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【アニメーションMV有】最弱アイテム士は世界を科学する〜最弱の職業と呼ばれ誰にも期待されなかったけれど、気づけば現代知識で異世界の常識を変え無双していました〜  作者: 東雲 寛則
第6章 最悪の始まり編

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357話 刺客


 ガシュゥゥゥゥン!


 加奈が白狼の全武装を展開した。


 背部のウイングユニットが展開し、各種兵装システムが起動する。

 8年間の技術革新により、白狼の戦闘能力は飛躍的に向上していた。


「もう好きにはさせない!」


 加奈が叫びながら高出力ビームを発射する。

 光線が空気を切り裂き、オルミレイアスに向かって飛んだ。


 しかし、王は信じられないほど身軽な動きでビームを回避した。

 壮年のエルフとは思えない超人的な身体能力で、空中を舞うように移動する。


「フフフ……神子か。どの程度の戦闘力か試してやろうか」


 不敵に笑う王。

 その表情には、かつてのオルミレイアス王にはない邪悪さが宿っている。


 剣技と魔法を組み合わせた多彩な攻撃が加奈を襲う。

 魔力で強化された剣閃が空気を裂き、同時に複数の属性魔法が炸裂した。


 火玉と氷玉が交互に飛来し、雷玉が地面を穿つ。

 その全てが絶妙なタイミングで組み合わされ、回避することすら困難だった。


「この動き……エルフのものじゃない!」


 加奈が確信する。

 異様な身軽さで、まるで忍術のような魔法技術。

 オルミレイアス王には似つかわしくない。

 独特の戦闘スタイルだった。


 遠距離では相手を捕まえられない。

 白狼の機動力を活かし、加奈が接近戦に持ち込む。

 ジェット推進による高速機動で距離を詰めるが、オルミレイアスも怪しげな動きで翻弄してくる。


 激しい高速戦闘が展開された。

 二人の動きは常人の目では追えないほどの速度に達している。



 戦闘に気づいたソラリオン兵たちが、加奈を包囲しようと集う。


「邪魔するな!」

 加奈が白狼の防衛システムを起動させる。

「電磁フィールド展開!」


 強力な電磁波が発生し、戦場の一角を覆った。

 近づこうとするソラリオン兵たちが、見えない壁に阻まれる。


 金属製の武器や防具が激しく振動し、兵士たちは近寄ることができない。

 フィールドは完璧な戦闘エリアを形成していた。


「絶対に許さない!」

 加奈が王に向き直る。


「小賢しい技を……」

 オルミレイアスが舌打ちする。

 電磁フィールド内での一騎打ちが再開される。



 技術革新により、白狼の攻撃性能は驚異的なレベルに達していた。


 小型ミサイルが敵を追尾し、散弾が空間を埋め尽くす。

 電撃兵器が放つ稲妻が、相手の回避行動を制限していく。


 息もつかせぬ連続攻撃。

 オルミレイアスを圧倒し、徐々に追い詰めていく加奈。

 科学技術の粋を集めた兵装システムが、魔法を凌駕する。


「ぐっ……馬鹿な!俺が押されるだと……」

 王が歯噛みする。

 その言葉遣いに、もはやかつての面影はない。


 決死の魔法攻撃も、白狼の防御システムで次々と無効化される。

 魔法障壁と物理的な装甲が、あらゆる攻撃を弾き返していく。


 ついにダメージを受けたオルミレイアスが、よろめきながら後退した。

 もはや勝負は決したかに見えた。


 加奈が最後の一撃を放とうと構える。

 その時。


 王が突然、シューデュディの方を向いた。

「息子よ、助けてくれ!我が悪かった!兵は引こう。話し合おうではないか!」


 必死に助けを求める声。

 そこには確かに、父親としての面影がある。


 弱った父に助けを求められ、シューデュディの心が激しく揺れ動いた。


「父上……」

 複雑な表情で立ち尽くす。

 将を打ち取らなければ負ける。

 頭では理解していても、感情がそれを受け入れることを拒んでいた。


「兄上、このままで良いのですか!」

 セレシュルムが叫ぶ。


 シューデュディの迷いは深かった。

 だが、結局——


「加奈……父上もこう言っている。どうか助けてやってくれないか」

 シューデュディが懇願する。


「でも……」

 加奈が困惑を示す。


「分かっている……だが父を見殺しにするなど、私には……」


 加奈が突然、シューデュディに向かってビームを発射した。


「何を!」


 シューデュディが驚愕する。

 しかし、ビームはシューデュディの背後の敵を狙撃していた。


 黒装束の刺客が倒れ、煙のように消滅する。


「これは忍術?分身を背後に回り込ませていたのね」

 加奈が白狼の分析システムで確認する。

 敵は動きは緻密かつ巧妙。


 この戦局をそのものを操っているのは明白だ。


 そしてオルミレイアスの姿は煙のように消えた。

 代わりに現れたのは、黒装束に身を包んだ男だった。


「くくっ……もう一息だったものを……」

 男が仮面を装着しながら名乗る。

「俺はニンジャマスター・カゲロウ」


 そして、続々とソラリオン兵の中から異世界人たちが正体を現した。

 変身が解けるように、エルフの姿から本来の姿に戻っていく。


「マリオネイター・ルドルフ」

 繰り糸を手にした男が現れる。


「エンチャンター・ヴァイスよ」

 紫の衣装に身を包んだ女性が、魔法杖を手に持ち佇んでいる。


「魔力共鳴士・レゾだ」

 水晶のようなアイテムを宙に浮かべた男が、神秘的なオーラを放っていた。


「モンスターテイマー・ガルモ……」

 サイクロプス型の巨大なモンスターと共に現れた大男。

 その異形の相棒が、一つ目を光らせながら威嚇している。


 電磁フィールドの内外に、5人の異世界人の刺客が勢揃いした。

 事前にハルカに調べてもらっていた、不審な敵の数と完全に合致。

 敵の能力もある程度は分析済みだ。

  

「なるほど……」

 加奈が状況を整理する。

 これは単なる戦争ではない——異世界人による、組織的な侵略行為だったのだ。


「あなたたちが真の敵って訳ね」


 加奈の目が怒りに燃える。

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