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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
716/719

クリスマスケーキのご予約はお早めに

 仕事中、突然思い出したことがあった。


 クリスマスケーキ!!!!


 予約してねぇ!!!!


 いや、ぶっちゃけると別に予約しなくてもいいのだ。クリスマス当日、恐らくスーパーにでも行けば大量にケーキが並んでいるだろうから。

 でもそういうことじゃない。クリスマスケーキのチラシを見ながら、「今年も豊作だなぁ」「どれにしようかなぁ」と悩むのが楽しいのだ。


 そこで仕事の手が空くなり、武士に電話した。


「なんぞ、大家殿。昼時に某と話したくなるとは珍しい」


 別にお前とおしゃべりしたいわけじゃない。緊急の相談事ができたんだ。


「なぬ、そうだったのか……! わかった。この某、心して拝聴しようではないか。何事ぞ起こったのだ」


 クリスマスケーキ、どこの店に頼むよ?


「……」


 武士?


「某と話したくなっただけではないか」


 違ぇよバカ! クリスマスケーキのご予約はこの時期において緊急の問題だろ! 限定◯◯個系はほぼ狩り尽くされてんだぞ!


「当日買えばよいではないか」


 今からワクワクしてぇだろ!


「大家殿が激務に脳をやられておる……」


 だが私の手元にはクリスマスケーキのチラシがない。最近ポストに入ってるものはなかったか?


「あるにはあるが……」


 おお! 1枚でもあるなら……


「6枚ほど」


 お前もウキウキでチラシ取り置きしてんじゃねぇか!! 眺めるだけで終わらせるんじゃない! 早速協議すっぞ!!


「某は◯◯堂の切り株のようなけぇきが良い」


 協議する間もなく心に決めたお方がいるのかよ!! 尚更はよ言え!! いや、最近帰ってくるのも遅かったからな……! 悪かったわ。


 こうして無事、クリスマス前日の夜にチョコレートケーキが我が家に届くことになったのだ。なおこの通話は社内の一部の人に聞かれたため、「ついに彼女ができたか」とあとで尋ねられたのである。

 尋ねなかった人は私が武士と暮らしていることを知っている社員です。

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