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種族:人間ではじまるクソゲー攻略! ~レベルとスキルで終末世界をクリアする~  作者: 灰島シゲル
【第二部】 円環の黄昏と幻想の始まり

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180/246

五周目 一日目・朝 活動方針



 ユウマ  Lv:45 SP:40

 HP:204/212

 MP:87/87

 STR:149(+15)

 DEF:92(+9)

 DEX:99(+10)

 AGI:144(+14)

 INT:83(+8)

 VIT:89(+9)

 LUK:132(+13)

 所持スキル:未知の開拓者 曙光 星辰の英雄 種の創造主 天恵 夜目 地図 気配感知 直観 雷走 闘争本能 集中強化 瞬間筋力増大 視覚強化 聴覚強化 空間識強化 痛覚遮断 刀剣術 / 一閃 格闘術 / 急所突き

 特殊:強化周回

 種族同化率:20%




 クソゲー攻略、五周目。


 初日のボロアパートを抜け出した俺は、この世界のユウマが足を踏み入れない廃墟の一角で、壁を背にして座り込みながらスマホの画面を眺めていた。



「……四周目の、天狗を倒して上昇したレベルは四つか」



 ルナティックモードというクソみたいな仕様が追加された俺の周回攻略。

 もともと存在していた、プレイヤーのレベルに応じたボスモンスターのステータス補正と、ルナティックモードによるボスモンスターのステータス強化によって、強化周回を始めた俺のストーリークエスト攻略は苦汁を舐めさせられている。


 四周目にしてようやく、ほとんど相打ちとなりながらもストーリークエストのボスを相手に辛くも勝利を掴んだのも束の間。


 俺は、この世界に四日目以降の存在を〝否定〟されて、こうして五周目の開始を余儀なくされている。



「はぁー……」



 重たいため息が漏れ出る。

 この世界での活動が、三日というタイムリミットが設けられている以上、のんびりとしては居られない。

 これまでのように、ただストーリークエストを待つだけでは意味がないだろう。


 ……であれば、まずは別の攻略方法を考えなければならない。



「とりあえず、まずは強化周回の発動条件――トリガーを知る必要があるな」



 時間制限(タイムリミット)の根本的な原因。


 アイオーンとの取引で手に入れたスキル――もとい、爆弾の存在。

 これまでの周回で分かったことと言えば、まず『任意での発動が可能』であること。『この世界に存在する俺自身と顔を合わせてはいけない』こと。そして、『この世界での四日目が始まると同時に、このスキルは強制発動する』ということの三つ。



 アイオーンはこのスキルを俺に渡す際に、『周回を繰り返す度に、俺は俺という存在を失くす』とも言った。



 その言葉が意味するところは今のところ分かっちゃいないが、あのクソ野郎のことだ。絶対に、ロクな結果にならない。

 強化周回を気軽に発動させるものじゃないが、まずはその〝爆弾〟が起動する条件を知る必要があるだろう。



「しばらくは、それを探る周回になりそうだな」



 この世界が俺の知る一周目の世界である以上、迂闊な行動がトリガーに掛かる危険性が至る所に存在しているだろう。


 どこまでがセーフで、どこまでがアウトなのか。

 それを知りさえすれば、この三日間でも十分に攻略可能なはずだ。



「……よしっ、とりあえずSPの割り振りだ」



 気持ちを持ち上げるように呟いて、俺はステータス画面と向き合う。


 それから、天狗の戦いで得たことを考え纏める。

 天狗との死闘。あの勝敗を決したのは、単にスキルの存在――土壇場で取得した【闘争本能】というスキルの存在が大きい。



 戦闘による興奮によって身体能力向上の効果があるこのスキルは、俺の持つ種族命題との相性が良かった。

 このスキルがなければ、俺は今でも最初のストーリークエストで躓いていたことだろう。



「……そうだな。やっぱり、まずはAGIとSTRに――」


 言いかけた言葉を止める。



 ふと、頭の中で違和感が生じたからだ。

 それは【直観】による制止の言葉だったのかもしれない。

 画面にタップしようとしていた指を止めて、俺はその違和感の正体を探る。



(……このまま、STRとAGIを上昇させて本当に大丈夫なのか? 確かに、この二つが高ければ一撃の威力が高まるし相手の攻撃を回避することも出来る。でも――)



 天狗との勝敗を決したのはステータスじゃない。【闘争本能】というスキルだ。

 このまま、AGIとSTRを上昇させたとして。

 本当に、また次のストーリークエストをクリアすることが出来るのだろうか。



(――そうだ。考えてみれば、ボスの強さは俺のレベルに応じて上がっていく。ステータスを上げれば確かにその強さに対応することが出来るけど、ルナティックモードがある今それも限界がある)



 それを補うのは何か。


 ……考えるまでもない。スキルだ。



(そう言えば、このゲームは『レベル×スキル制』のゲームだったっけ)


 ふと、そんなことを思い出す。



 一周目で、初めて知ったスキルの存在。

 その時は切り札ともなりうるこのスキルを多く取得するため、LUKに割り振っていこうと決めていた。

 だが、数々の強敵と戦うため戦闘系のステータスを伸ばしていくうちに、元の種族影響からLUKが伸びやすいから――と、LUKを伸ばすことを止めていた。



 ステータスは大事だ。


 それさえあれば、この世界で生き抜くことが出来るようになる。

 だが、この世界は物理で殴って攻略できるほど甘くはない。

 それを、一周目の時点で知っていたはずなのに。

 俺は、いつしかそれさえも忘れてしまっていた。



「……もう一度、慎重にステータス割り振りを考えるべきだな」



 自分に言い聞かせるように俺は言った。

 ジッと画面を見つめて、俺は慎重にSPを割り振っていく。


 ――おそらくだが。いくら【曙光】があるとはいえ、このレベル帯になればもはやホブゴブリンを倒したところで大した経験値にもならないだろう。


 四周目でレベリングに使用していたモンスター……。ルナティックモードが適用された強化雑魚モンスター相手ならば、多少はまだ経験値が貰えるのかもしれない。


 だが、それも一時期までだ。

 この世界の、この三日間を周回し続ける可能性がある今、いつしかレベルアップはクエストボスを倒すことでしかレベルアップしなくなる可能性がある。

 となれば、俺がこの三日間ですぐさま取得できるSPも限りが出てくる。



 ()()()()()、で割り振っていればいつしか痛い目を見ることになるかもしれない。



「五周目は、このステータスで行くか」


 言って、俺はSPを振り終えたステータス画面を眺めた。




 ユウマ  Lv:45 SP:10

 HP:212/212

 MP:87/87

 STR:155(+16)

 DEF:95(+10)

 DEX:99(+10)

 AGI:155(+16)

 INT:83(+8)

 VIT:89(+9)

 LUK:152(+15)

 所持スキル:未知の開拓者 曙光 星辰の英雄 種の創造主 天恵 夜目 地図 気配感知 直観 雷走 闘争本能 集中強化 瞬間筋力増大 視覚強化 聴覚強化 空間識強化 痛覚遮断 刀剣術 / 一閃 格闘術 / 急所突き

 特殊:強化周回

 種族同化率:20%




 割り振ったSPは、AGIに11、LUKに10、STRに6とDEFに3だ。

 残ったSPは10となったが、LUKに割り振るべきかSTRやAGIに割り振るべきかを悩んだ結果、保留にした。


 スキル取得を目指すのならばLUKにするべきだろうが、今のステータスで五周目の一度ストーリークエストのボスに挑んでから判断しても遅くはないと考えたからだ。



「あとは、五周目の方向性だな」


 言って、俺は自らの身体を見下ろす。



 天狗との戦いで焼けた服は、もはや服というよりも焦げた布の切れ端がぶら下がっているような状態だ。

 腹には包帯が巻かれたままであることを見ると、どうやらその包帯は俺の一部とみなされて強化周回による持ち込みが出来たらしい。


 包帯を剥ぎ取って、天狗に開けられた腹の状態を目にしてみる。

 抉られた肉は【天恵】による効果で元通りになっていた。



「……【天恵】は、単純な持続回復スキルだと思っていたけど、実際は再生スキルなのか?」



 回復と再生は、似ているようでどこか違う。

 回復は傷の治りを早くし、修復しているだけに過ぎない。

 だが、再生は一般的に失ったものさえも修復する行為だ。

 あの時、確かに俺の腹は抉られて内臓が顔を見せていた。

 それが綺麗に無くなっているということは、【天恵】が持続再生スキルだったという証明になる。



「まあ、だからといって。何度も腹に風穴が空くのはゴメンだけどな」



 呟きながら、巻き取った包帯をポケットに入れた。

 これはこれで何かの役に立つだろう。



「動くなら、まずは服だよなぁ」



 警察なんかいない世界だから気にする必要もないだろうが、それでも活動するに当たってまともな服が欲しくなるのは、もはやかつて現代で生活していた名残だろう。


 どこかに、服が手に入る場所なんかあっただろうか。


 そんなことを考えていると、ぎゅるぎゅると盛大な腹の音が鳴った。



「……そう言えば、最後に口に何かを入れたのって、いつだったっけ」



 ……多分。気を失っていた時間を含めると、体感で三日前ぐらいになる。


 飲まず食わずでその時間を過ごしていたのだとしたら、そろそろ身体に不調が出そうだけど、今のところ何も感じない。

 もしかして、俺が気を失っている間。俺を介抱してくれていたあの女性が、少量でも水を含ませてくれていたのだろうか。



「意識を失っている俺に、水を飲ませることなんて……。出来るのか?」


 ……普通に考えて、無理のような気がする。

 だとしたら、どうして俺は平然としているのだろうか。


「考えられるとすれば……VIT、の影響かな」


 VIT――つまりは身体の耐久力。

 以前に比べて伸びたこの数値が、飲まず食わずの状態でも身体を動かしているのかもしれない。



「まあ、なんにせよ。とにかく今は飯だな」


 言って、思考を切り替える。



「五周目の始まりは、水と食べ物の確保からだな」



 確か、北に向かえば食料と水を確保できたはずだ。

 そうして、俺は二周目の記憶を頼りにしながら。

 この世界での五周目に向けて足を踏み出した。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] もし餓死したら無限ループですか…
[一言] レベル70くらいでクロエに会ってクゼを名乗るってことかな
[一言] お、やっと思い出した
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