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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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空気清浄機から異臭がする件

「大家殿、ちと臭うぞ」


 最初は強烈にディスられたかと思ったのだ。だが視線の先が私じゃなく空気清浄機に向けられていたので、すぐに誤解は解けた。私は臭くなかった。

 空気清浄機が臭うとな? そりゃあ由々しき事態だ。どれどれ……。


 おぅふ! くっっっさ!!


「そうであろう」


 くっさ!! おじさんの臭いがする!! ここにちっさいおじさんがぎゅうぎゅうに詰まってる!!


「まことか!?」


 そんなわけねぇだろ、比喩だ比喩! しかしマジでくせぇな。いつの間にこんな臭いを発するようになってたんだか。まるで拭けば拭くほど汚れる雑巾のような。


「一度徹底して洗ったほうが良いのやもしれん」


 そうだね。できるところまで分解して……。

 あ、もしかして最近武士が寝てる時に漂う加齢臭ってこれが原因だったのかな。


「加齢臭とはなんだ」


 年を重ねるとおのずと放たれる不快な臭いです。皮脂の酸化? が原因らしい。

 とにかく最近私が夜遅くに帰ってくると、この臭いが部屋中に充満してたんだよ。武士もとうとう加齢臭を発するようになったんだなって思いながら、マスクして寝てたんだけど……。


「あれは大家殿が喉を痛めたのではなく、某の体臭から身を守るための苦肉の策だったのか」


 正体は違った。武士は無実で、加齢臭を放っていたのはこの空気清浄機だったんだ!


「知らぬ間にとんだ罪を被せられておった」


 原因がわかってよかったな。しっかり洗うことさえできれば、今晩からはマスクを外して寝ることができそうだ。


「うむ。しかしこの寒空の下に、安住の地を得た者共を追い出すのは心が痛むのう」


 だからいねぇんだよ、小さいおっさんは。

 よしんばいたとしても追い出すがな! これ以上野郎をうちに増やしてたまるか!

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