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買い物

 宿屋からギルドを通り過ぎ多くの店が並ぶ通りへと向かう。ギルドの前を通り過ぎた時にふと疑問が湧いてきた。


 「そういえば、奴隷の場合ギルドカードってどうなるんだ?」


 後ろを歩くソフィアに知っているか尋ねる。話すには少し離れすぎているため近づいて話すのか、声を大きくして話すのか、少し迷ったような雰囲気を出してからソフィアが少し俺に近づいてくる。


 「奴隷の場合はギルド登録しなくても一緒にならば依頼を受けることができます。奴隷単身で依頼を受ける又は、奴隷から解放後も冒険者として依頼を受ける予定がある場合は、奴隷でもギルドに登録することはあります」


 ギルド登録は自由ってことか。奴隷だから登録できないなんてことはないが、登録しないのが普通ではあるんだろうな。わざわざ奴隷に権力を与えるようなことはしないだろう。


 「ソフィアはどうしたい?とりあえずしばらくは冒険者として生活するけど、ギルドに登録しておくか?」


 「……いえ。私はもし解放されたとすれば冒険者を続けることは無いでしょうから登録はしなくていいです」


 ソフィアがそういうならいいか。最悪、解放した後も依頼とかに連れていきたければ、それから冒険者登録してもいいからな。

 まずは近くにある服屋へと向かう。

 スタインがいればスタインの店で買うか、おすすめの場所を聞きに行くのだが、今は王都に行く準備をしているかすでにこの街を発っているだろう。無駄足になるのも嫌だから、今回ばかりは近くにある店に適当に入る。


 「とりあえず、魔物と戦える用の服を何着かと寝る用の服を何着か選んでおいで」


 ぽんぽんとソフィアの背中を押して選んでくるように指示をする。

 おずおずと店内にある服を見ているソフィアを横目に俺も服を見る。店員がソフィアに構っている間にささっと手前に置かれた服を見てみるが、生地に染みのような物が見える。


 「こんなところで売っているのは古着か……」


 他の店を遠目に見ても、並べてあるのは古着らしきものばかり。新品を並べるだけの品揃えと治安が無いのか?古着は嫌だなんてことは無いが、並んでいるのが古着ばかりなので気になってしまう。こういった細かいところに文化レベルの差を感じるというかなんというかって感じだな。


 自分の服は三着あるので今は買うのは諦め、ソフィアが服を選ぶのを待つことにする。

 女性の買い物は長いと言うが、ソフィアは奴隷であることを気にしているからなのか、彼女自身が、又はこの世界の女性がそうなのかも知れないが、俺が待とうと店の壁に寄り掛かって数分もしないうちに服を選んで戻ってきた。


 「それでいいのか?」


 「はい。これだけあれば大丈夫です」


 戦闘用と部屋着と二着ずつか。もう少し買った方がいいのではと思うが、足りなくなればまた買えばいいか。できれば次は、スタインに言って新品の服を買えるか作ってもらえるところを教えてもらおう。

 服屋を出て今度は武器と防具の店へと向かう。武器屋と防具屋に別れている店の方がしっかりしているものが見つけやすいらしいが、その代わりと言えばなんだが、変に凝った店主が多いと聞いた。武器屋と言いながら両手剣しか扱ってないとか、防具屋と言いながらきらびやかな装備しかなかったりとか、そんな店に行っても買う気にはならないので、地味な古臭い店で良い。


 というわけで、歩いていれば大通りから見える位置だが目立たない、いかにも古臭い武器と防具の店ですといった感じの店を見つけたので、ここで見ていくことにしよう。

 見る店を決めたのは良いが、どんな武器を買うかを考えていなかったので、先にソフィアの武器を選ぶことにするか。


 「何か使ったことのある武器はあるか?」


 「使ったことのある……という程ではありませんが、森に入るときは護身用に短剣を持っていました」


 「なら短剣でいいか」


 どんな武器が良いかなんて全く分からないので、とりあえず使ったことのある武器を買うのが無難だろう。店に入ってすぐに短剣の置いてある場所へと向かう。無造作に置かれた短剣の中から、鑑定で一番まともな短剣を選んでソフィアに渡す。


 「それでいいか?しっくりこないなら別の物を探すが」


 「え、ええと……手にはしっくりくるのですが、こんなにしっかりしたものを私が持っていてもいいんでしょうか?」


 しっかりしたものって言われても2万コル程度なんだがな。


 ……あ、他の短剣とか十分の一以下の値段の物もあるじゃん。

 武器とかの値段は低めなのかな?ダンジョンや迷宮ではドロップアイテムなんかもあるらしいからそういうのが多いのかもしれないな。


 「いざという時に短剣が簡単に壊れたら危ないだろ?だから一番大切な武器はある程度値段が張るものを使う方がいいんだよ」


 「お前みたいなしっかりした考えの若い冒険者は久しぶりに見るぜ」


 漫画で見たドワーフのような小柄だがムキムキで髭の凄いおっさんが奥から出てきた。本当にドワーフなのか、それとも人間なのかは分からないが、あなたはドワーフですか?なんて尋ねるのは場を悪くするだけなのでやめておく。

 この見た目と偉そう態度でただの店員ってことはないだろうから、店主かここの店に作った品を卸している職人だろう。下手に否定して気を悪くされても勿体ないだけなので、話に乗りつつ値引きしてくれないか祈るべきだな。


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