第28話 後輩の店
私は余所行きの杖をつき、完全バリアフリーの店内を見回します。
新店舗なのでしょうか。目の前にあるカウンターから店内に飾っているもの全てが新しく見えます。時間通りにティミーがくれた名刺に書かれた店に到着しました。
カウンターで事務仕事をされていたと思われるポニーテールの女性がこちらに気付きお辞儀をします。
女性「『アル副指令』様ですね。お待ちしておりました」
アル「ふ・・副指令・・・はい、そうです」
女性「奥の個室1番にてお待ちください。直ぐに担当者が伺いますので」
私は女性に言われるがまま、壁に数字の書かれた個室に入りました。
室内は窓が無く、換気扇と机と椅子が置いてあるだけの殺風景な部屋でした。絵でも飾ってあれば気が晴れるようなそんな室内でした。
ガチャ!!
ティミー「お疲れ様です隊長!!来てくれたんですね!!」
細身スーツ姿で笑顔のティミーが私の前に姿を現しました。
アル「こらティミー、予約を『役職』で取ることはないだろ。少しビックリしたじゃないか、休みなのに」
ティミー「また怒られちゃいましたね」
ティミーと笑顔で椅子に腰かけます。
ティミー「昨日までですね、研修に行ってまいりました」
アル「あぁなんか大きいカバン持っていたし、どこかから帰って来たようなそんな感じだったな」
ティミー「この完全防音の個室どうです?」
コンコンコン・・・
女性「失礼します」
先程の女性がコーヒーを持って来てくれました。
アル「お構いなく」
ティミー「あぁ、隊長ブラック好きなので砂糖とミルクは要らないんだ」
女性「左様でございましたか、大変失礼いたしました」
女性が部屋から出ていき、再び二人きりになりました。
アル「もう完全にシェルター事業の人間だな」
ティミー「まぁ元々やってましたからね、先程の彼女は自分が居た時からサポートして貰っています」
警備員の面影はなくすっかり営業マンの顔立ちになっていました。
アル「それでさ、俺に話したい事があるんだろ?」
ティミー「はい、お世話になった奥様を、ローズさんを助けたいという気持ちが自分にはあってですね」
アル「はは、もう仕方ないよ。運命なんだから」
ティミーは持っていた封筒の中から一枚の冊子を取り出しました。
ティミー「こちらなんですが」
冊子には個人向けシェルターの詳細が載っていました。
アル「あーなんかテレビCMとかで見たことあるな」
ティミー「ですよね。このシェルターがいよいよ一般向けに販売となります」
この冊子のシェルターは、安眠やデトックス効果があるという事が売りになっています。お金持ちの必需品といったイメージでしょうか。少なくとも現段階の私はそのように感じています。
ティミー「仮想空間・・・・・これが今回の新オプションです。自分はこのオプションについての研修を受けていました」
アル「仮想・・・空間??」
ティミー「シェルター事業が掲げるもう一つの大きな柱『異世界事業』がこのシェルターを使って体験できます」
異世界・・・・・私やグラッドの年代では聞き慣れない言葉で、抵抗がある言葉なのかもしれません。しかし妻のローズの事を考えると一つの希望が見えてきたようなそんな気がしたのです。
可愛がっていた後輩の話を、こんなにも真面目に聞く日が来るなんて思ってもいませんでした。
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