表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種族:人間ではじまるクソゲー攻略! ~レベルとスキルで終末世界をクリアする~  作者: 灰島シゲル
【第一部】 極夜の街と幼い吸血鬼

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/246

三日目・夜 新たな力

「とりあえず、見てみるか」





 ≫【夜目】

 ≫夜の闇に慣れた者の証。

 ≫このスキルの所持者は、暗闇でも視覚による情報の遮断を受けない。





 ≫【集中強化】

 ≫限界を超えて研ぎ澄ませた意識は、さらなる深みへと到達した。

 ≫自分の限界を超え、手にした力はすぐさま意識を深みへと誘う。このスキルの所持者は、目の前の対象に対して意識の集中がより早く、より深く行うことが出来るようになる。





 ≫【視覚強化】

 ≫五感覚のうち、視覚への情報に飢えた者の証。

 ≫このスキルの所持者は、視覚による情報を取得する手段を広げることが出来る。





「ふむ……」



 俺はスキルの説明を一通り見て、唸った。

 どれも戦闘向きのスキルではない。

 けれど、いずれも必要なスキルばかりだ。



 まず、夜目。

 これはスキルの説明文を読めば分かることだが、光のない夜の街を駆け回っているうちに取得したようだ。効果はシンプルだが、電気のないこの世界においては非常に頼りになる。

 おそらくだが、狩りの途中から暗闇でも良く見えていたのは、コイツを取得したからだろう。



 次に、集中強化。

 モンスターとの戦闘を繰り返すうちに、研ぎ澄ましていた集中力がスキルになったものだろうか。

 効果を読む限り、その集中力を強化してくれるもののようだ。その集中力が強化されてどうなるのか分からないが、このスキルは決して無駄じゃないはずだ。



 最後に、視覚強化。

 このスキルが、一番単純そうに見えて意味が分からない。

 視覚による情報を取得する手段を広げる?

 手段を広げるとは、どこからどこまで?

 そもそも、その手段を広げてどうなる?



「…………」



 スキルの名前だけを見れば、目が良くなる、ということは間違いないだろう。

 だったら、あとはその効果を試してみるしかない。



「【視覚強化】」



 俺はスキルの名前を口に出した。

 その途端、俺の視野は急速な勢いで広がった。正面を向いているはずなのに、決して見えないはずの、真横に広がる風景をぼんやりと感じることが出来るのだ。

 変化したのは視野だけじゃない。単純な視力も、物体の動きを見る動体視力も、目で感じる色彩だって強化されているのが分かる。


 遠く存在する壊れたビル群がはっきりと目に見えた。揺らめく焚火の炎がコマ送りされているかのように目で感じ、炎が織りなす細かな色彩の変化だって明確に分かってしまう。



「お、おおッ!」



 思わず、驚きの声が出た。

 例えるなら、俺の目そのものが高性能カメラになったとでも言えばいいだろうか。

 目には広角レンズが付いていて広い範囲を見渡すことが出来る。さらにはハイスピードカメラのように、動きがある物体はスローモーションで見ることが出来るし、望遠機能だって備えている。

 【夜目】の効果も合わされば、そこには暗視機能だって追加されるのだ。



 スキルによって、俺の目は全く別のものになったと言っても過言ではなかった。

 俺が声を上げて周囲を見渡していたからだろう。

 ミコトが不思議そうな顔で声をかけてきた。



「急に、どうしたんですか?」

「ほら、これ!」


 言って、俺はミコトに自分のステータス画面を見せた。


「んー?」


 小首を傾げながら、ミコトが俺のステータス画面へと目を向ける。



「えっと」


 途端に、ミコトのその頬が引きつった。


「何ですか? そのSPの量……」


 ミコトはそう口にすると、すぐさま原因に気が付いた顔になって言葉を続ける。


「あー、いえ。そう言えば、それがユウマさんの持つ【曙光】スキルの効果でしたね」



 呆れたような笑みを浮かべてミコトはそう言った。

 俺としては最初からこのSPだったから見慣れたものだけど、やはりスキルを持っていない人からすればありえないSPの量のようだ。



「しかも、新しいスキルが三つって。……あ、そうか。ユウマさんの【未知の開拓者】の効果は、系統に縛られずにスキル獲得率が上がるもの、でしたね」


 そう言って、ミコトの視線が俺へと向けられる。


「分かってはいましたけど、チート野郎ですね、ユウマさん……」

「それは言わないでくれ……」



 俺はため息混じりに言い返した。

 分かってはいても、改めて指摘されたくはない。

 ミコトは一度、自分のステータス画面へと目を落とすとため息を返してきた。



「はぁ……。冗談ですよ。というより、文句の一つだって言いたくなりますよ、こんなものを見せつけられちゃ。SPが一気に15も手に入って喜んでた私が馬鹿みたいです」


「いや、それは――」

「ええ、分かってますよ。これが嫉妬だってことぐらい。でも、今ぐらいいいじゃないですか。ユウマさんのそのスキルを妬んだって」


 そう言うと、ミコトは拗ねるような顔となって俺を見た。


「それで? チート野郎さんは何のスキルを手に入れたんですか?」

「チート野郎はやめろ」


 俺はミコトの言葉を訂正しながらも、自分のスキル説明文をミコトへと見せる。


「簡単に言えば暗闇でも良く見えるようになる【夜目】、集中力が強化される【集中強化】、目が良くなったりする【視覚強化】」

「目に関することが多いですね。何か心当たりでも?」

「……いや、特には」



 俺は首を横に振った。

 心当たりなんてあるはずがない。強いて言えば、夜だからいつもより慎重に敵を探して戦っていたということぐらいだろうか。

 ミコトは一通り俺のスキル説明文を読み、眉根に皺を寄せて考えこむ。



「うーん、どのスキルも運が良ければ私でも獲得できそうなスキル――」



 ハッと何かに気付いたかのような表情でミコトが固まる。

 それから、自分のスマホを取り出すとその画面を食い入るように見つめた。



「ミコト?」


 突然のその行動に、面喰いながらも俺はミコトに声をかけた。


「――ねえ、ユウマさん」


 自分のスマホの画面を見つめながら、ミコトは静かに口を開いた。



「ステータス画面で、STRは筋力、DEFは防御力でDEXは器用さでしたよね? だったら、LUKは何とおっしゃってましたっけ?」


「LUK? 運だよ」


 と俺はミコトの言葉に答えた。



「その運は、()()()()()運ですか?」

「何って、そりゃステータスなんだから現実の運の良さじゃないか?」

「――本当に、そうでしょうか?」



 ミコトの視線が上がり、俺の目とミコトの目がぶつかる。



「……よく考えてみてください。スキル獲得率・・・なんて、スキルの効果でわざわざ説明されてるんですよ? ――――本当に、LUKはただの運の良さだと思いますか?」



「――まさか」


 ミコトが何を言いたいのか、俺はすぐに察した。


「まさか、本当は……」



 俺は、この世界に来てからのことを思い出す。

 初めて俺がこの世界にやってきたあの日。チュートリアルクエストをクリアするために討伐したモンスターはゴブリンだった。

 ステータスもLUK以外オール1。万に一つも勝つ可能性なんてありはしなかったのに、俺はそのゴブリンを倒したのだ。

 あの時、あのゴブリンに勝てたのは完全に運の力だと思っていた。

 LUKステータスのおかげだと思っていた。

 けど、それが本当に、()()()()()()()()だけなのだとしたら?



「LUKの高さはスキル獲得の確率に影響する、のか?」



 考えてもみろ。俺がこれまでモンスターと戦って、あの時以来に運勝ちともいえる戦いをしてきたか?


 ――いいや、していない。


 初めてブラックドッグと戦った時、俺は初めて身近に迫る死を覚悟した。

 ホブゴブリンとの戦闘で、俺は文字通り命を賭けて戦った。

 それだけじゃない。これまでに出会ったすべてのモンスターとの戦いで、運が良かったと思えたことは一つでもあっただろうか。


 その答えはノーだ。


 これまで倒してきたモンスターは、すべて自分のステータスによって裏付けされた実力で倒してきたのだと断言できる。

 俺のステータスで一番高いLUKは、どの戦闘においても役に立ったためしはないのだ。



「ずっと、疑問だったんです」


 俺の顔を見つめながら、ミコトは言葉を紡ぐ。


「筋力や防御力、俊敏や器用さ、などと直接的に命に係わる項目が並ぶステータスの中で、どうして『運』だなんてギャンブル要素が高いものがあるんだろう、って」


 ミコトは言葉を一度区切った。


「INTの数値がMPと直結し、MPの高さでスキルの使用回数が変わるのだとしたら。そのスキルを獲得するための、基本的なステータスは何になるのか。ユウマさんの【未知の開拓者】や私の【天の贈り物】といったスキルの効果はあくまでも補助で、スキル入手の基本的な確率を決めているステータスがあるのだとしたら」



「それは……。LUKでしかありえない。そういうことか」



 言葉を引き継いだ俺の言葉を、ミコトは頷きで肯定した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >分かってはいましたけど、チート野郎ですね、ユウマさん…… うーん… チート誤用…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ