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修羅場は続くってマジですか?

玄関の前のエリザ姫はまるで娼婦の様な格好だ。

とても一国の姫とは思えない。


「いや、来るにしてもちゃんと普通の格好で来て下さい!」


「あら?こういう服はお嫌いでしたか?次は違うのにしますね」


格好が格好なだけに外に出しておくわけにもいかない。


俺はしぶしぶエリザ姫を部屋に上げる。


「とりあえずこっちの部屋に来てください」


「はい♡」


話ができそうな部屋がルイズ様のいる部屋しかないので、とりあえずその部屋に行く。

たぶん隠れていると言ったので大丈夫だと思うが、俺は先に部屋に行き中を確認した。


よし!いない!

どこにいるかは知らないがうまく隠れたのだろう。

まずできることから一歩ずつだ。

エリザ姫に俺の服を渡してそれを来て城に帰ってもらう。

その後ルイズ姫にも帰ってもらおう。


「今ちょっと立て込んでるんで、俺の服貸すからそれを着て……」


そう言って後ろを振り返ると、裸で四つん這いになっているエリザ姫の姿があった。


「うわぁあああ!!!!」


「どうしたんですか、タクト様?怖い物でも見たみたいに」


「ある意味この世で最も恐いかもしれない光景を見たよ。夢であれ」


俺は慌ててクローゼットに駆け寄る。

服、なんかエリザ様でも着れそうな服。

そう思いガチャリとクローゼットを開けると、そこに隠れていた裸のルイズ姫とばっちり目があった。


「……」


「……」


ルイズ様は何も言わずゆっくりとクローゼットから出てくる。


「あら、ルイズ、あなたもいたのね」


「お、ね、い?さ、ま?」


とんでもない姿の姉の姿を見て脳が破壊されている様子のルイズ様。


「……」


「……」


「……」


静かに服を着るルイズ様。


四つん這いのままのエリザ様。


立ち尽くす俺。


その時間は数秒だったが永遠の様に思えた。


誰か何か言ってくれ!

そう切に願った。


この重い重い沈黙を破ったのはエリザ様だった。


「さすがですわ、タクト様。ルイズの事も奴隷にしたのですね」


あらかた服を着終わっていたルイズ様はその言葉を聞いて俺をジロリと見つめた。


「奴隷?どう言うこと?まさかあなたお姉様にもこの呪いみたいなモノを……」


「いや、これはその、確かに呪いなんだけど」


「呪い!?あなた聖槍の勇者でしょ?もしかしてそうやって何人もの女の人を手籠に……」


「ち、ちがう!」


「タクト様、妹は放っておいて早くしましょう」


「あの高潔なお姉様をこんな風にするなんて……」


駄目だ。


カオスすぎる。


その時だった。


ドンドン


「あ、また誰か来たので……」


「そんなのいいから!早くお姉様の呪いを解きなさい!」


「いや、たぶん今はまだ呪いは解かない方がいいかも……」


「そんな訳ないでしょ!早く!」


「いや、俺じゃ解けないし、それに首輪が……」


ドンドン、ドンドン


「ああ!うるさい!すぐに追い出してきなさい!お姉様の事は私が隠しておくから」


「あ、はい、分かりました」


チャンスだ!

もう収集がつかないのでこのまま逃げちゃおう!


俺がドアを開けるとラッキーなことに、そこにいたのはユキちゃんだった。


「あの、タクト先輩。突然すみません、実は少しお話が」


「良かった……」


「えっ?」


「ユキちゃんで良かった。なんか流れ的に国王様が来るんじゃないかと思ってたから、本当にユキちゃんで良かったよ!話ね、もう何時間でも大丈夫なんだけど、場所を変えよう」


「じゃあ、私の家はどうですか?」


「そういえばユキちゃんもこの宿に越してきたんだっけ?よし、すぐにそこに行こう」


俺はそっとドアを閉めた。


たぶん急がないとルイズ様が俺を追ってくる。

すぐに隠れられるユキちゃんの部屋は本当に好都合だ。


俺はユキちゃんを急かし、急いで部屋の中に入った。


「ふぅー。これでとりあえず安心」


「何が安心なんですか?」


そう言ってユキちゃんは部屋のドアに内鍵をした。


「えっと、話すと複雑になるんだけど……」


俺とユキちゃんはとりあえず椅子のある部屋まで行く、するとそこには小さなブルースライムの姿が。


「あれ、ぷにちゃん。なんでここに?」


「さっき来たんですよ。これを持って」


そう言ってユキちゃんは手に大量の名刺を持ってみせた。


「ん、それは……あっ!」


それは俺が行った風俗の名刺だ。

まずい!結構際どい名前の名刺もあるぞ!


「ちょーっと詳しく、お話聞きたいなって」


そう言ってにっこり笑うユキちゃんだったが、目の奥は一切笑ってはいなかった。

「続きが気になる!」


「面白かった!」


「また読みたい!」


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