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『恋の奴隷』

エリザ視点


ジェイドが逃げちゃったじゃないの!くそ!


結局騎士団長は剣聖のユニークスキルでジェイドを殺そうとしたが、結局ジェイドを逃してしまった。

全く、使えない男。

やっぱり王宮最強騎士アルベルトがいないとこんなもんなのかしらね。


ルイズとあの鑑定官があんな余計な事言わなければ!


「え、エリザ様!今動かれるのは危険です!まだ城にジェイドが潜んでいる可能性が……」


「うるさい。ワラワの直属の兵士がいるから問題ない」


お父様もここに残るよう止めてきたが、妾は兵士十数人を連れて無理やり部屋に戻った。


別に魔族でもなんでも関係ない。

妾はジェイドが欲しい。


奴隷使いのスキルは強いスキルではあるが、SSS相手に勝てるようなスキルではない。

妾の奴隷の手駒も、殆どがBランク。


この国の支配者として君臨するために、妾には強い奴隷が必要。


そんな中突然現れたSSSランクの中でもとびっきりの素材、ジェイド!

絶対に手に入れたいのに!

あのクソビッチ妹のルイズめ!後で絶対にお仕置きしてやるから!


部屋に戻り、奴隷達に命令する。


「ジェイドを探して連れてこい!手段は選ばない!」


「はっ!」


護衛を残さず奴隷全員を捜索に向かわせる。

別にジェイドと出くわしたらスキル『恋の奴隷』を使えばいいだけなので護衛は必要ないだろう。


捜索に行かせはしたものの、望みは薄い。

普通に考えてジェイドはもう王宮の外に逃げているだろう。


深いため息をつく。

ああ、バカな妹に振り回されて、なんて可哀想な妾。


そんな私にとんでもない幸運が突然舞い込む。


突然音もなく、スッと妾の部屋のドアが開いた。


「誰だ!」


妾がそう叫ぶと、相手は慌てふためく。


「げっ!姫様の部屋!?待って待って!今兵士たちがこっち来てるから頼むから大声出さないで!」


ジェイドだ!何故まだ城に?

よく分からんないが、千載一遇のチャンスだ。

妾は獲物が逃げないよう、ジェイドに優しい笑みを投げかけた。



タクト視点


「げっ!姫様の部屋!?待って待って!今兵士たちがこっち来てるから頼むから大声出さないで!」


ルイズ姫に魔族と言われて、何故か鑑定官にも魔族と言われ、御前試合の栄誉ある優勝者から一転。一気に魔族の重罪人にまで転落した。


俺はスキルを駆使し、なんとか王宮の兵士たちから逃げることに成功したのだが、俺の本来の目的は王宮の禁書庫なのだ。このまま脱出する事はできない。


しかし禁書庫がどこにあるか、もちろん俺は知らない。

魔眼を使ってしまうとあの赤鎧剣聖くんに見つかってしまうので、魔力や気配を消して城の中を歩き回っていたのだが兵士たちに見つかってしまった。

慌てて近くの部屋に入り込んだのだがそれが最悪な結果を生む。


よりにもよってエリザ姫の部屋とは……。

大声を出されることを覚悟したが、エリザ姫はニヤリと怪しい笑みを浮かべただけで叫ぼうともしない。


「えっ?本当に叫ばないでくれるんですか?」


「ええ、もちろんですジェイド様。愚妹と違って、妾はジェイド様の味方ですから」


そう言って相変わらず怪しい笑みを向けるエリザ姫。

え?何これ?意外な展開。でももしかしてラッキー?


「よ、良かった!俺魔族なんかじゃないんですよ!どうにか誤解を解きたくて。エリザ様の方からなんとか言ってもらう事ってできませんかね」


「何か方法を考えますわ。大変でしたでしょう。そこにお座りになって、今お水を」


「えっ?姫様にそこまでしてもらう訳には……」


「ではそこの水差しからご自身でお水をどうぞ」


「は、はい。ではお言葉に甘えて……」


俺は椅子に座り水差しに手をかける。エリザ姫に背を向ける形になったその時だった。

破魔のユニークスキルのおかげで、呪いをかけられる時特有のゾワリという感覚を即座に感じ取った。


「油断したなジェイド!くらえ『愛の奴隷』!!!!」


「え、何?恐い、反射!」


あっ!やっべ!無効化じゃなく思わず反射しちまった!

今のなんのスキルか分からないけど呪いだよな。


慌ててエリザ姫を見るとだらんと脱力し、下を向き黙り込んでいる。

やっば!

これたぶん呪いで身体の何かが書き変わってる!

この脱力状態が終わったら呪いが本格的に発動するぞ!

たぶん俺にかけたんだから即死系の呪いの可能性もあり得る!


姫様にとんでもない呪いかけちゃったかもしれん!す、すぐに解呪しないと!


「解呪」


俺は高クラスの解呪魔法を使うが相変わらずエリザ姫は動かない。

あれ解呪が効いてない?


「解呪。……解呪!」


「……」


なんでだ?解呪できないぞ?もしかして腐食騎士にかかってたやつ以上の呪い?俺の解呪じゃ無理!?


俺が絶望していると、無情にもエリザ姫の脱力状態が終わり、呪いが発動してしまった……。


エリザ姫は俺に向かい、うっとりとした表情を浮かべる。

あれ、死なない!やった!即死系の呪いじゃなかった!


安心したのも束の間。

エリザ姫は俺の目の前で、突然服を脱ぎ出したのである。

「続きが気になる!」


「面白かった!」


「また読みたい!」


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