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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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やばい、もう一息で2025年が終わる

 タイトルで全てを語り終えてしまっていますが、張り切っていきましょう。3週間後には2026年の三賀日が終わってるってマジですか。

 気持ちばかりが焦る。だがここにきて足掻けることなど何もないので、ただ年末の濁流に身を任せるしかない。


 その無力さは武士も同じであるようだ。こたつに全身を浸からせ、顔だけ出して天井を眺めている。


「ああ……大家殿は覚えておるか?」


 そしてそんな状態でそんなことを尋ねられました。

 覚えてるかって、何を?


「今年の抱負」


 そりゃお前もちろん、


 忘れましたね……。健康に生きるとかそんなんじゃない?


「情けないのう。抱負とは生きる指針そのものであるぞ?」


 面目ねぇ。来年はしっかり覚えておくわ。

 そういうお前は何だったの?


「世のため人のため大家殿のため……」


 おお。


「我が身を大切にする」


 自分の幸せがひいては社会幸福に繋がる思想は受け入れがたい人もいるだろうけど私は指示するよ。今年は病気、再発しなくてよかったな。


「うむ」


 来年もその調子で頼む。


「うむ」


 あ、武士。みかん取ってきてよ。


「良いのか? 再開発するかもしれぬぞ~?」


 再発だろうが。老朽化した土地か? そんでみかん取ってきたぐらいで再発するわけないだろ。


「しかし〝すっとんです〟が良くないと聞いたぞ」


 すっとんです……ああ、ストレス。みかん取ってくるストレスで病気になるメンタルで昨今の物価高社会を乗り切れると思うなよ。鍛えろ。

 私はもう無理かもしれない。


「大家殿、元気を出せ。某が大量に分けてもらったみかんを持ってきてやろう」


 お前、何気にご近所さんからいただきものを大量にもらうよね。ありがてぇ。


「なに、構わぬ。では……」


 あー、待て待て。こたつごと移動しようとするな。やどかりか? やめろ、有線のやどかりなんて聞いたことないだろ。

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