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種族:人間ではじまるクソゲー攻略! ~レベルとスキルで終末世界をクリアする~  作者: 灰島シゲル
【第一部】 希望の失楽園と終末の先行者

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4月1日 午前6時01分 二度目の黄昏へ



 目を覚ますと、部屋の中はうす暗い闇に包まれていた。

 春先を思わせるその肌寒さに、俺は身体を震わせる。



「さっむ」


 もぞもぞと身体を動かして、目の前に落ちていたスマホへと手を伸ばす。


「……?」


 ふと、違和感。

 目を落とすと、画面には誰かの血が付着している。



「……なん、だ。これ」



 気味の悪さに背筋が凍る。

 だが、そんな感情とは別に、俺の頬にぽたりと涙が零れ落ちた。



「あ、れ……?」



 慌てて、目元を拭う。

 溢れた涙の理由が分からない。

 けど、思い出すことのできない大切な何かがあったような、そんな気がする。


 ゆっくりと、部屋の中を見渡す。



 ――見知らぬ部屋だ。



 朽ちた家具と、俺が寝ていたその場所を除いた腐った畳が特徴的な、四畳半。

 そしておそらくここが、俺の新しい始まりの場所。



「……あれ? 何を、するんだっけ」



 俺は首を捻る。

 誰か、大切な人を助けるために、俺はココに戻ってきた。

 それは覚えている。

 この世界が狂ったクソゲーで、この世界を攻略するためにここに戻ったことも覚えてる。


 ……でも、なんで?


 どうして、俺がその攻略をすることになったんだ?



 とりあえず、起きよう。

 そう思って身体を動かしたその時だ。


「ッ、いっ、た……」


 尋常じゃない激痛が身体を苛んだ。

 よくよく見れば、身体のあちこちが傷だらけで、血が固着していた。



「なッ……。なんだ、よ……これッ!」



 驚き、言葉を失う。

 傷はもう塞がりつつあるようだが、(おびたた)しい量の血を流したのか、シャツは血に染まって真っ赤になっている。


 全身に至っては筋疲労で力も入らず動きが悪い。

 まるで、目を覚ます直前まで限界突破スキルを使用した激しい戦闘を行っていたかのようだ。



「……何が、あったんだ」



 眉を顰めて記憶を辿る。

 だが、頭の中の記憶は靄がかかったかのようにはっきりとしない。

 ただ、思い出せるのはこの世界の仕組みと、アイオーンという思い出すだけでも吐き気がする名前、そして俺がソイツを殺すためにここにいるという事実だけだ。



「……とりあえず、ステータスを見るか」



 呟き、スマホを開いてステータス画面を呼び出した。




 ユウマ  Lv:30 SP:0

 HP:46/160

 MP:31/72

 STR:90(+9)

 DEF:70(+7)

 DEX:65(+7)

 AGI:100(+10)

 INT:66(+7)

 VIT:65(+7)

 LUK:104(+10)

 所持スキル:未知の開拓者 曙光 星辰の英雄 種の創造主 天恵 夜目 地図 気配感知 直観 雷走 集中強化 瞬間筋力増大 視覚強化 空間識強化 刀剣術 / 一閃 

 特殊:強化周回

 種族同化率:23%




 追加項目があるステータスと、見慣れないスキルが二つ。

 そのスキルに、俺は首を捻りながらもスキルの効果を確認した。




 ≫≫【種の創造主】

 ≫≫全ての幻想に通じる種族は人間の想像により生まれた。

 ≫≫人間は、幻想を創り出し、否定することが出来る唯一の存在。創造主である人間は、他種族との共闘と行う際に、その共闘する種族のステータスを50%増加させる。




 ≫≫【天恵】

 ≫≫貴方にただ、生きてほしい。そう願った天使が与える、たった一度だけ贈ることが祝福。

 ≫≫この祝福を得たプレイヤーは、5秒ごとにHPが1回復する。




「……ッ」



 そのスキルの内容に、胸が締め付けられた。

 鼻の奥がツンと熱くなって、また、涙が自然と零れだす。



 ――大切な何かを忘れている。



 それはきっと、忘れてはいけないことだった、ということが強く分かる。

 でもそれと同時に。

 その大切な何かを守るために今、俺がここにいるということは、はっきりと分かる。



「……ああ、負けないさ。今度は、生きることを諦めない」


 と俺は、心に湧いたその言葉を、名前も知らない誰かに向かって、そう呟いた。



 スマホの時間を確認する。



 4月 1日 6時01分



 ほどなく、この世界での夜明けが始める。

 同時に、それは絶望の夜明けだということが、今の俺には分かっている。



「ふー……」



 ゆっくりと、息を吐いた。

 スマホをポケットに入れて、その場から立ち上がる。


 身に付けた衣服以外の持ち物はない。

 レベルとステータス、スキルだけを引き継いだ強くてニューゲームだ。

 種族が『人間』である以上、まずは食料と水の確保をしなくてはならない。



 玄関までの数メートル。

 その距離を、俺は一息で飛び越えて、白く埃が積み重なった玄関に立つ。


 この世界のユウマも、今頃きっと目を覚ましたところだろう。

 その証拠に、このボロアパートのどこかから、悲鳴と共にバタバタと暴れる音が聞こえる。


 俺は扉のドアノブを掴んで、立て付きの悪くなった玄関の戸を開ける。

 すると、すぐさまソレが目に入る。



 ――緑に覆われて廃墟となった街。



 俺の――いや、〝ユウマ〟の始まりの場所。

 一歩、外に足を踏み出す。

 すると、耳に馴染んだアナウンスが鳴り響く。




 ≫≫黄昏の世界へと踏み出しました。これより、あなたの冒険が始まります。




 ――さあ、出掛けよう。

 この世界を、このクソゲーを否定する冒険に。



 長い、長い。


 俺の――ただのユウマという人間から始まる、この世界を否定するクソゲー攻略を今から始めよう。




種族:人間ではじまるクソゲー攻略! ~レベルとスキルで終末世界をクリアする~


これにて第四章、完結です。

同時に、第一部はこれで締めくくりとなります。


さて、いつものお願いです。

「面白い」「第一部良かった」と思われましたら評価をお願い致します。


また、怒涛の展開で困惑された方も多いと思います。

そんな方も、遠慮なく当作品の再評価をしていただけましたらと思います。



世界の謎を解き明かし、絶望のバッドエンドを否定するため、二度目のクソゲー攻略に乗り出したユウマ。

彼の物語は、第二部へと続きます。



追記:感想頂けると私のやる気がメッチャ出るので、もしよろしければ感想お待ちしてます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 130話くらいで読むのが止まっていましたが まさかこういう展開で来るとは…
[良い点] 第一部ここまで面白かったです!強くなってニューゲーム心が躍りますね [一言] 種族特性ゆえに人間がたった一人で何か出来るわけではないのでこれからの出会いに期待です
[一言] やった!強くてニューゲームだ!これでヌルく・・・なるわけねー!!! よりマゾい方に行かないとアイオーンさん許してくれへんやろが!!!
感想一覧
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