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112、Infection

 

 おねえさんへ


 お久しぶりです。お元気ですか。私は相変わらず元気にやっています。

 西九州交通で働き始めてもうすぐ二年になるので仕事にもだいぶ慣れてきました。失敗は慣れた頃にこそ起こるものだっていうおねえさんの言葉をしっかり胸に抱いて毎日がんばってます。来月は新人の子が入ってくるらしいので、今からわくわくしていますよ。

 先週とても素敵な出会いがありました。サンキスト女学園の生徒さんたちがまた長崎にいらっしゃったんです。去年私がおねえさんに書いたお手紙のこと覚えていますか。そうです、私が本当の自分に目覚めることが出来たきっかけについて書いたあのお手紙です。今年いらっしゃったのは当然去年の生徒さんとは違う女の子たちなので、ブロンドヘアの生徒会長アンナさんはいませんでしたが、代わりにすごい出会いがあったんです。

 もう私、クラクラしました。初めてその人を見た時に私の心はあの人一色になってしまったんです。他の女の子たちの存在も、その場のざわつきも、私の世界から全部消えてしまって、私はバスの入り口で立ち尽くしました。

 私、その子とどうしてもイチャイチャしたくて声をかけようとしたんですけど、どうしても声がかけられないんです。私はこの一年間、いろんな女の子と仲良くなってイチャイチャしてきましたので、こういったことには自信があったんですが、あの子に近づくだけで頭も心臓もどうにかなってしまいそうで・・・おねえさんはそういう経験ありますか?

 あきらめかけていた時、チャンスが訪れたんです。

 生徒さんたちが自由行動をしている時間に、私が遅いお昼ご飯をコンビニで買ってバスに戻ると、女の子がいたんです。そう、例の素敵過ぎるあの子です。キャー! 去年と同じパターンばい! って私興奮したんですが、その子はお友達と一緒でした。座席に腰掛けて二人仲良く地図を広げてるんです。ものすっごいジェラシーを抱きながら覗いたら、なんとそのお友達もすごく可愛いいんです。おねえさんの好きな『パイナップルの舞茸』っていう洋画に出てくる吸血鬼の子になんとなく似ていました。髪型や仕草がとても上品で、なおかつクールな感じです。

 二人の様子に見とれてるだけじゃいけないと思って、頑張って声をかけてみたんです。そうしたら・・・二人の奇麗なお目々が私の瞳に注がれて・・・はぁんッ!

 お二人は人を探していたらしく、社の機密情報をお渡ししてお手伝いしたらすごく喜んでくれました。その笑顔の可愛さといったらもう・・・昨日も今日も明日も忘れて、ただ恍惚な目眩だけが地平まで広がる世界に飛び込んだような気分でした。

 お手紙に添えておいた写真は私がこっそり彼女たちを撮ったものです。おねえさんにも、私が感じた幸せをお裾分けしようと思ったんです。

 おねえさん、これからも毎日がんばってくださいね。私も一生懸命もがんばりますワ♪





 涼子へ


 お手紙ありがとう。私も元気ですよ。

 相変わらずあなたはお仕事を楽しんでするタイプですね。ちょっとうらやましい。でもいくつか気になったことがあるからちょっと書くけど・・・気をわるくしたらごめんね。

 まずね、機密情報は漏らしちゃダメじゃないかな・・・たぶん。怒られちゃうよ。会社にバレないようにしてね。あと、これも別に気にしなくていいんだけど、盗撮みたいなことはしないほうがいいと思うよ。写真見たけどかなりすごい角度から撮ってるじゃない・・・。どうやって撮ったの? ホントに気をつけてね。それからついでに書いておくけど、私が好きな映画は『ヴァンパイアの毎日』ね。わざと間違えたのかな? 私もそういう間違いはよくするから気にしなくていいよ。

 それと・・・これが一番気になったんだけど、『この一年間、いろんな女の子と仲良くなってイチャイチャしてきた』ってどういうことなの・・・。あなた、ああいうことを他の人にもしてるの? ほどほどにしないと・・・おねえちゃんおこりますよ。

 涼子は私の妹なんだから、私だけに甘えて下さい。

 あなたと一緒にお風呂に入ってイチャイチャし合ったあの日から、私は毎晩あなたのことばかり考えてます。あなたの温かさも、柔らかさも、声も・・・全てが私の大切な思い出になって胸の中で熱く渦を巻いています。

 あなたは修学旅行生の可愛い子に近づくだけで頭も心臓もどうにかなってしまいそうな経験をしたんですよね。私はその逆なんです。離れていればいるほど、どうにかなってしまいそう・・・こんな気持ちは初めてなの。会いたいです・・・とっても。

 だからまたこっちの家に遊びに来てね。今度は私、のぼせないように頑張るから。

 あなたの好きなロールケーキを作って待ってるワ♪


 おねえちゃんより


 

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