この娘ら……だれ?
俺は、目を覚ました。
仰向けにぶっ倒れていた俺の目の前は真っ白だった。
――なんだこの感触は……
俺は、寝ころんだまま、ゆっくりと頭に手をやる。
そして、頭についている何かを引っ張った。
スルスルと取れていく何か。
手元にはブリーフパンツが一枚、顔の上で揺れていた。
どうやら、俺はパンツを頭からかぶっていたようである。
その白い布が目元まで覆っていたがために、目を開けても何も見えなかったのだろう。
しかし、なぜ、俺はパンツを頭にかぶっているのだろう。
疑問に思う俺の目が倉庫の天井を見上げていた。
天窓から差し込む日差しが赤みを帯びていた。
どうやら、もう、夕方のようである。
俺は、今日、一日何をしていたのだろうか……
というか、今日は本当に今日のままなのだろうか……
気を失ってばかりに俺には、すでに曜日の感覚がなかった。
天窓から目を下した俺は、ゆっくりと上体を起こす。
体がだるい……
立てた膝に肘をかけ体を支える。
しかし、おれは、その瞬間、固まった。
なに? この状況?
それは仕方ないのだ……
いまだに俺はフルちん。
いや、先ほどまで、頭に白いブリーフパンツをかぶったヘンタイさんだったのだ。
そんな変態さんの前に、すっぽんぽんの女の子が5人もいるのだ。
「僕はヌイっていうんだ! ヒイロっちヨロシクね!」
先ほどから、胸を手で隠しながら元気に腰を振っている女子中学生らしき女の子。
この娘は、もしかして鼻呼吸ができないのだろうか?
先ほどから口を開けてハッハッハッと息をしている。
男の子のように短かい栗色の髪をまとった茶色の大きな瞳は、ニコニコと微笑んでいる。
その表情と同じように、ほどよく焦げた小麦色の肌は、おそらくこの娘の活動的な性格を表しているのだろう。
「ミーニャは、ミーニャだにゃぁ~」
こちらも女子中学生風の容姿である。
片手で胸を隠し、もう一つの残った手で腰まである長く伸びた黒髪を気にしている。
美しい青き猫目にかかる前髪のことが、先ほどから気になっているのだろうか。
目の前のヒイロを見ることもなく前髪をちょこちょこと整えている。
恥ずかしがり屋なのだろうか……
いや、おそらく、あまり、他人に興味がないのかもしれない。
というか、自分の事にしか興味がないのだ。
その雰囲気はなにか我かんせずというか、マイペースといった、さも人の事を考えていない自己中の女の子って感じなのだ。
「……ウルル……ですぅ……」
最後の女子中学生風の女の子は、金色の長い髪をツインテールにまとめていた。
赤色の大きな瞳は、どことなく冷たさを感じさせるが、表情そのものはどことなくふわふわとした幼い感じなのである。
このミスマッチが、不思議な感じを醸し出していた。
しかも、透き通るような白い肌。
その白き肌が、先ほどからオドオドとおびえるように小刻みに震えている。
手で口元を隠し、恥じらいながら上目づかいでヒイロを見つめる雰囲気は、どことなく、弱気な子供っぽさもあった。
「アチキはペンコというでアリンス。この娘らより、ちょっとだけお姉さんでアリンス」
一人だけ身長の高い女の子。
黒い髪をアップにまとめあげた色白の表情は、まさに大人の女といった感じである。
ふくよかな巨乳が、押し付ける手に盛り上がるも恥じることなく堂々とした態度。
切れ長の黒い瞳がしっかりとヒイロを見つめている。
他三人の女の子よりもちょっとだけ年上ということは、きっと女子高生なのだろう。
最近の女子高生は大人びている……
そして、そのセンターには、なぜか偉そうに腰に手を当てて立つ幼女。
「ヒイロ! どこ見てるの!」
腰まで伸びている赤ピンクのウエーブした髪。
幼いながらもどこかきつそうな大きな猫目。
よくよく見ると左右の色が違うオッドアイである。
よく見ないと、分からないが、赤色とピンク色。
しかし、目につくのは、その偉そうな態度。
他の女の子たちが胸を隠し身をよじっているのにもかかわらず、この幼女、なぜか仁王立ちなのだ。
まぁ、ぺったんこの胸は隠す必要もないのかもしれない。
だが、やっぱり女の子。
下は隠そうよ……下は……
女の子たちは、裸で気恥ずかしいのか、顔を赤らめていた。
天窓から差し込む夕日が、さらに赤みをプラスする。
夕日に照らし出される少女らの裸体……
エロイ……
胡坐をかく俺の下半身から、何かがピコんと立ち上がった。
「ヒイロの変態!」
その瞬間、幼女の足が俺のピコンを踏み潰した。
ギョエェ!
俺は、股間に手をやると同時、倒れこむ。
俺の額が、倉庫の床にぶつかった。
だが、不幸中の幸いか、おれのピコンは、なぜだか分からないが少々柔らかかった。
最近、いろいろなことがあって疲れているせいなのかもしれない。
もう、シリコンのようにふにゃふにゃのようになっていたのだ。
そのため、幼女の蹴りの一撃を食らっても、何とか意識を失わずに済んだ。
ここでまた、意識を失っているようでは、お話が前に進まないからな。
だから、おれは、痛みに必死にこらえたのだ。
というか……
……この子ら誰?




