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王城―4

 翌日、今日もやる事がなくて朝から食事だけとって部屋の中でゴロゴロとしていた。

 今日は女子三人で何か話していて、俺はクロードの魔法を見ている。ストレージの中に入れていた土を一握りテーブルの上に置いて、それを操作する。

 土はクロードが呪文を唱えれば様々な形に変化する。まだ精度が悪いようで歪な形だが、それでも動いているだけで凄い。形を変えるのは魔力消費が激しいようで、ガリガリと俺の魔力を吸っている。


 「どのくらいのサイズまで操れそうだ?」


 「魔力さえあれば自分より少し大きいくらいなら大丈夫だと思います」


 魔力は俺のを使えば問題ないとして、必要な出力をクロードが出せるかどうかと、それを使った後の魔力酔いや疲労感に耐えられるかどうかってとこか。


 使いようによっては今の状態のままでも使えるが、本人も練習したいようだから練習しておいてもらおう。


 「身体強化の方はどうだ?」


 「まだ魔力が少し流せるくらいなので、強化できているのかすら分かりません」


 身体強化はまだ無理か。

 時間はあるからゆっくり頑張ってくれればいいか。最悪使えなくても何とかなる。盾でも持たせれば、避ける必要もないから、力をつけるだけでもいけるからな。


 「へレナートです。ケーマさんいますか?」


 ドアがノックされて外からへレナートの声が聞こえる。

 今日は何も約束なんてしていなかったはずだし、何しに来たのだろうか。

 クロードがドアを開けてへレナートを中へと招く。


 「どうしました?」


 「暇をしているようだったので、良ければ暇つぶしにでも行きませんかと誘いに来たのです」


 ベッドに腰掛ける俺の隣へとすっと座りに来る。こう隣に来られた時にふわっと来る香りが良い匂いで、見た目だけでなくさりげない女性らしさがある。


 ……あれ?見た目だけじゃ無いの?

 もしかして、これ狙われてたりしない?


 ススッと離れるように移動すれば、へレナートがその距離を詰めてくる。


 「あ、あの、へレナートさん?」


 「駄目でしょうか?」


 「うっ……」


 見つめてくるへレナートに少し怯んでしまう。いやいや、これ男だから。


 いや、見た目を楽しむだけなら問題ないんじゃ無いか?これだけ綺麗なんだし。


 「はい。では行きましょう。良いですよねケーマさん」


 エステルが俺の腕を引っ張るので慌てて立ち上がる。

 助かった……のか?

 エステルと腕を組むのも緊張するんだけど。こっちは本当に女の子だし、緊張感で言えばよりやばい。


 「駄目ですか。まあ、いいでしょう。必要とされるだけで十分です」


 廊下に出たはいいが、何処に行くかも分からないのですぐに立ち止まる。へレナートが部屋から出てくるのを待って、案内してもらう。


 「何処か見に行きたいところはありますか?」


 「何も分からないから行きたいところも思いつかないし、何処でもいいよ」


 暇つぶしさえできれば良いって感じだ。変なとこにさえ連れて行かれなければ何処でも良い。


 「では、騎士団の訓練所に行きましょうか。今日は団長と冒険者の方が手合わせと指導をされているので見に行きましょう」


 騎士団長と冒険者ね。冒険者がどのくらいの実力の奴が来ているのかは知らないけれど、騎士団長ってことは国の中でも有数の実力者だろう。

 そんなのと戦うだなんて訓練と言っても怖いな。たった一振り本気で来られただけで、全力で逃げ出す自信がある。


 そう考えると、冒険者の方もかなりの実力者なんだろうな。そこそこくらいの実力者だったら呼ぶ必要もなく騎士の方が強いってのもあるだろうし。

 少なくともBランク。いや、AランクやSランクの可能性も十分にあるだろう。


 この国でも有数の実力者同士の戦い。本気で無いとしても、見る価値は十分にある。


 訓練所とは言え、それほど大きなものでは無い。王城の中にいる騎士や兵士も、大半は職務についている。交代で訓練をする日が設けられているため、誰かしらは訓練しているそうだが、精々数十人が限界と言ったスペースしかない。

 集中的に訓練をする時は王都の外に訓練用の施設があるらしい。


 訓練所の中には普段よりも多くの人がいる。休憩時間の短い間でも見に来ているのだろう。人の壁で中の様子が全く見えない。


 「こちらへどうぞ」


 へレナートが入口から離れ、訓練所の横手へ歩いていく。

 へレナートが立ち止まった場所には豪勢な造りの扉がある。ポケットから鍵を取り出して中へと扉を開けて中へと入っていく。


 「これ入っていいやつかな?」


 「鍵を持っていたということは許可は得ているはずですし、もう行っちゃったので追いかけるしか」


 そうだな。もうへレナートは奥へと進んでるから、ここで俺達が止まっているのも変な話だ。


 へレナートの後を追い奥へと進めば、階段の先にまたドアがある。


 「ここからなら見やすいはずです」


 へレナートに促されて中へと入れば、訓練所の中を見るために用意された部屋。それも、お偉いさん用の場所だ。

 椅子なんかもかなり高そうだし、こんな所使っても良いのかと不安になってへレナートを見る。


 「大丈夫です。ここの管理はフーレドリヒ様の管轄ですから」


 職権乱用ってやつですか。

 いや、まあ、許可は得ているようなものだし、俺は悪く無いからいいか。

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