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『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』Q.ヤクザのおっさんがいきなりヒーローになったらどうする? A.ATM本体を根こそぎ強奪!

※ちょっとネタバレあり

 新しいイタリア映画としてテレビで紹介されていたので、気になっていたものの、二個ほど予習すべき点があって延ばし延ばしにしてました。


 まず一つ目。

 日本のアニメ『鋼鉄ジーグ』にインスパイアされた映画らしいのですが、私が『鋼鉄ジーグ』を全く知らないという事実! 永井豪原作なのにアンテナから漏れてた!

 なんでそんな昔のアニメがイタリアで大人気になっているのかは不明なものの、一話だけ無料配信されていたので視聴しました。

 いい感じのレトロなアニソンに合わせて巨大ロボットが怪人と戦う、ありがちなアニメだなーとオープニングでは思っていたところ。

 主人公がロボ頭部に変身したー!

 ガンダムっぽいモビルスーツでもなく、鉄人28号のようなリモコン操作でもなく、よくわからない原理でロボになった!

 これはこれで面白かったのですが、後で思うと原作を知らなくても大体ついていけましたw

 いつロボに変身するのかと思っていたけれど、前に見た『マジカル・ガール』のまどマギ同様、全然変身しなかった!

 足も腕も飛び出さないし磁石の力も関係ない!


 そしてもう一つ。アニメ実写版で永井豪原作と言えば……アレを思い出したからです。

 悪い意味で歴史に残っている伝説の映画、実写版『デビルマン』を!

 AMAZONでは、あまりにダメと言われすぎて逆に見たくなったという猛者達の屍・呪詛レビューが未だに増え続けるという不思議な現象が起こってますw

 原作が好きなだけに、無料ですら見たくないなあと思ってたけど、やっぱりここまで言われているからには見ておくべきかと思ってこの機会に視聴。

 ………さすが伝説に残るだけある!

 一言だけいうと、大真面目な『ソードマスターヤマト』!





 気を取り直していよいよ『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』。

 サブタイトルみたいだけれど全部タイトル。

 しかも、開始後数分で画面全体にバーンと日本語で出ます!

 フォントもかっこいい!


 ローマの底辺カモッラ(ヤクザみたいな組織)に所属する、冴えないおっさんが主人公。

 ある日対抗組織との抗争の最中に川に落ちて、不法投棄されていた怪しげな放射性廃棄物にまみれたことで、なぜか防御力MAXの怪力おっさんになってしまう。

 ……ゴジラか! 放射性廃棄物がそんな便利ツールだったら今ここまで困ってないんだよ!

 という現実的なツッコミはさておき、スーパーヒーローなみの力を得たおっさん。

 だが、そこはただ単に怪力かつ防御力が高くなっただけ。

 足が早くなったりはしないので、戦闘シーンも至って普通。

 精神的にもスーパーヒーロー要素はゼロ。

 なのでATMを根こそぎ持ち去って、プリンとエロDVDの大量購入というプチ贅沢を楽しみますw

 こういう庶民派なところが小悪党っぽくて面白いw


 そして、何を勘違いしたのか、「あなたは鋼鉄ジーグなんでしょ?」と言ってつきまとってくる、夢と現実の区別がついてない電波なヒロインが登場。

 彼の怪力ぶりを見てビビッときたらしい……でも、どうみてもむさ苦しいおっさんだよ……。

 そしてヒロインにえぐみのある展開を散りばめていくのが、さすがハリウッドじゃない感じ。


 うっとおしく思いながらも、自分をジーグと勘違いするヒロインに惹かれていくおっさん。

 買い置きしたプリンをあげたり、ヒロインのために『鋼鉄ジーグ』のDVDを買ってあげたりするあたりは、ちょっと幸せなラブコメみたいになってました。


 色々あって、ヒロインのためにおっさんは巨悪ハニワ幻人に立ち向かう……のではなく、悪役も普通のチンピラ。

 この悪役も、ショボすぎてイマイチと思っていたら、後半でびっくりするほど覚醒してくれました! ラストバトルにふさわしい人になってくれて本当によかった!

 ラストバトルもあくまでむさ苦しく、泥臭い仕上がり。

 ヒーローとは何なのかという問いかけを残して爽やかに締めます。


 全体的にデッドプールやスパイダーマンの成り立ちに近いものがありました。

 ただデッドプールにしては狂気が足りず、スパイディにしては善人さが足りないw

 悪にもなりきれず善にもなりきれない、ただのヤクザなおっさんがヒーローの自覚を持つまでがこの映画のストーリー。

 たとえCGを使えなくても、巨大ロボの頭に変形しなくても、正義の心があるなら鋼鉄ジーグになれる!


 あ、最後だけ鋼鉄ジーグを予習したかいがありました。

 OPテーマのイタリア語版の替え歌がバラード調で流れます。

 もしかすると、アニメ全部見たらインスパイア先がもっと見つかるかもしれません。


 なお、この映画を見る前に『デビルマン』を見る必要は全くありませんでしたが、そのおかげで許容範囲が大幅に増えた気がしますw

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