群星を破った聖アグネス女学園に何度もデュースを凌いで勝った。大前高校は新人戦という特殊な試合とは言え、まさかの都立高校、それもバレー推薦のない進学校が東京都大会で優勝するという、ものすごい珍事をひきおこしたのだった。
幸か不幸か一昨日から冬休みに入っており、終業式で校長が皆で応援しに行きましょう、と言ったせいで、そこそこ生徒や教職員が応援に来てくれたので、彼らによいところを見せられたのはよかった。新人戦ならではの特殊性、強豪校はたいてい2軍を出してくる、という話を事前に説明しておいてよかったと思う。東京最強、とか妙な誤解を生んでも困る。実際女子の準々決勝以降の相手は全部セカンドチームだった。
一軍が出てきたシード校は男子の幸徳学園だけだったから、男子は不幸だったというしかない。とはいえ優勝は嬉しいな。私が指導者になって初めての経験だ。




