作戦①
情報作戦の効果は抜群だった。
元々今の教会に不満を持っていた貧民層がいるのも大きかった。
教会の様子を逐一観察もしていたが、職員の数は明らかに減り、残った職員も問い合わせに忙殺される始末。
なんと警備兵までもが、今は市民対応をさせられているという。
ウランは孤児院でふーっと深く息を吐いた。
「良かった。ここまでは計画通り」
するとその数日後だった。ジェイドに対する指名手配が教会から出たのだ。
指名手配の情報が出てから、状況が一変するのは早かった。
何せ10億という途方もない額だ。
それどころか有力な情報にも報酬が支払われるという。
教会に苦情を言っていた者たちは、目の色を変えてジェイド探しへと移行した。
短絡的な彼らの行動は実に単純なものだった。
「ジェイドを出せ!」
そう言ってゴチンコのギルドに石が投げ込まれる。
ジェイドはゴチンコのギルドに所属しているのだ。人々がそこに殺到するのは当然の事であった。
ウランはマリサからの報告で、ゴチンコのギルドが襲撃にあった事実を伝え聞いた。
「そうですか、分かりました。また報告お願いします」
そう言ってマリサとの会話を打ち切り、また一人ふーっと息をつく。
「ここも計画通り。さぁ、第2段階に移りましょう」




