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ブレーメン

ブレーメンのメンバー達は子供達を引き連れ、安全地帯まで無事に避難してきていた。

しかし、突然の轟音に思わず全員が振り返ったところ、浮遊していたはずの大聖堂が傾き、ゆっくりと落下している事に気がついた。


その光景を見た面々は思わずゴクリと唾を飲む。


「ヨルにいちゃん……こわい……」


怯える子供達が、思わずヨルにしがみつく。


「心配するな、ここにいれば大丈夫だ」


そう言って子供達を抱きしめ、少しでも不安を取り除こうとするヨルであったが、内心はひどく動揺していた。


(あれが落下したら孤児院は?あそこに残っている人達は……クレハさんは……。)


ブレーメンのメンバーは全員正確に現状の把握ができていた。

サヨがそれを言葉にする。


「落下時の風圧くらいは私の呪文で守れる。ここにいる子供達は大丈夫。今から詠唱を始める。でも、あそこにいる皆んなは……」


それを聞いてアサは黙って落下する大聖堂に向かい歩き始めた。


「どこ行くんだ!アサ!」


ヒルが無謀な行動をしようとするアサを怒鳴りつける。


「私の爆裂魔法で大聖堂を破壊して、皆んなを助けるから!大丈夫です。私天才なので」


「バカ言ってんじゃねぇ!爆裂魔法を一発や二発撃った所で、あんなもんどうにもならねぇよ!お前にだってそれくらいわかるだろ!」


それでも足を止めようとしないアサを、ヒルは無理やり腕を掴んで止める。


「この分からずや!!」


そう怒鳴るヒルだったが、アサの顔を見て思わずギョッとした。

アサはボロボロと涙を流している。


「だって!クレハおばあちゃんや皆んなが……」


しばしの沈黙が流れる。

そんな沈黙を破ったのはヨルであった。


「サヨ、呪文詠唱の進捗は?」


「……あと20秒で終わる。それでここにシールドが張れる」


「悪いな、連続で申し訳ないが移動強化の呪文を俺に頼む、全速力で孤児院に戻る」


そんな無謀な言葉を聞き、ヒルは口をあんぐり開けて驚く。


「何お前までそんな無謀な事を……」


そんなヒルの言葉を聞き、ヨルはふっと笑う。


「大丈夫だ……あっちには世界最強の男、タクトさんがいる」


それを聞いてヒルはハッとする。


「……確かに、あの人ならもしかすると……」


「そうだろ?だが大聖堂を無事に破壊し落下の衝撃をなんとかしたとしても、無数の瓦礫が辺りを破壊するのは免れない。微力ながら俺は向こうに行ってタクトさんの手助けをする。アサ、お前も行くだろ」


アサはこくんと頷く。


「……ふざけんなよ……」


ヒルは拳を握り、プルプルと震えながら言う。


「そんな重要な任務、俺も行くに決まってんだろ!」


ブレーメンのメンバーは全員、決意を固めた。


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