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種族:人間ではじまるクソゲー攻略! ~レベルとスキルで終末世界をクリアする~  作者: 灰島シゲル
【第一部】 有翼の少女と黄昏の光

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二日目・朝 ~ 二日目・昼 独りから二人へ



「ミコト、ステータスは割り振った? 出発前にステータスを上げといたほうがいい」



「それなら、昨日ユウマさんが寝ている間に済ませました」


 ミコトはスマホを取り出すと、画面を見せてきた。




 柊 ミコト  Lv:1 SP:3→0

 HP:10/10→12/12

 MP:0/0→3/3

 STR:2

 DEF:3

 DEX:3

 AGI:3→4

 INT:2→4

 VIT:2→3

 LUK:2

 所持スキル:天の贈り物




「……MPが増えてるな」



 真っ先に目についた数値。昨日まではゼロだったその数値が、今では3となっている。



「そうなんです。INTに割り振ったら、MPの数値も合わせて増えちゃって」

「なに?」



 ミコトの言葉に、俺は自分のステータスでMPが上がったときのことを思い出す。

 俺のMPが増えた時、確かあの時はINTの数値は3だった。

 俺の時はレベルアップで全体的にステータスが上がっていたから、なぜMPが増えていたのか分からなかった。

 MPの上限は、レベルがある一定の数値に達することで増える、ということも一時は考えたが、それも今の彼女の言葉で否定された。



 俺と彼女のINTの数値は4で、レベルが違うにも関わらずその数値は今や同じだ。

 SPを一回だけ割り振ったにも関わらず、彼女のINTステータスが俺と同じなのは、元々のステータスの高さに加えて、俺のLUKと同じ様に彼女はINTが伸びやすい傾向なのだろう。

 VITを割り振ればHPが上がるように、INTが上がればMPがあがる可能性は多いにある。

 問題は、なぜINTが3でも4でも同じようにMPが増えたのか、だが……。



「……ステータスの数値が一定以上にならないと、MPは増えないのか?」



 そう考えれば説明もつく。

 おそらくだが、MPはINTが3以上にならなければ増えない仕組みだったのだろう。

 今、俺たちのINTは4だがMPの上限は増えていない。

 だとすれば、次にMPが増えるのはINTが6になった時か?


 ……そのあたりは要検証だな。



「あの……? どうですか? 昨日、ユウマさんから聞いた話を私なりに考えて振ってみたんですけど」


 じっと画面を覗き込み考えを巡らせる俺に、心配そうな顔でミコトが聞いてきた。


「ん、ああ。悪くないと思う。VITがあれば疲れにくいし体力のHPも上がるし。AGIが少しでも高ければ早く動けてモンスターから逃げやすい。ミコトはINTが伸びやすいみたいだから、今後もそのあたりを考えて割り振っていけばいいと思う」



 今のところ、INTが上がったことで現実に反映されているステータスの恩恵が実感ないけど、INTが増えることでMPが増えるのならば、今後も割り振っていても損はないだろう。

 ミコトは俺の言葉を聞くと、安心するかのようにほっと胸を撫でおろしていた。



「よかった。ユウマさんにそう言ってもらえると、嬉しいです」

「モンスターを倒してレベルアップをすればまたレベルが上がるから、そしたらまた気になるステータスに割り振ればいいよ」



 そう言って、俺は立ち上がった。

 ポケットにスマホがあることを確認して、錆び付いた包丁を拾って――ついでにミコトから飲みかけのペットボトルを受け取りバックパックに仕舞いこんでから、バックパックを背負う。


 俺が立ちあがったのを見て、ミコトも立ち上がった。



「行くか」

「はい!」



 顔を見合わせて、俺たちは頷き合う。

 受付カウンターを乗り越えて、俺たちはビルの外へと踏み出す。

 太陽が辺りを照らし、ビルを覆う緑が朝露で光っていた。

 空には雲が少なく、どこまでも青空が広がっている。

 この世界で迎えた二日目。

 二人で旅をするには気持ちの良い日だ。








「ユウマさん! 後ろです!」


 ミコトの切羽詰まった声が戦場に響いた。

 俺はその声に反応して、振り向きざまに錆び付いた包丁を振う。

 真っすぐに振り抜かれた包丁は、俺を後ろから襲おうとしていたゴブリンの首筋をまっすぐに捉え、真横から首を中ほどまで切り裂いた。



「げ、げ……」


 断末魔を残してゴブリンが倒れる。

 俺は息を吐いて空気に溶けゆくゴブリンから包丁を引き抜くと、刃に付いた血を振り払った。



「ユウマさん!」


 戦闘が終了したことを確認して、後ろで見守っていたミコトが俺の元へと手に錆び付いた鉄パイプを持って駆け寄ってくる。



「大丈夫でしたか?」

「大丈夫、なんともないよ」



 言って、俺は安心させるようミコトへと笑いかける。



「よかった。何もなくて」



 俺の様子を見て、ミコトは安心したように笑った。

 それから、ミコトは辺りへと目を向けた。



 そこには倒れたモンスターの姿はないものの、モンスターの死体があったことを示す血だまりだけが地面に広がっている。


 数は五つ。その血だまりは全てゴブリンのもので、俺が倒したモンスターだ。

 以前は太刀打ちできなかったその数も、上昇したステータスによって対応できるようになっていた。



「結構、頻繁に襲われますね」


 ミコトは目を伏せながら言った。



 立川を出発して数時間。

 俺たちは廃墟の街を進み、モンスターに襲われながらもそれを蹴散らしながら前へと進んでいた。

 だいたいのモンスターは俺が倒しているものの、レベルを上げるためにミコトも出来る範囲で戦闘には参加している。

 とは言っても、筋力や敏捷は俺のほうが上なのでミコトがやっていることは俺が弱らせたモンスターにとどめを刺すことだけ。

 道中で拾った鉄パイプを手に、数時間前は涙を浮かべながらゴブリンの頭を殴っていたその姿も、今ではもはや慣れてきたのかゴブリンの頭を殴る目は据わっていた。



 ミコトがこの世界に順応してきているのを傍から見ていても実感できると同時に、元は女子高生である女の子が鉄パイプを片手に無言で頭を殴り続けるその姿は、中々に恐ろしいものがある。

 これで彼女が鉈でも手にしたらどうしよう。

 その時は俺の背後にひたひたという足音が聞こえないよう気を付けるしかない。

 ……いや、聞こえた時にはもう遅いかも。



「あの、ユウマさん?」



 鉄パイプを片手に、ミコトが首を傾げる。

 俺はなんでもない、と首を振ると馬鹿な想像を追いやった。



「ミコトは大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。って、私はほとんど何もしていないので、当たり前なんですけどね」



 微かにミコトが笑った。

 俺はその言葉に首を横に振って答える。



「そんなことない。ミコトが俺の後ろで戦況を見てくれているから、助かるよ」



 先ほどのように、戦闘中にいくら気を付けていても不意打ちを食らいそうになることがある。

 これまではそれが危なかったから下手に冒険をすることなく、余裕をもって倒せるモンスターの数しか相手にしていなかったが、今では自分のステータス相応のモンスターの数を相手出来るようになっていた。

 ミコトのおかげで、バックアタックの心配が減るのは非常にありがたい。



「そうですか?」


 とミコトは俺の言葉に照れるように笑った。



「ああ、助かるよ」


 と俺はミコトに笑みを返して、俺たちは歩き出す。



 ひび割れた歩道を避けるように、ミコトは縁石へと乗ると両手を広げてバランスを取りながら歩き出した。

 俺が渡した男性用の防寒用ローブを着たミコトのその姿は、その小さな背丈と相まってさらに幼く見えてしまう。



「~~~、~~~~♪」



 気分がいいのか、ミコトは鼻歌まで口ずさんでいた。

 俺が子供の頃に流行った歌だ。テレビCMとかでもよく流れていたことを思い出す。



「歌、上手いんだな」

「そうですか? 別に、普通ですよ」


 ミコトは笑った。



「友達で、私なんかよりもずっと歌が上手い子がいたんです。この歌も、その子が歌っていたのを聞いて知ったんですよ。いい歌ですよね」


「ああ、俺も昔よく歌ったよ」



 そう言い返して笑いかけたとき、ふと目の前の樹木の木陰に目がとまる――。


二日目開始時点でのユウマ君のステータスはこちらです。


 古賀 ユウマ  Lv:3 SP:0

 HP:22/22

 MP:3/3

 STR:7

 DEF:6

 DEX:4

 AGI:8

 INT:4

 VIT:7

 LUK:17

 所持スキル:未知の開拓者 曙光




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