表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種族:人間ではじまるクソゲー攻略! ~レベルとスキルで終末世界をクリアする~  作者: 灰島シゲル
【第二部】 幻想の青年と黎明の影

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

169/246

四周目 一日目・夜 痛覚遮断



 意識を取り戻すと、目の前にホブゴブリンの死体が積み重なっていた。


 『人間』が暴れた跡だ。


 コボルドキングを殺し、それでもなお止まらなかった『人間』は、そこから進んでホブゴブリンの巣を襲撃していた。

 武器が壊れれば自らの拳を、足を武器に暴れまわる俺の姿を、俺はあの空間に映し出されるスクリーンで眺めていた。


 そうして。

 全てのホブゴブリンを殲滅してようやく気が済んだのか、『人間』は俺へとコントローラーを渡し返してきたのだ。



「……っ」



 ビキリ、と腕に激痛が走る。

 見れば、右腕はあらぬ方向にへし折れていて、左腕には瓦礫の破片が突き刺さり流血していた。

 頭は割れるように痛み、足の筋肉が断裂しているのか思うように動かない。

 おそらく限界突破スキルを使った反動だろう。


 俺は限界突破スキルの発動を中止して、ゆっくりと息を吐いた。

 まるでボロキレのような有様だが、しっかりと俺の心臓は動いている。

 四肢の欠損、各感覚器の支障もない。


 これならば、時間が俺の身体を癒してくれる。

 俺は周囲を見渡してホブゴブリンが全滅していることを確認してから、状況を整理するために震える左手でスマホを開いた。



「……四月一日、午後六時二分」



 スマホを開いて時間を確認する。

 四周目を始めてから、早くも12時間が経過した。

 今回は探索を抜きにして全ての時間をレベリングに費やしている。


 『人間』にも身体を明け渡してレベリングに利用させてもらったのだ。

 レベルが上昇しているのは間違いないだろう。

 俺は、すぐにステータス画面を開いて確認することにした。




 ユウマ  Lv:38 SP:30

 HP:31/190

 MP:21/78

 STR:114(+11)

 DEF:79(+8)

 DEX:85(+9)

 AGI:123(+12)

 INT:74(+7)

 VIT:79(+8)

 LUK:118(+12)

 所持スキル:未知の開拓者 曙光 星辰の英雄 種の創造主 天恵 夜目 地図 気配感知 直観 雷走 集中強化 瞬間筋力増大 視覚強化 聴覚強化 空間識強化 痛覚遮断 刀剣術 / 一閃 格闘術 / 急所突き

 特殊:強化周回

 種族同化率:38%




 上昇したレベルは三つ。

 思ったよりも上昇したレベルが少ないが、レベル35を越えてレベル30の時と同じモンスターを狩っていればそんなものか。


 一通り自分のステータスへと目を通してから、次にスキル欄へと目を向ける。

 すると、そこに新たなスキル名が表示されていることに気が付いた。



「【痛覚遮断】と【急所突き】」



 呟き、震える手でスキル欄をタップしていく。




 ≫【痛覚遮断】

 ≫その身体を苛む痛みに耐え、慣れた者の証。

 ≫あなたにとって、身体を苛む痛みはもはや邪魔なもの。このスキルの所持者は、痛覚を遮断することが出来るようになる。




 ≫【急所突き】

 ≫格闘に対する技術が高まり、その技術は一つの技となった。

 ≫このスキルの所持者は、相手の急所を突く行為に限り威力上昇の効果を得る。




 おそらく、『人間』が暴れた結果だろう。

 その身を焦がす本能に任せて、力の限り暴れまわった結果、この二つを取得したようだ。


 俺はすぐに【痛覚遮断】を発動させて、身体の激痛を消すことにした。



「【痛覚遮断】」



 呟くと同時に、限界突破スキルの反動も含めた全ての痛みが波のように引いていく。

 息をすれば身体が痛み、少しでも身じろぎをすれば激痛が走っていたはずなのに、まるで嘘のように身体が軽い。

 身体はボロボロでも、今すぐにでも走り出せそうなほどだった。



「……なるほど、な」


 と俺は息を吐く。



 言ってしまえば、このスキルは麻薬と同じだ。

 言葉一つでモルヒネのように痛みを取り除くことが出来る。


 常時発動させておけば痛みに気が付かず、HPが残り少なくても気が付かない……なんてことになりそうだが、使う場面さえ間違えなければ戦闘の幅が広がる。



「これは、いいスキルを手に入れたな」



 これまでの戦闘を思い返しても、重要な場面で痛みによって隙が生じてしまうことが多かった。

 だが、このスキルを使えばその心配がなくなる。

 ここぞ、という場面で使えば痛みに気を取られることもなくなるだろう。



「それと、【急所突き】か」



 効果は急所を突くという行為に限り、威力上昇の効果だ。

 【一閃】と違うのは、それが初撃ではなく急所という場所を突けば威力が上がるということ。

 問題はその急所がどこになるのか……ということだけだが、心臓や頭、首であれば間違いなく急所だろう。

 そこを攻撃することでこのスキルが常に発動するとなれば、俺にとってはこの現状で一番欲しかったスキルとも言える。



「同化率が38%だが……。これは、ボス級のモンスターを倒していないからだろうな。アイツ(人間)はコントローラーを渡してきたが、実際は不完全燃焼だったってことか」



 ……まあ、それはいい。

 アイツに身体を明け渡すのは、俺がアイツを利用する時だけだ。


 これは俺のクソゲーだ。

 俺が攻略するべき世界なのだ。

 俺が救うべき人がいるのだ。


 アイツが――人間が満足するために、俺は俺の身体を渡すわけじゃない。


 あくまでもアイツには俺の、俺なりのクソゲー攻略に付き合ってもらう。



「HPが回復するまで、約12分か」


 残りのHPを見て、【天恵】による回復時間を考える。



「ちょうどいい。それまでステータスをどうするか考えよう」



 今まで通りAGIとSTRは優先にするが、それでも全てのSPを割り振るわけにはいかない。

 天狗のとの戦いを通して感じたのは、DEFかVITももう少し必要だということだ。


 肝心なのは、そのバランス。


 回避や攻撃速度に繋がるAGI。

 相手のDEFを破り、確実なダメージを与えるSTR。

 身体操作に繋がるDEX。

 皮膚、骨の強度であり俺の防御力そのものであるDEF。

 俺の命、生命力の根幹ともいえるVIT。

 スキルという、このクソゲーにおける超常の力を発揮するために必要なINT。


 戦闘に必要なこの六つのステータス。


 俺がソロである以上、どれも欠かすことが出来ないステータスだが、俺は獲得したスキルを鑑みてAGIとSTR優先にした。

 それは、今後もおそらく劇的なスキルを入手しない限りは変わらないだろう。



「…………」



 ジッと、俺は考える。

 残り時間は約10時間。

 それまでに、レベルはおそらく2つは上げられる。

 それを考えて、今のステータスを割り振らねばならない。



「…………よし」



 じっくりと考えて、俺はステータスの割り振りを決めた。

 気が付けば右腕の骨は元通りに癒合している。

 断裂していた筋肉も修復された。


 俺は右腕を動かし、左腕に突き刺さったままだった瓦礫の破片を引き抜いて、身体に残った異物を全て取り除く。

 左腕から再び血が流れ始めるが、俺はそれを無視してステータスを割り振る。




 ユウマ  Lv:38 SP:1

 HP:31/190

 MP:21/78

 STR:130(+13)

 DEF:85(+9)

 DEX:90(+9)

 AGI:125(+13)

 INT:74(+7)

 VIT:79(+8)

 LUK:118(+12)

 所持スキル:未知の開拓者 曙光 星辰の英雄 種の創造主 天恵 夜目 地図 気配感知 直観 雷走 集中強化 瞬間筋力増大 視覚強化 聴覚強化 空間識強化 痛覚遮断 刀剣術 / 一閃 格闘術 / 急所突き

 特殊:強化周回

 種族同化率:38%




 STR、DEF、DEX,AGIにSPを割り振る。

 残りSPが1つ残ったが、これは次のレベルアップ時に考えることにした。



「とりあえず、これでまたレベリングだな」


 どこに向かうか考える。


 また高尾山に行き、角鹿やサルを相手にするのも良いが、今の同化率は40%に近い。

 レベルも上がり、新しいスキルを取得している現状、あの時の負けイベントとは状況が違う。今、この状態ならば50%を超えたら『人間』が天狗に挑みそうな気がする。

 準備もまだ整っていないのに、それだけは絶対に避けねばならない。



「……【気配感知】を使って、強そうなモンスターを探すか」



 言って、俺は立ち上がる。

 今度の探索は食料や水ではなくモンスターだ。

 出来れば、ルナティックモードが適用された雑魚のほうが獲得出来る経験値も多いから嬉しい。


 これからレベリングをして、クエスト前に『人間』に暴れてもらえば、同化率も今の状態でボスに挑むことが出来るはずだ。

 しっかりと、経験値の糧になる奴を探すとしよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ