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新人冒険者、その名は……ってマジですか?

魔王が死んでもう10年以上経つ。

しかし相変わらず魔物の発生は止まっておらず、どこのギルドも相変わらず賑わいを見せている。


そんな中、ゴチンコのギルドには相変わらず客が1人もいない。


「ああ、暇だな」


ギルド長であるゴチンコは新聞を読みながら大きなあくびをした。


「お父さん!ギルドでだらしない格好しないで」


ゴチンコの娘であるローラが父を嗜めるが、ゴチンコは態度を改めるつもりはない。


「ケッ、客なんていないじゃないか」


そう言った途端。


カランコロン


ドアについたベルが鳴り、一人客が入ってきた。


20代後半くらいだろうか?

客はぺこりと頭を下げ、そのまま掲示板を見にいく。


ローラは会釈を返し、小声で父に言う。


「ほら、来たじゃない」


ゴチンコは顎髭を撫でて客を観察する。


「見ねぇ顔だな、多分新規登録、それも依頼料払いでの登録だ。大した金にならん」


そう判断するとまた新聞に目を落とす。


「もう!お父さん!」


ローラが父を叱ろうとすると、さっきの客が1枚の依頼書を持ってカウンターに現れた。


「ほら来たぞ」


ローラは変なとこを見られてしまったと顔を赤くする。


「あの、これお願いします。依頼料払いの新規登録で」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『求む、ポーションに必要な薬草10種!』

報酬銀貨1枚

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あ、野草の依頼ですね。薬草10種の納品でこちらの依頼は達成となります。今日一日は納品が優先となりますが、明日以降、他の人が同じ依頼を受けた場合、納品は早い者勝ちになりますのでご注意下さい」


「はい」


必要な項目に記載していくその冒険者の顔から、なぜかローラは目が離せなくなった。

なんだろう?どこかで会った事があるような、そうでないような、不思議な感じ。


「じゃあ、お願いします」


必要事項を書き終えた冒険者が外に出ていくと、ゴチンコは娘にちょっかいをかける。


「ああいうのお前のタイプだろ。じっと顔見てたな」


「もう!」


「そろそろ結婚してくれたって俺はいいんだぜ」


「からかわないで!」


笑ってローラの顔を見たゴチンコだが、その顔を見てギョッとしてしまう。


「お、おい、どうしたんだローラ」


ローラの瞳からポロポロと大粒の涙がこぼれていた。


「あれ?あれ?なんでだろう。なんかあの人の顔見たら急に。あれ、駄目だ、なんか止まんない」


「だ、大丈夫か」


ハンカチで涙を拭うローラ。


「う、うん。大丈夫、平気」


そんなローラの姿を見て、ゴチンコもうーんと腕を組んだ。


「なんか変な感じだ。実は俺もあいつの顔見た瞬間、なんかこう、胸の奥がグーっと熱くなって……」


「お父さんも?」


「なぁ、あいつ名前なんて言うんだ?」


ローラは先ほど冒険者が書いていた仮登録のギルドカードに目をやる。


「名前なら……あった、あの人の名前は……」





『大手ギルドで10人分働いている超優秀なギルド職員である俺をクビってマジですか?』『完』

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