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種族:人間ではじまるクソゲー攻略! ~レベルとスキルで終末世界をクリアする~  作者: 灰島シゲル
【第一部】 極夜の街と幼い吸血鬼

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四日目・深夜 覚悟の夜

再びユウマ視点から始まります。

 目を覚ますと、辺りはまだ暗闇に包まれていた。

 すぐさま【夜目】が発動をして、ぼんやりとした暗闇がはっきりとした視界になる。

 寝ぼけた頭で周囲を見渡すと、向かい側で体育座りをして丸くなっているミコトの姿が目に入った。



「起きたんですか?」


 とミコトが声をかけてくる。

 俺は頷いた。


「交代だ」

「別に大丈夫ですよ。眠くないですし」

「だとしても、目を閉じて横になるんだよ。そうすれば、眠れるかもしれないだろ?」

「目を閉じても眠れないかもしれませんよ?」

「やってみなくちゃ分からないだろ」


 と俺が言うとミコトは困ったように笑った。


「それは、そうですけど」


 ミコトはそう言うと、諦めたように小さく息を吐き出す。


「はぁ……。分かりました。それじゃあ、お言葉に甘えて横になります」

「枕が欲しいなら、コレ使うか?」


 と俺はそう言ってバックパックを指さした。



 ミコトが暗闇で目を細める。

 それから、俺が指さしたものが見えたのか小さく笑って首を横に振った。



「いえ、大丈夫です。ローブのフードを被っておけば、横になっても頭は汚れませんし」

「それでいいのか?」

「はい」



 ミコトは頷くと、ごそごそと俺に背を向けるようにして横になった。

 かと思えば、ちらりと振り返り口元を小さく吊り上げて笑う。



「私が寝てるからって、襲っちゃダメですよ?」

「襲うか!」



 コイツは俺を何だと思ってるんだ。

 ミコトは俺の言葉にクスクスと笑うと、



「それじゃ、おやすみなさい」


 とそう言って、また俺へと背を向けた。


「おやすみ」


 と俺はミコトに言い返す。



 しばらくの間、ミコトは眠れないのか、ごそごそと動いていた。

 けれど、その動きもやがて止まり暗闇の中から規則正しい小さな寝息が聞こえ始める。

 口では眠れない、と言っていたけれどやはり身体は疲労を訴えていたようだ。

 改めて、今日は見張りを交代して良かったな、と俺は思った。



「それじゃあ、きっちり仕事でもしますか」


 と言って手に入れたばかりの【夜目】と【視覚強化】を使おうとしてふと気が付く。



 スキルを使おうとしていないにも関わらず、俺の目には【夜目】と【視覚強化】の効果が働いていたのだ。

 そういえば、今まで気が付かなかったが【夜目】に関しては発動しようと思わなくても勝手に発動していた。



「もしかして、スキルによって発動するタイプが違う?」



 ありえない話じゃない。

 これまで取得し分かったスキルのタイプを考えてみる。



 発動しようと思わなくても勝手に発動する、【夜目】をはじめとした【曙光】や【未知の探索者】のスキル。これは、分かりやすく言えば自動発動型とでも呼べば良いだろうか。


 それとは別に、スキル所持者のスキル使用のタイミングに合わせて発動する――分かりやすく言ってしまえば、スキル所有者の任意のタイミングで発動することが出来る【回復】。これは、いわゆる任意発動型というやつだろう。


 そして【視覚強化】。これはスキルを発動させたら、再度スキルの発動をしなくても、俺がスキルの解除をしない限りは発動し続けるタイプのようだ。いわゆる持続発動型というものだろう。


 ……【集中強化】はまだ使用していないから分からないけど、勝手に発動していないところ見るに、任意発動型か発動したら効果が続く持続発動型ではないだろうか。

 スキルの取得条件――スキルの説明文を見ると、限界を超えて研ぎ澄まされた意識とある。

 それは、グラスホッパーラビットの戦いでの感覚。普段の集中力以上に集中したあの状態こそが、限界を超えた研ぎ澄まされた意識だろう。

 そう考えると、【集中強化】は戦闘で役立つスキルというところだろうか。



「だとしたら、使う相手も考えないとな」


 

 レベルが3つも上がり、大量のSPだって割り振った。

 今の俺のステータスを考えれば、グラスホッパーラビットを倒すことも難しくはないはずだ。

 ステータスの力で簡単に倒すことが出来る相手に、このスキルを使ってもその力の凄さが実感できるのか?

 スキルの効果をしっかりと見るのなら、今の俺のステータスでも苦戦をする相手のほうがいいだろう。

 ……そのあたりは、タイミングが来たら発動してみて確かめてみることにするか。


 【視覚強化】に関しては、特にスキルを解除する理由もないし、このスキルに関しては発動させたままでいい。



「…………」



 【夜目】と【視覚強化】を使って、周囲を警戒する。

 目に見える範囲では、周囲にモンスターの姿はない。

 もちろん、草葉の陰なんかに隠れていたら分からないけど、もし急に襲われたとしてもこの街のモンスターぐらいだったら今の俺ならば一人でどうにか出来るだろう。



「そう言えば、この【視覚強化】とか【夜目】のスキルってMP消費してるのかな」



 ふとした疑問が浮かぶ。

 俺はスマホを取り出し、ステータス画面を確認してみた。



「……MPは消費されてないっぽいな」



 開いたステータス画面では、数値の変動は見当たらない。

 それぞれのスキルの効果でもMPを消費することは書かれていなかったから、これらのスキルを使う際にはMPを消費することはなさそうだ。



「……そうなると、実際にINTを重視するのはMPを消費するスキルを手に入れてからでもいいかもなぁ」



 現状、俺がINTに割り振るメリットは少ない。

 しばらくの間、INTは後回しで他のステータスへとSPを割り振っても良さそうだ。

 俺はスマホの画面を閉じて、小さな寝息を立てる彼女の背中へと目を向ける。


 ……本当に、小さな背中だ。


 今の俺が力を入れれば、あっさりと折れてしまうんじゃないかと思えるほどに、ミコトの身体は細い。

 その見た目にも関わらず、自分の背丈よりも大きな直槍を平気で振り回すのだから、やはりステータスという存在は大きいのだと実感する。



 けれど、その中身はやはり十六歳の少女なのだ。

 こんなトワイライト(クソ)ワールド(ゲー)さえなければ、彼女が直槍を手にすることなんて一生あるはずがなかった。



「ふー……」



 息を吐いて夜空へと目を向ける。


 あの日を境に、俺たちの日常は変わってしまった。

 この世界で四日目を迎えて、随分とこの世界に慣れてきたな、と自分でも思う。

 少しずつ、トワイライト・ワールドのゲームシステムも明らかになり始めている。

 まだ全てが解明したとは思えないけど、ひとまず生きるために必要なことは全部分かったはずだ。

 ステータスとスキルの関係がはっきりとしただけでも、今後の生存確率に大きくかかわってくるだろう。



「極夜の街、か」



 俺はストーリークエストのことを思い出した。

 心の奥底に広がる言いようのない不安。

 おそらくだが、このクエストをクリアすればまた報酬が出るだろう。

 報酬が出れば、またこの世界で生きることが楽になるはず。

 だが、それを得るための過程はとてつもなく厳しいに違いない。

 今の俺で――いや、俺たちでクリアできるのだろうか。



「それでも、やるしかない」


 俺は言った。



 この世界から脱出するために、手掛かりはこれだけなのだ。

 そのためには、何が何でもクリアしてやる。


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